【ドジの哲学】いい年なのに、お酒のドジがとまらない
文筆家 大平一枝
ドジのレポート その10
お酒の失敗
ドジと言ったら誰にもある、お酒の失敗。とは開き直り過ぎか。私だけかもしれない。綴っていたら2〜30は書けるが、ここは控えよう。
最近あったのは、家から15分のバーから2時間かけて帰ってきたこと。私にはどうしてもその間の記憶がない。一緒に飲んだ編集者にあとからメールで聞いた。
「私たち、もう1軒いきましたか?」
身も蓋もない質問だ。
「いいえ、すぐ帰りました」
財布の中のお金も、想像より減っている気がする。どこかに立ち寄ったのであろう。それにしてもすっぽり記憶がないなんてことがあるだろうか。
飲むなら粋に品良く、と願っている。が、どうもうまくいかない。お酒の流儀を学び直したい。どこへ行けば学べるのか。きっと、綺麗に飲む人生の先輩とご一緒するのが近道だ。
そう思っていた先日、大学で栄養学を研究する年配の教授と、仕事でお話をする機会があった。糖尿病の権威だが、大の日本酒党だという。気になる日本酒の糖分も、飲み方次第であり、もっと日本酒ライフを楽しんではとおっしゃっていた。
お酒はご一緒しなかったが、いろんな通の楽しみ方を教わった。たとえば、純米酒や吟醸酒など、グループで1合たのんで、みんなでおちょこに1杯ずつ飲んだらいろんな種類を楽しめる、など。
うさをはらすように、同年代とわーっと飲むのも賑やかで楽しいが、ときには師のような年齢の人とゆっくりさかずきを交わすのも素敵だ。その人の遊び方の流儀を習える。長年の経験から培われた、たしなみの本質を学べる。
少し気が早いが、最期までの晩餐の数を数える。これからお酒の失敗はあるだろうが、こんな自分に付き合ってくれる友人に心から感謝しつつ、たとえ2時間でも、限られた時間の記憶をなくすような野暮でもったいない飲み方はすまいと願っている。
文筆家 大平一枝
長野県生まれ。編集プロダクションを経て、1995年ライターとして独立。大量生産・大量消費の社会からこぼれ落ちるもの・こと・価値観をテーマに、女性誌、書籍を中心に各紙に執筆。『天然生活』『暮しの手帖別冊 暮らしのヒント集』等。近著に『東京の台所』(平凡社)、『日々の散歩で見つかる山もりのしあわせ』(交通新聞社)『信州おばあちゃんのおいしいお茶うけ』(誠文堂新光社)などがある。
プライベートでは長男(21歳)と長女(17歳)の、ふたりの子を持つ母。
▼大平さんの週末エッセイvol.1
「新米母は各駅停車で、だんだん本物の母になっていく。」
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