【巡りのいいキッチン】第2話:無理なく家族5人のご飯を作る。効率重視のはかどるキッチン(整理収納アドバイザー・水谷妙子さん)
編集スタッフ 岡本
今よりも居心地のいいキッチンにしたい。そう思うものの、バタバタな日々のなかで見直す時間を取るのは難しいし、毎日立っていると使いにくさにも鈍感になっている気がします。
ご飯作りには終わりがないからこそ、キッチンで過ごす時間を少しでも前向きなものにできたら。
そんな思いから、居心地のよさをつくるキッチン収納の特集をお届けしています。
第2話では、整理収納アドバイザーの水谷妙子(みずたに・たえこ)さんのご自宅にお邪魔しました。
働きながら5人家族の食事を毎日作る水谷さんのキッチンには、効率アップのための工夫があちこちに散りばめられていましたよ。
超時短派。家族みんなが「すぐ分かる」を目指して
元・無印良品の商品開発担当であった水谷さんは、小5の長女、小2の長男、6歳の次男を育てるお母さん。スムーズに日々が送れるよう自分に聞かなくとも、「やりたいことができる空間」を心がけていると話します。
水谷さん:
「料理が好きじゃないわけではないのですが、今の生活ではあまり比重をおけないのが現実です。でも家族の健康のために、こだわりたいところも当然ある。
そうなったときに、全部私1人でやるのは難しいなと、誰にとっても分かりやすくて効率よく動ける収納へ、徐々に変化していきました。
家族や家電にお任せできることは積極的に任せて、機嫌よくいられることも大切だと思っています」
朝食は夫が担当。料理が苦手でもスムーズなわけ
朝食のメニューはほぼ毎日同じ、おにぎり・味噌汁・ひとくち魚3種・野菜と決まっている水谷家。作るのは夫が担当しているのだそう。
水谷さん:
「数ヶ月前の夫の健康診断の結果をきっかけに、食生活を見直したいなと思うように。それまで朝食はパンが多かったのですが、ご飯に変えて味噌汁を定番メニューに加えてみました。
でも毎日のことだから無理はできないし、続かないと意味がないですよね。私たち夫婦にとってのできる範囲で始めたのが、今のメニューです」
とは言っても、栄養たっぷりな献立で朝から準備するのはちょっと大変そうに感じます。どんな工夫があるのでしょうか。
水谷さん:
「おにぎりも味噌汁も前日の夕飯を作るタイミングで一緒に準備しておくんです。
それもおにぎりは炊飯器の中の余ったご飯に具を混ぜ込んで、握らずにラップでねじるだけ。味噌汁は乾物を中心に2種類一気に作ったら翌朝の分は鍋ごと冷蔵庫へ。魚はレトルトなどを活用して焼く手間を省いています。
やりたいことはあるんだけど完璧にはできないとき、『それならやらない』っていう選択肢を取るんじゃなくて、無理なくできる方法はないかなって考えてみたいんです。
毎日同じメニューでもレトルトだとしても、きっとやらないよりはいいと信じて、小さなトライから始めています」
冷蔵庫は「冷える機能」がついている収納棚
朝食作りに欠かせないものが入っているという冷蔵庫を見せてもらいました。余白たっぷりな上に、要所にはラベルが貼られていて、迷わず目的のものが手に取れる工夫がされています。
水谷さん:
「冷蔵庫はキッチンの特等席にあることが多いので、抜群にアクセスがしやすいんです。なので使用頻度が高く同じタイミングで使う食材は、冷やす必要がなくても冷蔵庫に入れています」
乾物類、ヨーグルト、豆腐などにざっくりと分けられ、それぞれがトレーにのっていました。冷蔵庫は奥が深いから迷子になりやすい場所。一気に引き出せるトレーは効率アップだけでなく、食べ忘れ防止にも繋がっているそうです。
水谷さん:
「鰹節や高野豆腐、桜エビなどの朝食準備セットは詰め替え容器に入れています。
ここにあるものはすべて使うシーンが同じなのがポイントです。トレーごと引き出せば、おにぎりの具も味噌汁の材料も少ない動作で並べることができます」
▲詰め替え容器は、タケヤのフレッシュロック。ワンアクションで開き、間口が広いなど使い勝手がいい
ストック収納は「開封と未開封を分ける」
水谷さん:
「パントリーがないので、食材ストックもキッチンに収納しています。
ストック管理は、使い忘れやごちゃつきを防ぐためにも、開封済みと未開封を分けるのがおすすめ。この棚にあるのは未開封のものだけ、今使っているものは冷蔵庫にあります。
