【憧れの、大人に会いに】後編:40代って、すごく生きやすい。なにか「始める」なら今かもしれない

ライター 藤沢あかり

自分のやりたいことに素直でいる人は、いつも輝いています。そんな気持ちに従って、ある程度年齢を重ねた「大人」になってから、新しいことを始めた方々にお話を伺うこのシリーズ。

今回は、パレスチナから有機栽培と伝統製法にこだわった「フリーカ」を輸入し、フェアトレード事業を立ち上げたedit JAPANの堺あゆみさんにお話を伺っています。

40歳で、まだ幼い子ども2人を連れてパレスチナへ飛び、新しい道へと歩み始めた堺さん。後編では、その後の苦労とその乗り越え方、そして「40歳」という年齢の可能性についてもお聞きしていきます。

前編はコチラ>>

大人になって「恥をかく」のも悪くない

「小学生が東大に入るくらい難しい」と言われながら、古代穀物「フリーカ」の輸入を成し遂げた堺さん。そこから今のように広く知ってもらうまでには、地道な努力と行動がありました。

堺さん:
「食品の輸入はわからないことだらけだし、業界の中では一年生。輸入に至るまでは、関係省庁をまわったり、手続きについて猛勉強したり。輸入後の営業活動も、気になる会社や出版社のホームページを見て一軒一軒電話をかけ、試食を持ってあちこち出向いていました。

もちろん、最初は冷たくあしらわれることも多くて。落ち込んだことも一度や二度ではありません。

何か新しいことをするときって、すごく勇気がいるし、なんだか恥をかいてしまうような気がしませんか?私、プライドが高い方だから恥をかくなんて絶対に嫌だったんです。いろいろとまわりの目も気にしてしまいます。

でも、考えてみれば私の恥なんてどうでもいいくらい小さいこと。自分が思っているほど、人は自分のことなんて見ていないと気付いたんです。だから、人に迷惑をかけない範囲なら、自分が恥をかくぶんには何をやってもいいのかなって」

言われてみると、何かを始めるとき、行動を起こすときに、二の足を踏んでしまう理由のひとつに、「他人にどう思われるだろう」と、まわりの目を勝手に想像して考えてしまうことがあります。

▲パッチワークを施したクッションは、パレスチナの女性がモチーフ。現地のアーティストによる作品で、パレスチナの女性自立支援センターのショップで購入した。

堺さん:
「居心地のいい環境は、やっぱり安心だし楽ですよね。でも、恥をかくということは、何か新しいことに挑戦している証。

もし恥をかいても、それは一瞬だし、そこから得られることのほうが大きい気がします。

『恥をかいてもいい』と割り切れたら、一歩動く勇気につながるかもしれません。そもそも、自分がそう思っているだけで、周りにとっては恥でもなんでもないことだったりしますしね。

私もそうでしたが、やらずに言い訳や愚痴を言っても、その瞬間がちょっとすっきりするだけ。根本は変わらずにその日々は続いていくんですよね。だったら、恥をかいてもいいから、ちょっとだけでも何かをやってみようって思うようになりました。

その恥だって辛く感じても、友達に話して『笑い』に変えてしまえばいい。ネタにしちゃうことで自分を客観視できるし、少し救われますから!(笑)」

 

半歩動くだけで、見える景色は変わるはず

堺さん:
「急に大股で動く必要はないと思うんです。

大胆で動くのはエネルギーがいるし、やっぱり怖いとか、そこまで勇気がでないとか、つい思ってしまいます。でも、ほんのちょっとだけ勇気を出して、半歩だけでもいいから動いてみる。

ちょっとでも動くと、それが自信につながって、それだけでも見える景色は変わるって気づいたんです」

堺さんも、産後のモヤモヤを抱えての自分探しの時期をくぐり抜け、踏み出したのは「フェイスブックに自分の気持ちを発信する」という小さな小さな一歩でした。

▲2人の子どもたちへも「毎日何かひとつ、新しいことが見つけられるといいね」と話しているそう。それは難しいことではなく、目にする景色や色、言葉、音、香り……、生活の中でアンテナを張ることは、感度のいい心を育てることにもつながりそうです。

