【44歳のじゆう帖】年齢にあわせて、ファッションは変えるべき?
ビューティライターAYANA
服は「推し」を表現するためのもの
あなたにとっての服ってどんな存在ですか?
私は服が好きなほうだと思います。ただ、別におしゃれというわけではありません。
というのが、ファッションはスタイルを表現するものと思ってきていて、それはミュージシャンに対する多大な憧れがあったからなんです。
今はそういう時代ではないですけど、私が若い頃って、ロックンロールの人、パンクの人、ヘヴィ・メタルの人、グランジの人、ヒップホップの人、ソウルミュージックの人、テクノの人……みんなスタイルがあったんです。そこにアイテムとかブランドが紐づいていました。
だからファッションって生き方を表明するもの、みたいに思っていた節がある。というと大袈裟ですけど、まあ今で言えば推しをアピールするうちわみたいなものですかね。私はこのカルチャー属性!と、世間(&自分)に対して高らかに宣言するような。
高校〜大学になるといろんなブランドを知り、パリコレなんかもチェックするタームに入るのですが、結局やっていることは同じで、自分の憧れのカルチャーがあり、その世界を表現するための服やブランドを選ぶという感じ。
その感覚は今でもずっと続いています。多分死ぬまで、このままのような。
「年相応」の舵を自分で取っていく
ところで「年相応」という言葉、ファッションにおいても使われる表現ですよね。
この歳でミニスカートはどうなのとか、パステルカラーはまずいとか。大抵「もう大人なのにそんな若い子が着るようなのを選んじゃって大丈夫ですか?」みたいな意味合いで使われる気がするのですが偏見でしょうか。
個人的には、歳を重ねて着てはいけない服なんて振袖と制服ぐらいだと思っています。
70歳でミニ丈やパステルカラーを着こなす素敵な人はたくさん存在するのですから。
ただ、どんな服であっても若い頃とまったく同じように着ることは難しい、とも思います。体型、肌の質感、顔のつくり、重ねてきた経験の重み(しぐさや表情)が異なるからです。
自分の中に起きているその変化(間違っても劣化ではありません)に敏感であることは大切で、それを理解したうえで好きな服を着るのがいい。それが真の「年相応」と言えるのでは、なんて思います。
例えばTシャツというアイテム。若い頃特有のあっけらかんとした、ある意味で空っぽともいえる、熱量ばかりを持て余したような空気には、カジュアルな古着のTシャツもぴったりフィットします。大人はそうはいきにくい。
でもカッティングや素材に少し気を配って選べば、若い頃には出せなかったシックな迫力をもって着こなすことができます。
大人であることを誇るために、服を着る
メイクも服も「若いころから更新されていない」みたいなお悩みを聞くことがあるんですが、更新されていないことに自分自身がどう思っているのか、というのが重要なんですよね。
昔から変わってないけどこの自分が好き、なかなかいい感じよね、と思っているならまったく問題ないのでは。ただ、退屈を感じたり、くすぶりを感じているなら変えるチャンスです。
私はかつて、コツコツ集めたバンドTシャツを全部捨てたことがあります。
それはやっぱり似合わなくなってしまったからなんですが、鏡のなかの自分を見て「あ、これはもう似合わないわ」と判断したからであって、この歳になってバンドTなんて恥ずかしい、みたいな感覚ではなかったなと。
では似合う似合わないはどうジャッジするか。ひとつの基準として私が持っているのは「貧乏くさく見えないか?」という設問です。
貧乏くさいという言葉は説明がとても難しいのですが、「お金がなさそう」とか「服が安そう」ってことでもないんです。
豊かそうかどうか?ってことなのかな、内面が。若いときは空っぽでもよかったけど、大人は内面にいろいろ抱えているわけじゃないですか。それが美しく見えてるかな?ってことかもしれません。
だから「年齢にあわせて、ファッションは変えるべき?」の答えはYESだと、私は思います。
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
▼44歳のじゆう帖
▼AYANAさんがスタッフの悩み相談に応える連載「メイク迷子のための往復書簡」
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