そうすることでストックから出したものがたとえ最後のひとつだとしても、それを使い切るまでに買い足せば『使いたいときにない!』という事態を防ぐことができるんです」
▲料理中のかがむ動作を減らすため、現在進行形で使っているものは冷蔵庫の目線の高さの位置に、ストックは低い位置にあるこの棚に収納している
水谷さん:
「ストック食材は確認するタイミングを逃しがちなので、意識して見える化するようにしています。じゃないとすぐに忘れちゃうんですよね。
扉一枚開けたら全部見える状態になるように、ここでは中が透けるボックスを採用。
もともと片付けは苦手なタイプで、以前はフードロスが多く心苦しい時期がありました。原因は、物を持ちすぎていたことと、見えない収納になっていたこと。
この家に引っ越してきた時に、たくさん失敗した分ちゃんと活かさなくちゃと、まずはボックス4つ分に減らして管理することから始めました。ストック管理のペースが掴めて、今では10個に。
そのうちのひとつは、頂き物やスポット買いしたものの一時置き場として、基本的には空けるようにしています」
タフさがポイント! 棚2段に納まる5人分の食器
水谷さん:
「食器は、背面の棚の下2段を使って収納しています。
無印良品で商品開発をしていた頃は、伝統的な焼き物など器はかなりの量を持っていました。でも今は食洗機にかけられて、多少ぶつかっても割れない丈夫さが最優先。
大切で手放せない器は別の場所で保管したり飾って楽しんだりして、キッチンにあるのは日常的に使うものだけです」
食器選びの基準は、丈夫さに加えてどんな料理にも合うシンプルなもの。特に愛用している、海外ブランドの業務用のお皿を見せてくれました。
水谷さん:
「フランスの老舗メーカーが作るアピルコや、イタリアのレストランなどでよく使われているサタルニアは、気軽に食洗機にかけられる頼れる食器。
北欧ブランドのイッタラも、レンジ・食洗機・オーブンまでOKなタフな器ですよね。
流行り廃りがなく買い足しやすいのも、業務用食器のいいところだなと思います」
菜箸もフライ返しも。調理道具はコンロの下へ
キッチントップにも換気扇の脇にも、調理道具が一切出ていない水谷さんのキッチン。掃除がしやすそうだけれど、どこに収納しているのでしょうか。
水谷さん:
「菜箸やお玉などは、コンロ下の引き出し収納に立ててしまっています。
商品開発時代のサンプル管理で経験したのですが、調理道具ってお互いのすきまに入り込んでよく絡まりませんか? 色々試した結果、仕切りのついたボックスを置いて専用の小部屋をつくる方法に落ち着きました」
入れる場所にルールはなく、ざっくりでもいいからひとつひとつ分かれていることを優先しているのだそうです。
水谷さん:
「家族の健康診断を機に朝食のメニューが変わったように、暮らしていると変わっていくのは当然ですよね。
今は料理に重きを置けないけど、数年後にはどっぷりハマっているかもしれない。生活ってそれくらい変わる可能性のあるものだって、頭の片隅に置いておくのが大事な気がします。
収納や料理など、苦手だとそのことについて考えたくなくなるけど、モヤモヤを抱え続けるよりはいい。できる範囲を見つけて、これからも柔軟に変えていきたいです」
完璧にはできなくても、今よりもいい方へ向かうために小さなトライから始めてみよう。
キッチン収納について水谷さんとお話をしていたら、なんだか暮らしに前向きになっている自分に気付かされました。
続く第3話は、料理家のまきあやこさんのキッチン収納をご紹介します。
(つづく)
【写真】ニシウラエイコ
もくじ
水谷妙子
整理収納アドバイザー。夫、小5の長女、小2の長男、6歳の次男の5人暮らし。無印良品で生活雑貨の商品企画・デザインを13年間務める。手がけた商品は500点超、調べた他社商品は5000点超。2018年に起業し、雑誌やテレビなどで活躍中。著書に「水谷妙子の取捨選択 できれば家事をしたくない私のモノ選び」(主婦の友社)など。WEBサイト:「ものとかぞく」http://taekomizutani.com/ Instagram:@monotokazoku
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