夏を乗り切るアイデア
【夏を乗り切るアイデア】後編:皮膚科医に教わる。汗や紫外線に負けない夏の肌ケア

【夏を乗り切るアイデア】後編:皮膚科医に教わる。汗や紫外線に負けない夏の肌ケア

夏は肌にとっても負担の大きい季節です。汗や紫外線、冷房による乾燥など、さまざまな刺激が重なることで、「いつもより肌が敏感」「なんとなく調子が悪い」と感じることもあるでしょう。

皮膚科医でもあり、「足すケア」よりも「肌に負担をかけないこと」を大切にしているという常喜眞理(じょうき・まり)さんに、夏に起こりやすい肌トラブルや、毎日のスキンケアで気をつけたいポイントなどを伺いました。

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肌は、体調の変化が最も早く現れやすい場所

肌トラブルというと、冬の乾燥を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、夏も負担の大きい季節です。

常喜さん:
「肌は体温調節を担う大切な器官です。暑さや寒さに合わせて汗を出したり、熱を維持したりしています。

しかし夏は温度差が大きく、その調節が追いつかなくなることで、肌に負担がかかるんです」

常喜さん:
「夏の肌には、紫外線や汗、汗に含まれる塩分などの刺激も加わります。そこへ日焼け止めやスキンケア用品が重なることで、肌荒れを起こしてしまう人も少なくありません」

肌は体調の変化が最も早く現れやすい場所でもあるそう。

常喜さん:
「風邪をひいたときや、体がストレスを感じているときも、最初に肌へ症状が出ることがあります。夏は体への負担が大きい季節だからこそ、肌も揺らぎやすくなるといえるでしょう」

夏の肌を守る3つのヒント

汗や紫外線など、夏の刺激をすべて避けることはできません。だからこそ、肌に負担をかけないことを意識した毎日の積み重ねが大切です。


1.皮膚科医おすすめのスキンケア


健やかな皮膚を保つために、いちばん大切なことは正しく洗うことなのだとか。夏はウォータープルーフタイプのメイクや日焼け止めを使ったり、皮脂汚れが気になったりするため、ついゴシゴシ洗いがちですが……。

常喜さん:
「夏に限らず、肌を守るうえで最も避けたいのは摩擦です。

汚れはこすって落とすものと思いがちですが、実際には洗浄成分が汚れを浮かせてくれるため、力を入れて洗う必要はありません。メイク落としも同じです。『落とそう』と力を入れて洗うほど、肌にはストレスがかかってしまいます。

顔や体を洗うときは、泡をやさしくのせて少し時間を置き、あとは洗い流すだけで十分汚れは落ちます」

常喜さん:
「汗を拭くときも、タオルで押さえるように水分を吸い取ります。汗拭きシートも、肌に合うものであれば使って構いませんが、こすらず、肌に軽く当てるように使うのがおすすめ。

『やさしく』『こすらない』を意識してみてくださいね。

肌が乾燥すると刺激を受けやすくなるので、洗ったあとは夏でも保湿は欠かさずに行いましょう。しっとりするクリームでなくても、ローションや乳液など、自分の肌に合ったもので十分です。私はヒルロイドローションをパシャパシャとつけています」



2.夏にもアクセサリーを楽しむための注意点


夏は汗によって、思わぬ肌トラブルが起こることもあるそうです。

常喜さん:
「汗をかくと、アクセサリーの金属イオンが少しずつ溶け出し、皮膚に触れることで金属アレルギーにつながることがあります。

一度アレルギーになると、その後も症状が出やすくなりますから、汗をたくさんかく日は注意したいですね。

私自身、夏は移動中は着けず、レストランなど涼しい場所に着いてから身につけるなど、アクセサリーを着ける時間をできるだけ短くしています。

夏だけアクセサリーが触れている部分がかゆくなる場合、金属アレルギーのサインかもしれません。気になる症状がある場合は、着用時間を短くしたり、ネックレスであれば服の上から着けたりするなど、工夫してみましょう」


3.日焼け止めや虫除けアイテムの選び方


紫外線対策は欠かせませんが、肌が敏感な人は日焼け止め選びにもひと工夫を。

常喜さん:
「肌が弱い方は、子どもでも使えるようなSPF30程度の日焼け止めがおすすめです。SPF値が高いものは肌への刺激が強くなる場合もありますので、無理に高いものを選ぶ必要はありません。

日焼け止めを1日に何度も塗り直すのは現実的には難しいですよね。ですから塗らないよりは塗ることを大切にして、日傘なども上手に活用するといいと思います。

また、夏は制汗剤や虫よけスプレーが肌トラブルの原因になることも。肌に異変を感じたら、すぐに使用を中止するようにしましょう。

虫よけはディートではなくイカリジンという赤ちゃんにも使える成分配合のものを選べば、肌が敏感な方も使いやすいと思います」

スキンケアは足すより引くが大切


肌に赤みやかゆみが出ると、新しいスキンケアや薬を試したくなるものですが、「足すより、引いてみることが大切」とのこと。

常喜さん:
「トラブルが起きたら、まずは使っているアイテムを減らしてみましょう。化粧水だけにするなど、シンプルなケアにして様子を見てみます。

また、『最近疲れていたかな』『風邪気味だったかな』など、体調を振り返ってみることも大切です。肌は体調の変化が最も早く現れやすい場所ですから、肌荒れは『少し休んで』という体からのサインなのかもしれません」

常喜さん:
「1か月ほど経っても症状が改善しない場合や悪化する場合は、皮膚科を受診しましょう。受診するときのために、症状が出たときの写真をスマートフォンで撮っておくと、受診時にも役立ちます」

夏の肌トラブルというと、「汗」や「紫外線」の影響ばかりに目が行っていましたが、取材を通じて、肌は体調や自律神経の状態を映し出す鏡のような存在なのだと感じました。

赤みやかゆみが出ると、新しいスキンケアを探したり、「何を塗ればいいのだろう」と考えたりしがち。でも本当に見直すべきなのは、睡眠や疲れ、頑張りすぎていないかといった、日々の過ごし方なのかもしれません。

「何かを足す」前に、少し立ち止まって体の声に耳を澄ませてみる。肌の不調を、自分をいたわるきっかけにできたら、この夏はもう少し心地よく過ごせそうです。


photo:鍵岡龍門



もくじ

常喜眞理

医学博士。「常喜医院」院長。内科、皮膚科、小児科診療を行うかたわら、企業の産業医としても活動。著書に『オトナ女子あばれるカラダとのつきあい方』など。

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