【インテリア特集】第2話:家族もゲストも心地いい。グリーンあふれる、すっきりキッチン。
ライター 藤沢あかり
自然素材のキッチンに、すがすがしいグリーンを添えて
インテリア連載vol13は、建築家・内田雄介さんのご自宅を訪ねています。
家族3人暮らしの住まいは、自然素材をたっぷりと使った一軒家。シンプルだけれどモダンすぎない、自然の豊かさとあたたかみを感じる空間に、大好きなグリーンで彩りを添えています。
連載2話目は、家族はもちろん、訪れたゲストも居心地のいいキッチンと、アウトドアリビングとして活躍しているウッドデッキの様子をお送りします。
(※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです)
第2話
グリーンが映える、すっきりキッチン
天然木をたっぷりと使って仕上げたキッチンは、ダイニングと同じく白を合わせ、シンプルですっきりとした空間です。
カウンターは、床材と揃えたナラ材。時間の経過とともに、色つやが増し、良い味わいになっていくのが楽しみな素材です。ワークトップには清潔感のあるステンレスを選びました。
内田さん:
「キッチン脇の柱は、油はねを考慮してタイル仕上げにしています」
「これなら、掃除も手軽だし、見た目にもアクセントに。タイルはマット素材を選んだので、使い込んでいくにつれて、鈍い光に変化するステンレスとリンクしていくのが楽しみです」
持ち物を見直して生まれたゆとりに、グリーンを
背面の棚は、最低限のものしか置かずすっきりを保っています。
内田さん:
「キッチンに限らずですが、この家に越してくるときに、かなり持ち物を見直しました。だからこの空間に持ち込んだものは、どれもお気に入りばかり。
持ち物を厳選したおかげでシンプルになり、グリーンを飾るゆとりが生まれたように思います」
▲カウンター上には、白とシルバーでまとめた最低限のキッチン家電を。 「デロンギ」のコーヒーメーカーや「NESPRESSO」のエスプレッソマシーン、「ラッセルホブス」の電気ケトルが並びます。
場所を選ばないフェイクグリーンも上手に活用
ここでも、ポトスやエアプランツなどをアクセントに。
実は、この中で1つだけフェイクの植物がありました。
それがこの、アナベル。
内田さん:
「アナベルは大好きな花ですが、意外と傷みやすく長持ちしづらいうえに、重心が重く飾るのにテクニックが必要。ためしにフェイクを取り入れてみたら、意外にもなじんでいます」
フェイクなら日当りや風通りを気にせず、キッチンのような場所にも気軽に飾れそう。上手に取り入れてみるのも手かもしれませんね。
窓辺にはエアプランツを。
エアプランツもまた、こまめな水やりなどのお世話や、置き場所に悩まずに飾りやすいグリーンのひとつ。内田さんも週に1度、水に浸け込むだけだそう。
小さなものでも、少しグリーンが加わるだけで、その場がイキイキと感じられます。
キッチンカウンターの一角は、パソコンを置いたワークスペースに。
▲スツールはデンマークのシューメーカーチェア。
レシピ検索や学校へ提出する書類作成など、キッチン&ダイニングにこんなスペースがあると便利です。
もちろんここにもグリーンを添えて。
ユニークな枝ぶりで人気のガジュマルと洋書で、さりげなく背面コンセントの目隠しをしていました。
ごはんをおいしく演出する、白の食器たち
収納の中も少し見せていただきました。
食器やグラスは、「イッタラ」のTEEMAを中心に白とクリアのトーンで揃えています。
内田さん:
「食器類も、引っ越しの際に厳選しました。
なんとなく買ってしまったもの、使い勝手のあまり良くないものは手放し、お気に入りだけを残しています。
色や柄があるものも好きですが、やはり白が一番ごはんを美味しく見せてくれるような気がして」
スタッキングできる形を揃えているため、重ねてコンパクトに収納できるのもすっきり見えるポイントですね。
▲新緑のようなグリーンのルクルーゼ鍋も、お気に入りのキッチン道具のひとつ。冷蔵庫の上に置いたポトスのカラーともリンクして、このキッチンにぴったり。
物をたくさん出しすぎない広々としたキッチンは、お手伝いが楽しい年頃の娘さんとも安心して過ごせます。
オープンな空間なので、遊びに来てくれたゲストが料理を運んだり、片づけを一緒にお願いしたりと、団らんの輪にいながらキッチン作業が進むのも嬉しいところです。
障子戸の先には、見晴らしのいいアウトドアリビング
家族やゲストにとって、リラックスできる空間がもうひとつありました。
障子戸、そして網戸ともにナチュラルな木枠で仕上げた一面の窓を開けると、そこは広々としたウッドデッキです。
春には眼下に広がる桜並木、紅葉の季節には赤や黄色に染まる山を見晴らせるこのアウトドアリビング。
日に日に緑が濃さを増すこれからの季節は、お風呂上がりにビールを飲むのも最高なんだそう。
お花見や夕涼みを楽しむウッドデッキにも、植物をたくさん並べています。右奥は、シルバーグリーンのボリュームある葉がかわいらしいアデナンサス。
内田さん:
「寒さや風に強い、多肉植物を中心に置いています。比較的、放っておいても丈夫に育つものが多いです」
フォールディングチェアや木箱を使って、高さや鉢にメリハリをつけて飾っています。
内田さん:
「大きい植物は、置き場所や手入れ方法、日あたりなどをしっかり吟味したうえで購入します。反面、手に取りやすい小さな鉢は、やっぱり増えてしまいますね。
小さなものばかり集めるより、大きな植物を置いた方がかっこいいかな……と思ったこともありましたが、おかげで小まめに置き場を変えてはインテリアの変化を楽しんでいます」
季節や日あたりに合わせて、家具とのバランスを考えて。四季や気分に合わせて置き場所を変えて楽しんでいる内田さん。
主役になる大物のグリーンも素敵ですが、小さなグリーンなら気軽に取り入れられそうです。
窓を開けると、川のせせらぎや鳥の声、遠くで鳴る小学校のチャイムなど、のどかな音が心を和ませます。
自然に耳を傾ける暮らしは、家族やゲストとの会話をより深める効果もあるようです。
次回、最終回では、家じゅうに散りばめた小さなグリーンのアイデアをご紹介します。どうぞお楽しみに。
【写真】岩田貴樹
もくじ
内田 雄介
一級建築士。東京都稲城市で 「内田雄介設計室」 を主宰。建築を 「時」 と 「場」 を形づくる行為と考え、心地よい住まいと向き合う。プライベートでは、川のせせらぎが聞こえる気持ちの良い一軒家で、妻の彩さんと、この春から小学生になった娘との3人で暮らす。http://www.u-architect.jp/
ライター 藤沢あかり
編集者、ライター。大学卒業後、文房具や雑貨の商品企画を経て、雑貨・インテリア誌の編集者に。出産を機にフリーとなり、現在はインテリアや雑貨、子育てや食など暮らしまわりの記事やインタビューを中心に編集・執筆を手がける。執筆媒体は「PLUS1 LIVING」「ONKUL」「tocotoco」「Hanakoママ」など。
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