【夏じまいと秋の支度】後編:音楽を聴きながら、洗濯とお手入れをする。こんな1日があってもいい
編集スタッフ 野村
夏が終わってほしくない切なさと、秋が早くきてほしい気持ちが同居するこの時期。
この特集では、夏の終わりの寂しさをほぐす、ご褒美時間のアイデアや、秋の支度を楽しむ1日をお届けします。
前編では、紅茶ブランド『teteria』を主宰する大西進さん考案のドリンク「夏の終わりのハーブクーラー」を作ってみました。
後編の今回は、夏物の洋服やサンダルをしまって秋の支度ができたらと、洗濯家・中村祐一さんに、お手入れについて教わりました。
洗濯やお手入れの時間は、音楽をおともにして作業をするのが捗りますよね。そこで今回は、夏の終わりにぴったりなプレイリストも準備しました。
こちらも一緒にお楽しみいただけたら嬉しいです。
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洗濯機に放り込む前にひとめぐり。
「この服、どう着ていきたい?」
夏によく着たリネンのワンピースや、ボーダーのカットソー。いつもはそのまま洗濯機に放り込んでいました。
夏の終わりに、今年も活躍してくれてありがとうの気持ちを込めて、お手入れにちょっと時間を使ってみたいと思います。
まず、お手入れをする前に大切なのが、洋服の仕分け。
・しっかりきれいに保ちたい服は、クリーニング屋さんに出して洗ってもらう。
・普段着としてラフに楽しみたい服は、家で適切な方法で洗濯。
・くたびれてしまった洋服は、この機会に手放してみる。
ひとつひとつの洋服をどんな風に着ていきたいかを考えてみることで、どんなお手入れが適しているかを選べます。こんな風に一回立ち止まって考えてみるのが大切、と中村さんに教わりました。
よく着たリネンのワンピースやブラウスは、シワも程よくついて愛着が湧いてきました。次の夏もラフに活躍させたいから、お家で洗濯してみたいと思います。
色の濃いリネンの洋服は、ソフトモードやおしゃれ着モードといった、洗濯機の動きや脱水がやさしいモードを指定した洗濯表示が多くなっています。
なぜならリネンのように植物からできた繊維は折れや擦れに弱く、繊維の表面の毛羽立ちが、色があせたように見える原因になるから。だから、洗濯や脱水の時の摩擦やシワを和らげるために、やさしいモードが指定されているそうです。
毛羽立ちを最小限にとどめたい場合は、おしゃれ着用の中性洗剤を使うのがベター。でも、買った時の風合いをできる限り維持したい場合は、やっぱりクリーニングが向いているそうです。
干す時は、服の縫い目を引っ張ったり叩いたりして、シワを伸ばしながら干すと、シワが少し和らぎます。
こうやってひとつひとつの服と向き合ってお手入れ方法を選んでいくと、大切にしたい気持ちがぐっと増してきました。
夏によく履いたサンダルも、自分でお手入れしてみようと思います。
水洗いができるこのサンダルは、水に中性洗剤を溶かした洗剤液の中で、5〜10分ほど時間をかけて、ブラシでこする。
素材が毛羽立ったり、傷になったりしないように、靴のお手入れ用のブラシを選んで、こすり方も少し気をつけながら洗います。
洗ったら、水が透き通るくらいきれいになるまで、すすぎを3回ほど繰り返します。
最後は洗濯機で脱水し、しっかり水気を拭いてから、陰干しをする。
洗剤と汚れをすすぎで十分に流しきったあと、脱水はなるべく入念にするのがおすすめなのだそう。脱水があまいと、輪染みなどのトラブルにつながりやすいためです。
※洗濯機での脱水方法は、お使いの洗濯機の説明書をご確認の上、行ってください。
秋になったら履きたいベロアシューズも、この機会に少しお手入れについて考えてみます。
洗うのは難しい素材だから、履くシーンや頻度にも気をつけて。脱いだあとは、かんたんにブラッシングをして、できるだけ表面の汚れを取り除いておきたいと思います。
今年もこれからよろしくね、とじっくりとお手入れをする時間は、心も落ち着きます。夏の終わりで寂しくなるだけじゃなくて、秋の楽しみにも目を向けられるようになってきました。
洗濯や靴のお手入れをしていたら、日も落ちてきて、いくぶん涼しくなってきました。
散歩がてら、きれいに保ちたい服を持って、クリーニング屋さんへ。
プレイリストの続きを聴きながら、帰りにそのままアイスも買う。そんな散歩を楽しんでいると、秋の気配を帯びた風が肌を撫でて、少しきゅんとしました。
もう暑いのもおしまいかなと思いながら、ひんやり冷たいアイスが美味しく感じるのは、夏と秋の間の今だけなのかもしれません。そんなことに気づけた夏の終わりは、やっぱりちょっと特別です。
監修:中村祐一
写真:吉田周平
もくじ
中村 祐一
長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。洗濯から考える、よりよい暮らし方の提案を行い、「衣・食・住」における「衣文化」の革新に洗濯の側面から取り組む。オンラインでも学べる洗濯講座「ゼロから学ぶ洗濯」運営メンバー。
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