堺さん:
「私の場合はパレスチナが大きな転機でしたが、誰でも行けるような場所じゃないと思います。たまたま、おいでと言ってくれる友人がいて、過去に行ったことのあった国で……、私のその時の “えいやっ” と言う気持ちと重なっただけ。

でも、なにか習い事を始めてみるとか、始めるまでいかずとも書店で関連本を手に取ってみるだけでも変わります。

しばらく会っていない友人に連絡をしてみるとか、誰か新しい人のインスタグラムをフォローしてみるだけでも、新しい人やもの、思いがけない気づきとの出会いにつながるかもしれません」

大きな一歩でなくていい、ほんの半歩でいい。大切なのは、小さくてもいいから動いてみるということ。湖に投げた小石が波紋を広げるように、ほんのわずかな動きが別の動きへのきっかけとなり、「自分探しの答え」が見つかるのでしょう。

 

40歳は、生きやすい。なにか始めるなら今こそ!

20歳、30歳、そして40歳。

人は、節目の年齢を前にすると、「これまでと同じではいられない」「何か変わらなくちゃいけない」そんな思いに駆られ、焦ったり迷ったりしがちです。

人生80年だとしたら、40歳はちょうど折り返しの年齢。「もう40歳」ととらえるか、「まだ40歳」ととらえるかで、そこからの人生は大きく変わります。

現在、43歳となった堺さんにとって、40歳とはどんな年齢なのでしょうか。

堺さん:
「40歳って、すごく生きやすい。そしてなんでもできる年齢だと思います。

いろいろな知識もついていて、世の中に大人として認められる年齢です。だけどまだまだ元気で、引退までには時間がある。

足元には生きてきた40年があって、想像つかないほどこれから先が長いわけでもありません。経験も未来も、どちらもある。

人生を俯瞰してみるのに、ちょうどいいのかもしれないですね。

もちろん、私も体力の衰えを感じたり、アンチエイジングに興味も出てきました。おばさんだなって落ち込むこともあります(笑)。でも、いい年齢だと思いますね」

なんでもない毎日が重なっていき、振り返るとそれは人生になります。日常は、一日単位で見ると厚みを感じない紙切れ一枚のようなものかもしれません。でも重なることで、確実に分厚い一冊の本となるのです。

たった一度の人生。そこにどんな物語を紡いでいくのかは、今、なにげなく過ごしている毎日をどう過ごすか。その積み重ねにかかっています。

堺さん:
『私、本当はこんな夢もってるんだけどな』って心の中で思っていても、誰もそれを叶えてくれないし、背中を押してくれるわけでもない。自分の人生を決めるのは自分なんですよね。勝手に誰かが、自分の人生をしあわせにしてくれるなんてことはないんです。

今の自分がいる場所がしあわせで、それが一番だと心から思えるならそれでいいし、何がしあわせかなんて人それぞれだと思います。でも、もし少しでもモヤモヤしているのなら、動いてみた方がいい。

だって人生は、一度きり。本当にたった一回しかないんですから」

【撮影】砂原文


もくじ


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堺あゆみ

大学卒業後、旅行代理店、出版社を経て独立。edit JAPANを立ち上げ、雑誌やWebコンテンツの編集委託のほか、フェアトレード商品の輸入卸、商品開発、プロデュース、コンサルティングなどを行う。小学4年生と3歳、2人の女の子のママ。HP:http://editjapan.jp /  instagram:「editjapan」

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ライター 藤沢あかり

編集者、ライター。大学卒業後、文房具や雑貨の商品企画を経て、雑貨・インテリア誌の編集者に。出産を機にフリーとなり、現在はインテリアや雑貨、子育てや食など暮らしまわりの記事やインタビューを中心に編集・執筆を手がける。

 


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