【好きを紡ぐインテリア】制限も家族の1ページ。子どもも大人も、好きが育つ部屋

【好きを紡ぐインテリア】制限も家族の1ページ。子どもも大人も、好きが育つ部屋

編集スタッフ 岡本

小さな子どもと暮らしていると、思い通りにはいかないなと感じるシーンにたびたび直面します。

日々の献立や出かける場所など、日常のあらゆる選択において子ども軸で考えると、大人の都合や好みはどうしても後回しになりがちです。けれど、「子育て中は制限ばかり」と捉えるのもなにか違うような。

子どもの成長に合わせて変化を求められるインテリアも、そんなふうに悶々と考え続けているもののひとつでした。

当店の番組『Room Tour あそびに行きたい家』で訪れた、着物スタイリストの大川枝里子(おおかわえりこ)さんは、2歳の娘と夫との3人暮らし。

広々としたリビングダイニングには、夫婦が大切にしたい年代物の雑貨や家具と、子どものおもちゃや絵本などが自然に共存していました。

「子どもの安全がなにより大事だけれど、 “子どものためだけ” では成り立たない。自分たちの好きなものがない生活は考えられないから」という大川さんのご自宅から、家族みんなが心地よく過ごせるインテリアのヒントを伺います。


スイス旅をイメージして。眺望にこだわった物件探し

マンションの最上階に位置する大川さん宅。内装の仕事を手がける夫が自ら図面をひいてリノベーションした家は、ゆったりとした余白のある間取りを設計しました。

大川さん:
「夫の中で『こういう家に住みたい』という図面がすでにできていたので、それにハマる場所を探すという感じで物件を見ていきました。

でもどんなに内装にこだわっても窓から見える景色には敵わないという思いもあったので、眺望がいいことも重要なポイントでしたね。

イメージしたのは夫婦で訪れたスイスの宿から見えた景色です。レマン湖越しの景色が本当に美しくて少しでもそのときの感動を取り入れたいと思って。

湖が見えるわけではないけれど、ここなら叶いそうということで部屋を決めました」


「子どもスペース」はラグでゆるく仕切って

自然光がたっぷり入るリビングダイニングの一角に、ラグを敷いた場所がありました。ここは2歳の娘のスペース。

大川さん:
「部屋として区切っていなくても、ラグがあっておもちゃが置いてあるだけで、自分の場所だと思ってくれているみたいです。

すぐ横がキッチンなので料理をしているとこちらへ来てしまうときももちろんあるけれど、なんとなく自分の場所で遊ぼうと思っているのが伝わってきますね」

大川さん:
「物の場所が決まっていると散らかりにくいと聞いたので、おままごとや絵本、パズル、とざっくりジャンル分けをしてラグのすぐそばに収納しています」

大川さん:
「やっぱり子どもが安心して過ごせることが第一。このままだと危ないと判断したものは早々に撤去しました。

でも、私も夫も好きなものに囲まれて暮らしたい思いが強いので、完全になくすという選択はできません。

基本的なことだけれど、子どもがメインで動き回るところを把握して、大人の趣味はそれ以外の場所で楽しむようにしています」

以前は、子どもスペース付近の床にもヴィンテージのオブジェや家具を並べていたそうですが、子どもが生まれてからは扉のある棚に買い替え、手の届きそうな高さには危ないものは置かないようにしたのだとか。

他にもダイニングテーブルを角のない円卓に変えるなど、子どもとの暮らしを意識つつ、自分たちの「好き」に触れられる工夫があちこちに施されていました。


LDKに余白をうむ、壁一面のキッチン

シンクから収納までを壁一面に収めたキッチンも、家づくりで特にこだわったポイントだそう。

大川さん:
「ゆとりのあるLDKを叶えるために、キッチンの要素はすべて壁付けにしました。

友人が遊びに来たときは、メインの焼き物を作りながら同時にサラダを準備したり、複数人が並んで作業できて想像以上に使いやすかったです」

年代問わず古いものを集めるのが趣味と話す大川さんに、お気に入りの食器を見せてもらいました。

大川さん:
「電子レンジも使えて柄もかわいい、印判の豆皿や 膾皿 ( なますざら ) が好きなんです。

骨董品店に行くとだいたい数百円から買えるので、気付けば増えていきました。100年ほど前の器がそんな値段で手に入るなんてすごいですよね」

冬には正月飾りを出したり夏にはうちわを飾ったり。小さな範囲で自分の好きなものを取り入れるのが楽しいと話す大川さん。

大川さん:
「夫は部屋全体を広く見ている感じがしますね。

家具はすき間をあけて配置したり、床を明るめのグレーにしたり、ゆとりのある空間づくりを心がけている一方で、私は季節に合わせて棚の上の雑貨を入れ替えたり、細かいところを考えるのが好きなタイプ。

ちょっと目線をあげたときに自分の好きなものが並んでいると、ついにやにやしちゃいます」

夫婦で部屋づくりの目線は少し違うけれど、「家族にとっての心地よい空間に」という目指す方向は同じ。それぞれのこだわりがうまくマッチして、大川さん宅の素敵なインテリアがつくられていることが分かりました。


洋室ともマッチする和室テイストな仕事部屋

▲着物を広げて作業することが多いので、机も床も十分なスペースが取れるよう意識して家具を配置。

大川さん:
「着物スタイリストという職業柄、仕事部屋は和室テイストにしました。壁付の細長い机や違い棚は、書院造りからヒントをもらったんです。

和な雰囲気はここだけですが、家全体で見たときに浮いてしまわないように和風洋風どちらのテイストも混在させて、かけ離れすぎない空間を意識しています」

大川さん:
「子どもが入ることもあるけれど、『ここはママの大事な場所だよ』『壊れやすいから気をつけてね』と、取り上げる前にちゃんと話して伝えることから始めています。

小さくても家族の一員なので、一緒に大事にしてもらえたら嬉しいですね」

§

子ども優先な日々のなか、自分の「好き」とバランスを取るのは難しいと思っていたけれど。大川さんの暮らしには、制限と捉えてしまうようなことも家族の変化の1ページとして楽しむような、おおらかな空気が流れていました。

夫婦の思い出の景色をベースに探した窓からの景色や、ふと目に留まる雑貨たち。大人も子どもも同じひとりとして尊重しながら、それぞれの好きを重ねていく。そうして家族みんなが深呼吸できる家へと育っていくのかもしれません。



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※この記事は2024年4月に公開した動画を元に制作しております。現在の暮らしとは一部異なる場合がございます。


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大川枝里子

雑誌や広告を中心とした着物のスタイリング・着付けの他、和の暮らしに関する執筆や和装関連商品のディレクションなど幅広く活動。Instagram:@kifkif.me  公式サイト:kifkif

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