【もっと雑貨のはなしをしよう】パンを楽しく、美しく。日用品愛好家が選んだパン切りナイフ
近頃はずいぶんと暖かくなりました。こうも天気がいいと、昼寝がはかどって仕方ありません。ところで僕は春になると、新しいことをはじめたり、使っている道具を見直したくなります。
最近はじめたのが針仕事。といっても、破れたところを繕ったり、ボタンを付けたりする程度ですが、新しいスキルを覚えるのは何歳になっても楽しいものです。
それと、近所で感じのいい絵画教室を見つけまして、通いたいなと思っています。あとはペン字も習いたいし、バドミントンのレッスンも受けてみたいしで、これはもう時間とお金がいくらあっても足りないです。


ハンガーにアイロン、モップ、バックパックなどなど、日用品もいくつか新調しました。特に「買ってよかったな」と思ったのが〈morinoki〉のパン切りナイフ。
いままでは学生時代に買ったナイフを使ってましたが、切れ味が落ちてパンくずが散乱するように。研ぎ直すのも難しいようで、これを機に新調することにしました。


▲持ち手には強さと美しさを兼ね備えたケヤキを採用。個体差が出やすい素材ですが、言い換えれば、ひとつとして同じ表情のものはないということ。使っているうちに愛着がわいてきます。
どうしてこのナイフを選んだかというと、行きつけのパン屋さんにおすすめしてもらったからです。決め手は「パンくずが出にくいこと」でした。
ちょっと話が変わりますが、こういう専門的なアイテムに関しては、その道のプロに聞くのが一番です。いや、ほんとは自分で試してから選びたいんですよ。
でも、そういう道具ってだいたいは寿命が長いし、ひとつあれば大丈夫な場合が多いから、あれこれ買って試すのって難しいんですね(それこそ時間とお金がいくらあっても足りません)。
というわけで、キッチン用品やDIY用品なんかは「いい道具をご存知じゃないですか?」と尋ねています。お礼といってはなんですが、インテリアの相談を引き受けることもありまして、持ちつ持たれつという感じですね。


▲波刃の形状に注目。手前側と奥側でギザギザの間隔が変わってますよね。この2パターンの波刃を使い分けながらパンをカットしていきます。
パンくずの話でしたね。僕は行きつけのお店でフリュイというフルーツ入りのパンをよく買います。これが実においしくて……。あっさりめのクリームチーズと相性抜群で、毎日食べてもちっとも飽きません。
ところがこのフリュイ。表面がかたく、切れ味の悪い刃物で挑むと、まな板の上が美しくない状態になります。別に味には影響しませんが、これではパンとパン屋さんに申し訳ないなと僕は思うわけです。


それでは新しいナイフの実力はいかに? さっそく試してみましょう。まずは刃の先端をパンに当て、小刻みに動かせば……お見事。表面をあっさり攻略できました。


次に、刃の中央付近を使ってスライス。やわらかい中身を潰さずに切り出せました。
うーむ、美しい。切れ味がいいおかげで、パンくずもほとんど出ていません。ダイニングテーブルでケーキやタルトなどをカットするときにも重宝しそうです。


念のため、ほかのパンにも挑戦。こちらは同じ店で買ってきたクルミ入りのパンです。とてもやわらかく、並大抵のナイフではパンの断面がボロボロになるのですが……。
断面をご覧ください。実にきれいではありませんか!
上手に切れたからといって味が大きく変わるわけではありません。しかし、「パンを食べる」という行為を、より楽しく、より美しいものにできたように感じます。
「うん、これが『いい道具』を持つ理由なんだよな」とうなずきながら食べるパンのおいしいこと。思わずニコニコしてしまいます。


そうそう。このナイフはパッケージもかわいいんですよね。ものもいいですし、メーカーさんのフォローもしっかりしてますので、新築や引っ越しなどのお祝いにぴったりだと思います。
ただし、「縁切りを連想させる」という理由で、刃物の贈り物を嫌がる方もいらっしゃいます。プレゼントしてもよいか事前に確認しておくのがベターでしょう。
先日、春の陽気に誘われて昼寝をしているときに、自分が陶芸に勤しんでいる夢を見ました。
夢の中で僕はろくろをまわし、素焼きし、釉薬(ゆうやく)を掛け、最終的に一枚の青い器をつくりあげました。それは自らの手によるものとは思えないほど美しく、その青さを、いまでもはっきりと思い出すことができます。あるいは陶芸教室に通えというお告げなのかもしれません。
うーん。自分がつくったお皿でおいしいパンを食べるのって最高の贅沢ですよね。ひとつ、まじめに検討するとしましょう。
本日登場したアイテム
【イラスト】イチハラ マコ
【写真】渡辺平日
渡辺平日
日用品愛好家。海の見える小さな町で生まれ育ちました。毎日が平日のつもりで、日夜せっせと文章を書いています。趣味は町歩きと物件探しと民話収集。そういう話題が耳に入ると、反応して振り返ります。主な寄稿先は『LaLa Begin』『和樂web』『goodroom journal』など。Twitterアカウントは@wtnbhijt。
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