【インテリア特集】第1話:シンプルだけどモダンすぎない。グリーンと暮らす「木漏れ日の家」
ライター 藤沢あかり
川のせせらぎをBGMに、グリーンに満ちた癒しのダイニング
暮らしのスパイスとしてはもちろん、そのたたずまいがもたらす爽やかさや癒しの効果で、インテリアに欠かせない存在のグリーン。
けれど、グリーンあふれる暮らしに憧れつつも、お世話やお手入れが大変そう……と二の足を踏む人も多いかもしれません。
今回のインテリア連載vol.13は、気軽なグリーンづかいが上手な内田雄介さん一家のお宅にお邪魔しました。
建築家として活躍する内田さんは、 妻の彩さんと娘の3人暮らしです。越してきたころはまだ幼かったお子さんも、丸3年が過ぎ、この春からは小学生になりました。
内田さんは、土地の広さや日当たり、風向きといった自然条件、そして家族みんなの希望にいたるまで、いろいろな要素を加味しながら、よりよい住まいの提案をしています。
※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです
第1話
デメリットをメリットに
光とグリーンで叶えた「木漏れ日の家」
駅前から少し離れると、四季折々に色を染める山々や小川のせせらぎ、季節のにおいを感じられる。そんなのどかな東京の郊外に、内田さんの住まいはありました。
玄関を抜けて階段を上がった、中2階に位置する内田家のダイニングは、 バルコニーへと続く掃出し窓に面しており、明るく開放感たっぷりです。
▲玄関の吹き抜けの土間。 トップライトから差し込む光が美しく、ダイニングへと通じる階段へのわくわく感が高まります。
内田さん:
「窓の向こう側には川が流れ、土手や連なる山の自然が季節ごとに違った表情を見せてくれます。そんな景色と寄り添えるよう、室内も都会的なテイストではなく、できる限り自然素材を使いたいと思いました」
壁は漆喰塗り、フロアには無垢のタモ材を使っています。シンプルだけれどモダンすぎない、自然の豊かさとあたたかみを感じる空間です。
内田さん:
「漆喰や天然木などの素材を使った家は、入った時の空気感が違うんですよ。自然に包まれた気持ちでいられます」
▲ダイニングの照明は「ルイスポールセン社」のトルボー。
大きなダイニングテーブルは、長野の家具工房「浅村家具製作所」で、この家に合わせてオーダーしたもの。丸型は空間にリズムをもたらすだけでなく、座る人数を選ばないので、来客の多い内田家にぴったり。
椅子は、「宮崎椅子製作所」のhataチェアやUUチェアなどをミックス。似た雰囲気をまといながらも、デザイナーの違いで遊び心を添えています。
▲落ち着いたグリーンのラグは「ハグみじゅうたん」のもの。
シンプルな部屋に存在感を放つブルーグレーのソファは「IDEE」で購入。AJフロアランプやアルテックのクッションファブリックを合わせました。
光がこぼれ落ちる、グリーンコーナー
そして、この部屋のフォーカスポイントともなっている大きなグリーン。
室内でも比較的育てやすく、ぐんぐん成長すると言われるエバーフレッシュです。
さて、グリーンを置いたこのスポット、上から光が差していることにお気づきでしょうか。
内田さん:
「この家を建てるにあたり、とにかく明るい家にしたい、という思いがありました。
けれど、土地の南側には家が隣接。実はここは西向きの部屋で、日当たりとしては、あまり好条件ではありません」
そこで浮上したのが「木漏れ日」というテーマだったといいます。
内田さん:
「人が “木漏れ日” を感じるのは、実は陰にいるとき。
直接、強い日差しが当たる方角でなくても、家のあちらこちらにトップライト(天窓)を設けることで、光を要所要所に感じる仕組みにしました」
影の中に、こぼれ落ちるように光が差す。そのコントラストで、光の美しさやあたたかみを感じられるそうです。
小さな植物は、無印良品のトレースタンドに
ソファ脇は、グリーンを大小集めたオアシスのようなゾーン。
木製トレーを合わせられる「無印良品」のスチールトレースタンドを使い、小さな植物を集めています。
サボテンやエアプランツ、そして素材違いのポットカバーを、トレーというフレームの中でミックスさせることで、空間にまとまりが生まれ、小さなグリーンでも存在感のあるあしらいに。ツルを下へとのばしているのは、ディスキディアです。
そして足元には、こちらもツルが成長するポトスをバスケットに入れて。
