【Fikaにお邪魔しました】第4話:家族が仲良く暮らすための、Fika(フィーカ)の時間

ライター 大迫美樹

北欧の暮らしって、一体どんなものなんだろう?

本特集「Fikaにお邪魔しました」では、そんな疑問にお答えするべくストックホルムの人々の暮らしぶりやインテリアを紹介していきます。

シリーズ1回目では、ストックホルム郊外の築70年以上のアパートに暮らすリネアさんとエリックさん夫妻の自宅を訪れました。

最終話では、家族でのFika(フィーカ)の様子をお届けします。普段どのようにFikaを楽しんでいるのか、そしてリネアさんの仕事についても伺いました。

 

Fikaにお邪魔します!

「Fika大好き」というリネアさんとエリックさん。普段はどんな時にFikaを楽しんでいるのでしょうか?

リネアさん:
「暇さえあればいつでも(笑)。息子が生まれてからは、時間があるのでしょっちゅうしています」

というのも、去年ボーくんが生まれたのをきっかけに夫婦でそれぞれ7ヶ月ずつ、合わせて1年と2ヶ月もの間、育児休暇を取られたそうです。

リネアさんが育休があけた今年1月から、エリックさんが交代で育児休暇に入ったそう。この取材に訪れた8月終わりに、仕事に復帰されたばかりでした。

エリックさん:
「育児休暇中はたっぷりと時間がある。だけど基本的に息子がいるから、普通の休暇とは違ってやることが限られてきますよね。その中でFikaは、自分自身も息子も一緒に楽しめるツールのひとつのようなものです」

こまごまと息子さんの世話や、やることがたくさんあるなか、好きなFikaでホッと一息ついて少しリラックスした時間を過ごせる。気分を変えたいときは、外に出かけてカフェでFikaをしたりすることも。

四六時中一緒にいると少し疲れることもあるけど、Fikaでお互いにリフレッシュができる。そんな効果があるのかもしれません。

 

本日のFikaのおともは……

▲ブレッドボードはヘイ(HAY)

早速今日のFikaのお供を見せていただきましょう。

クロワッサン、アーモンドペーストが入ったデニッシュ、ビスクヴィーエル(Biskvier)というスウェーデンのお菓子。

Biskvierは、アーモンドと砂糖でできた生地の中にバタークリームを入れて、トップにチョコレートをかけたお菓子です。スウェーデンのカフェではよく見かけるお菓子のひとつ。

プレート代わりにブレッドボードを使っているところも真似したいアイデアですね。

▲コースターは、日本で買ったというSaito Woodのもの

コーヒーが注がれたカップは、ArabiaのRuska。お気に入りで毎日愛用しているそう。

リネアさん:
「もともとRuskaは数客持っていたのですが、つい最近、結婚祝いとして友人からティーポットにプレート、カップ&ソーサーのセットをいただきました」

子供が生まれると出かけられるところも限られてくる。だけど友人たちとも会いたい。そんな時は自宅に招待して、一緒にFikaをして過ごすそうです。

リネアさん:
「自分たちのソーシャルな生活が、子供ができることによってどうしても制限されてきます。でもこうやってFikaで友人たちと集まれば、子供も大人も楽しい時間を過ごせます」

Fikaは、家族がいつも仲良く暮らしていくためには必要な時間ということを、ふたりの話を聞きながら改めて感じました。

▲夫婦ふたりが交互でボーくんの世話をしている姿が印象的。ボーくんは、大好きなクロワッサンをうれしそうに口いっぱいほおばっていました

 

北欧の「働き方」って、どんなふう?

▲リネアさんが好きで何度も見返すという本や雑誌。これらはインスピレーションを与えてくれるそう。中にはFound Mujiのカタログも

Fikaの合間に、リネアさんのお仕事についても詳しく伺ってみました。

リネアさんは、グラフィックデザイナーとしてフリーランスで仕事をされています。普段はどのような働き方をしているのでしょうか?

リネアさん:
「ストックホルムのインテリアショップ、ベトンググルーヴァン(Betonggruvan)でデザイナーとして半分、そしてフリーランスで半分というスタイルで仕事をしています」

Betonggruvanはストックホルムでも人気のインテリアショップ。オーナーがオリジナルの家具も作っていて、セレクトしたインテリアとオリジナル家具が並ぶショップです。ふたりのベッドルームに置いてあったサイドボードもBetonggruvanのものでした。

