【ケの日のこと】「パパは口ばっかり」の汚名返上⁉︎ 急きょ始まった餃子づくり
「家族と一年誌『家族』」編集長 中村暁野
第36話:継続は力なり
最近、夫が何か新しいことを始めたがると、すかさず娘が「木登り、らっきょう作り、パン作り」と唱え出します。
その後「カレー、山登り、味噌汁作りとお米炊くこと」と、呪文のように続くこれらは何なのかと言うと、夫が自ら「やる!」と宣言したまま一度しか行われていない、もしくは一度も行われていない物事なのです。
この連載でも何度か触れていますが、夫は瞬発的な行動力が抜群にある一方、継続力が致命的にないのです。仕事となれば何事も最後までやり遂げますが、私生活ではやる前から飽きてしまうこともしばしば。なのに、形から入るのが大好きな性分でもあるのです。
2歳になる息子が生まれた時に、「これを背負って山を登る!」と高らかに宣言し購入したアウトドアブランドの背負子リュック。これはわずか30分ほどのハイキングに一度行った以来クローゼットに鎮座し続けています。またある時に、思いつきで大量に購入したらっきょうの種球は植え付け時期を完全に逃しカラカラに……。それでも懲りることなく「木登りする時にワイヤーロープが必要だな」とか「スパイスセット揃えようかな」とか言い出すので、いつしかそれを全力で止めるのがわたしの役目となっていました。
ですが、「パパは口ばっかり」と、娘に思われてしまうのはよろしくないんじゃないかしら、とも常々思っていたのです。
▲部屋の片隅に悲しく佇む、背負子リュック。
そんな夫が先日、娘のクラスのお父さんたちが集まって交流する「親父の会」に参加してきました。娘のクラスのお父さんたちはお米や野菜を作ったり、うどんやトルティーヤを作ったり、竹細工や太陽光パネルを作ったりと、いろいろ作れる面白い方がたくさんいるのです。その交流会でもみんなで餃子を皮から作って食べたとのこと。
その会を経た夫から「僕、これから餃子いろいろ作ってみようかな」と恒例の発言が出たところで、娘もいつものように「木登り、らっきょう作り、パン作り……」と唱え出したのですが、そこに割って入ったわたしが「じゃあ今日子どもたちと餃子作ってよ」と言ってみたのです。
その日はちょうど日曜日、そして餃子だったら初期投資も格安。かくして急きょ実行された餃子作り。一本しかない餃子の皮を伸ばす綿棒をめぐって、娘と息子が揉めるとすぐに「ちょっと綿棒買ってこよう!」と言い出す買いたがりの夫を制し、ご近所さんから借りてきた2本を追加して、無事大小さまざまな形の餃子が出来上がりました。生地から作った餃子はもっちりと食べ応えたっぷりで、とてもとても美味しかったです。
そうして思いがけず始まった餃子作りは、夫が「やりたい」といったことをやり遂げ、娘にちょっとだけいいところを見せられた、記念すべき「ケの日」となったのでした。
継続は力なり。一度の成功で終わらせず、近々また餃子を作ってもらう為に、綿棒を2本購入しようと思うわたしなのでした。
【写真】中村暁野
中村暁野(なかむら あきの)
家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。8歳の長女、2歳の長男を育てる二児の母。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。『家族』2号が1/14に刊行。現在販売中。http://kazoku-magazine.com
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