【店長コラム】心の底を動かされた一冊の本との出会い。
店長 佐藤
一冊の本の話をする前に、少し恥ずかしくもある、最近起きたばかりのみっともない話を。
実は……と大げさに切り込むほどのことでもないのですが、ここのところ仕事にまつわる分野で考えなければいけないこと、決めなければいけないことが続いていて、さすがにちょっとだけ神経がすり減っていました。
隙間を見つけては頭のなかをぐるぐる回転させて考える。頭のなかにあることを紙に書き出して考えてみる。
世の中の多くの経営者や、マネジメント職に就いている方と比べれば「なんだ、そんなことで」と思うような案件かもしれないなぁとも思います。
でも、考えに考えてしまいました。そして、ちょっとだけ疲れてしまっていました。
そんなタイミングで、実兄でもありクラシコムの代表である青木と話す時間がありました。
私たちは血の繋がった兄妹ではありますが、実際のところはお互いの弱音や愚痴をなんでも吐き出しあえる仲というわけではありません。
一緒に会社を経営していることもあり、わりとお互いに寄りかかり過ぎないように、気を遣いあっている間柄であるんじゃないかと思います。
それでもやっぱり兄妹ですから、人間ですから、ついつい口をついて弱音を吐いたり相手を罵倒しちゃうことってあるんですよね。
その日、わたしはとっても疲れていて、つい青木に向かってこんな弱音を吐きました。
「こんなに考えてるけどさ、そうやって、やっていった先は本当に良くなるんかね。こんなに考えていること自体に意味があるのかさえ分からなくなってきちゃってさ」と投げやりなことを言いました。
すると、青木は吐き捨てるようにわたしにこう言いました。
「ふんっ、先が良くならないと頑張れないんだったら、もうやめたら?」と。
「カチーンッ!!なんだ、この人。優しさのかけらもない一言を」心のなかでそう思い、本当に頭にきて、ミーティングルームを後にしました。
でも時間が経つにつれ、青木が吐き捨てるように言ったあの一言が、実は吐き捨てて言った一言ではなく、もしかしたら私への信頼の表明だったのかもしれないと思うように。もっと正確に言えばビジネスパートナーとして「試されているんだな」と感じました。
さてここでようやく本の話になるのですが、こういうみっともないタイミングで、カフェ マメヒコの店主 井川啓央(いかわ・よしひろ)さんが書いた『桜の木にバナナの実』という本の一節に出会うことになります。
ゲーテはこう言っています。
『日々は迷いと失敗の連続だ。しかし、時間を積み重ねることが成果と成功をもたらす』
ボクらのお店はとてもスケールが小さく、できないことに目を向けたらうんざりします。
ただだからと言って、絶望してはいけない。スケールの小さいカフェならではの理想をボクらは実現していくのだ。
いまあなたが立っている地続きに、理想を作ることです。
—『桜の木にバナナの実』井川啓央著 31ページより
「いまあなたが立っている地続きに、理想を作る」。刺さりました!ズシーンときました。
頑張っていたらうまくいくか、先が良くなるかどうかが大事なのではなく、希望のある先を描き続けられるか、そのために粘り続けられるか(頑張り続けられるか)なんだよなと。
このことに疲れちゃあいけないなと、心の底から自戒しました。
時おり弱ることもありますが、やっぱり本や言葉との出会いって大きいですね。言葉の本質に出会い直せたような気持ちです。
今日紹介した本は、近年読んだ本のなかでも、個人的にはかなり心を動かされた一冊でした。
著者である井川さんがカフェを営み、カフェだけでなくいろいろな表現における取り組みをする中で感じてこられた、ご自身や周囲の人(共に働く仲間やお客さん)への考察、洞察がとてもとても興味深いです。
仕事をもっている人に限らず、自分というものをどうにかできないものか?と混沌としている人、何らかの魅力的な「場」をつくりたいと思っている人。どんな人にとってもヒントがある一冊だと思います。
▼『桜の木にバナナの実』は、カフェ マメヒコの店頭、マメヒコWEBショップで購入することができるようです。
Mame-Hico WEBSHOP
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