リネアさんは、そのショップのウェブやカタログなどのデザインを手がけています。

週の半分はこのショップのオフィスで、残りを自宅で仕事をしているとのこと。

フリーとして自宅で仕事をする際には、ストリングシェルフにつまった本や雑誌を見ながらインスピレーションを得たりしているそうです。

そんなインスピレーションを与えてくれる本やお気に入りの雑誌などを見せてもらいました。

▲好きな本や雑誌を探してくれるリネアさん

リネアさんは本や雑誌を見る時、いつもパラパラっと見るだけであまり読んだりしないそうです。職業柄、デザインやビジュアルばかりに目がいってしまうとのこと。

反対にエリックさんは、じっくりと読むのが好きなんだそう。

そのふたりの欲求を叶える雑誌が『The Gourmand』だとか。

Foodがテーマのイギリスの雑誌で、素敵な写真やイラストも多く、そしてさまざまな国の食文化も紹介されていて読み応えもある雑誌です。この雑誌、じつは私・大迫も好きで創刊号からいくつか本棚に並んでいます。

もうひとつ手にした雑誌は、リネアさんと友人が一緒に手がけている『Pet People』です。

リネアさん:
「ペットと飼い主にフォーカスした雑誌です。毎号、違う都市をテーマに、その街で暮らす人とペットについて紹介しています」

動物好きで、それが高じて雑誌を作ってしまったそう。もちろん、本のデザインはリネアさんが手がけています。

創刊号はスウェーデンの南にある街マルメ、2号と3号がストックホルムとベルリンで取材・撮影をしたそう。

年に1回から2回を目安に発行中で、そろそろ次の号のアイデアを考えはじめないと、と話していました。

▲リネアさんが手がける雑誌「Pet People」。写真やビジュアルが素敵で、ペットがいない人でも楽しめる雑誌

第3話でキッチンを見せていただいた時に気になっていたカッティングボード。

かわいらしいパターンで色や形が違うものが隅にまとまって置かれていて、どこのものだろう?と思っていたら、じつはこちらリネアさんのオリジナルでした。

リネアさん:
「熱にも強いため鍋敷きとして、カッティングボードとして、時にはプレートとしてチーズをのせたりして使っています」

一時期友人のネットショップで売っていたそうですが、残念ながら今は手に入らないそうです。

実用性もあり、パターンがインテリアのアクセントとなり、しかもオリジナルとなると愛着がわくのでいつまでも大切に使えそうですね。

リネアさんが普段自宅で仕事をするときは、ダイニングスペースを使っているそうです。そしてベッドでも仕事をしているというリネアさん。

リネアさん:
「みんな驚きますが、ベッドの上でダラダラしながらの仕事はとってもはかどるんです」

ベッドでの仕事は集中できるとことなので私も早速試してみましたが、感想としては「あり!」だと思いました。

おもしろそうな仕事を手がけているリネアさん。「仕事は楽しい!」と言うだけあって、たくさんの興味深い話を聞きながら、仕事が好きな様子がしっかりと伝わってきました。

 

北欧の暮らしを、のぞいてみたら

全4回にわたってストックホルム郊外の、築70年以上のアパートに住むリネアさんとエリックさんの自宅をお届けしました。

51平米に家族3人。「部屋が狭い」とあきらめずに、お気に入りのモノやグリーンを飾ったり、色のトーンを合わせて心地よい空間を作ったりと、工夫をしながらインテリアを暮らしの中で楽しんでいる様子が印象的でした。

ストックホルム近郊や街中に暮らす人たちは、日本と住宅事情が似ているところがあります。例えばコンパクトなスペースに暮らしていること。

だからこそ、ふたりから真似できる小さなアイデアがいっぱいあるのではないでしょうか。

そして家族が仲良く暮らすために必要なFikaの時間。いつも一緒にいるからこそ、お互いが好きなことで上手に息抜きをすることは不可欠なのかもしれませんね。

新連載『Fikaにお邪魔しました』は、いかがでしたか? この連載を通して、みなさんがスウェーデン、そしてストックホルムでの暮らしを少しでも身近に感じていただけたら嬉しいです。

(おわり)

【Photo】Markus Karlsson Frost

 


もくじ

 

Linnea & Erik Paulsson Neppelberg

リネア & エリック・ポールソン・ネッペルベリー。ストックホルム郊外のアパートで、1歳の息子さんと愛猫と一緒に暮らす。リネアさんはフリーのグラフィックデザイナー、エリックさんはスウェーデンの国営放送局勤務。リネアさんは年に1~2回発行の雑誌「Pet people」を主宰。
http://www.petpeople.se
http://www.linneapaulsson.se

ライター 大迫美樹

コーディネーター、ライター、通訳者など。大学卒業後、アパレル会社や広告制作会社勤務を経て、2007年にスウェーデンのストックホルムへ移住。現在はフリーランスで、雑誌や広告、TV、日本企業の仕事を中心にコーディネート全般、執筆を手がける。またスウェーデンのライフスタイルを届けるウェブサイト「KOKEMOMO Sweden」も運営中。インスタグラムアカウントは @mikikosmic

 


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