「垂れ下がる」「床に添わせる」 など、動きのでる植物を交えると、成長に合わせて変化を楽しめます。
グリーンや鉢は、「IDEE」などのインテリアショップで見ることもあれば、「SOLSO FARM」 といった専門店、さらにホームセンターやスーパーで買うこともあるそう。
あえて切り分けた、ログハウスのようなリビング
西側に位置するダイニングルームから、通路を抜けた向こう側はリビングルームです。
内田さん:
「ダイニング~リビングへは、あえて見通しよくせずに、お互いに半独立とすることで、森を抜けるルートのような面白さが生まれました」
この通路のおかげで光と風が通ります。また、ここでもトップライトが効果的に使われていました。
2面に大きな窓を設けた東側のリビングルーム。
板張りの天井と無垢の床、そして窓から望む山の景色も合わさり、ログハウスや別荘のような雰囲気です。
白い壁面を飾る、雑貨がわりのエアプランツ
白い壁に映える、グリーンのあしらい。
ダイニングルームもそうでしたが、内田さんのインテリアには、あまり「雑貨や小物を飾る」ということがありません。
雑貨の代わりに壁を彩るのが、グリーンの存在です。
ライトからさげているのは、エアプランツのチランジア・ウスネオイデス。高い位置の窓辺にはアイビーを。
内田さん:
「エアプランツの方は、年に1~2度、白い花を咲かせるんですよ。お手入れは、週に1度、水の中にドボンと浸しています」
ソファ脇にもグリーンを集めて
▲ソファとローテーブルは、以前の住まいから長く使い続けている「MOMO natural」のもの。
ダイニング同様、リビングでも、ゆったりくつろぐソファのかたわらにグリーンを集めていました。
「無印良品」のベンチと「naut(ナウト)」のスツールを使い、グリーンや雑貨をディスプレイ。ポトスやシダなどをメインに、白とグリーンで統一しています。
AV機器の定位置は、木やうるしの「自然素材」をチョイス
こちらは、リビングの逆サイド。
華奢な脚がスタイリッシュなテレビボードとチェストは、岐阜でオーダーメイドの家具を手掛ける「飯沼克起(いいぬまかつき)家具製作所」に作ってもらいました。
上質なナラ材をベースに、真鍮のつまみや鉄、漆などの天然素材を使ったスタイルは、家と一緒に歴史を重ねていける家具だと内田さんが惚れ込んだお気に入りです。
テレビの右側には、葉のボリュームがたっぷりのシダを。
インテリアには浮いてしまいがちなテレビも、たっぷりのグリーンを合わせることで、木の家具や漆喰の壁といった天然素材ともすんなり溶け込みます。
同じく「飯沼克起家具製作所」でオーダーしたこちらのチェストには、家族の日用品や子どものおもちゃ、雑誌などをしまっています。
▲アイアン素材に、漆を重ねたというチェストの脚。「時間を重ねることで、古びていくのではなく味わいが増すのが自然素材の魅力」と内田さん。
内田さん家族は、光がたっぷり入る気持ちのいい時間帯をこの東側のリビングで、そして日が傾いてきたころには西側のダイニングでゆったりと食事を、と使い分けているのだそう。
内田さん:
「リビングとダイニング、ひとつにまとめるスタイルもいいですが、両方それぞれを主役にしたことで、時間や気分に合わせて過ごし方を変えられる良さができました」
大きな窓から眺める自然とつながるようにある住まい、そして彩りを添えるグリーン。
山や森へ足を踏み入れた時のようなリラックス感が、この家には満ちていました。
次回はキッチンと、この家の第2のリビングともいえるバルコニーをお届けします。
(つづく)
【写真】岩田貴樹
もくじ
内田 雄介
一級建築士。東京都稲城市で 「内田雄介設計室」 を主宰。建築を 「時」 と 「場」 を形づくる行為と考え、心地よい住まいと向き合う。プライベートでは、川のせせらぎが聞こえる気持ちの良い一軒家で、妻の彩さんと、この春から小学生になった娘との3人で暮らす。http://www.u-architect.jp/
ライター 藤沢あかり
編集者、ライター。大学卒業後、文房具や雑貨の商品企画を経て、雑貨・インテリア誌の編集者に。出産を機にフリーとなり、現在はインテリアや雑貨、子育てや食など暮らしまわりの記事やインタビューを中心に編集・執筆を手がける。執筆媒体は「PLUS1 LIVING」「ONKUL」「tocotoco」「Hanakoママ」など。
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