【暮らしのみずうみ – 松本便り】第17話:悩みを吹き飛ばすよりも。
ライター 桒原さやか
あぁ、なんだか最近、何をやっても上手くいかない……。
こんなふうに落ち込むタイミングが定期的にやってきます。とくに何か大きな出来事があったわけでもないんです。ただ、自分への小さなダメ出しが積み重なって、チーンと静かに肩を落としている感じ。
それは、仕事のツメの甘さにガッカリしたり、気が利かない自分に反省したり。ひとつひとつはどれも取るに足らないことばかり。しばらくご無沙汰していたものの、またまた、この落ち込みループに入っているようです。友人や夫に相談すると、「大丈夫、大丈夫、ちゃんとできているよ」と言ってもらえるものの、なんだか心が晴れずにいます。
落ち込むことで解決策を見つけられたらいいのだろうけれど、同じ場所にただひたすら立ち止まっているような感覚もあって、それが苦しいのかもしれない。
恒例の落ち込み時期に入っていたところ、ふと手にした雑誌のインタビュー記事が目に飛び込んできました。
「落ち込むことがあっても、それを悪いことだと思わないんです。今、自分はそういうことを考えているんだなぁくらいに受け止めています」
なるほど、そんな考え方もあるのか……と、頭がピカン!となりました。
そういえば、自分は嫉妬したり、怒ったり、落ち込んだりしていることを悪いことだと決めつけていた気がする。ストレスや怒りの感情を持つことを悪いと思わなくていい。そう考えるだけで、妙に肩の力が抜けたのでした。
嫉妬していても、それを悪いとも良いともせず、ただ受け止める。
イライラしていても、今怒っているんだな、とただ受け止める。
落ち込んでいても、そういう時期なんだな、とただ受け止める。
寂しかったり、へこんだり、イライラするのを止めようと思うと難しい。でも、落ち込んでいる自分そのままで、前に進むことならできそうな気がするのです。
そんなことを考えていたら、友人からこんなメッセージが届きました。
「この年齢になってきたら、『悩みを吹き飛ばす』というよりも、『あらあら』って観察できるくらいになりたいよね」と。
本当にその通りだ。携帯の画面越しに、思わずうんうんと頷きました。
別に悩みは吹き飛ばさなくてもいい。
「あらら、今、私は落ち込んでるのねぇ」と、呑気にお茶でもすすりながら、自分をよしよしとなだめてあげるくらいの余裕があればいい。
軽やかに見える人だって、悩む日も落ち込む日もきっとある。ただ、気持ちのなごませ方を知っているだけなのかもしれない。悩みに真正面から向き合わなくてもいいし、解決しなくてもいい。自分がラクに過ごせたらそれでいい。
そうだ! これからの人生のテーマのひとつを、楽ちんにするのもいいかもしれない。
そんなことを考えていたら、気持ちがちょっと晴れたのでした。
ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていたスタッフ。退職後、ノルウェーにある北極圏の街、トロムソに住んでいた。現在は長野県松本市でスウェーデン人の夫と2歳と4歳の子どもの4人暮らし。
著書は2023年4月に発売の「北欧の日常、自分の暮らし- 居心地のいい場所は自分でつくる -」(ワニブックス)。その他、「北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし」(ワニブックス)、「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」(オレンジページ)がある。
instagram:@kuwabarasayaka
撮影:清水美由紀
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