【マイナス3度の過ごし方】03:この5分で、夏の夕暮れを贅沢に過ごす
編集スタッフ 糸井
湿気に熱風、もうすぐそこに、忘れがたい暑い夏がありますから、火照った身体が少しでも涼しくなる暮らしのアイデアは必需品。
今の体温から「マイナス3度」くらいひんやり感じられたら、それだけで結構心地よくなるのではないでしょうか。本特集ではお家でできる、涼しくなるためのちょっとしたアイデアを4つご紹介します。
3話目では、夏の夕暮れを贅沢に過ごすための提案を。こんなに空がいつまでも明るく、のんびり夕方を過ごせるのは夏という季節の特権なのです。
夏の夕暮れは、5分だけ家事の手をとめて
18:00。1日でいちばん忙しい時間がやってきました。夕飯の支度をはじめる前にシンクに残ったお皿を洗って。あぁ、洗濯物も取り込まないと……。頭の中でやることリストが駆け巡る。時間の流れるスピードが途端に加速するのが、昼と夜の間、この夕暮れどきです。
でも夏の夕暮れどきは一年でいちばん美しいですから、たまには家事の手をとめて。ベランダでふ〜っと一息、涼しい風にあたってみるのも良いかもしれません。
7月の日没はだいたい19時くらいのようですが、夏の夕焼けがきれいなのは、実は日没後だといいます。30分かけて、ゆっくり色を変えていく夏の空を、静かに眺める時間をたった5分つくれたら、どれだけ気持ちが整うでしょう。
だからたまには、夕飯づくりに着手する前にビール一杯をあけて、すこし休憩をしてみたいと思うのです。
買っていたクラフトビールは、こういうときに惜しみなく開けましょう。
おつまみもあるといいですね。たとえば、お気に入りの輸入食材品店で見つけた、ご褒美がてらなポテトチップスはおすすめです。トリュフ味で、ドバイが原産国らしく、ポテトチップスの概念を変えてくれるおいしさがあります。
それを小皿に盛り付けます。
洗い物は増えますが、さっと洗い流せばすみそうですし、さっきまでしゃかりきに動いていた身体のスイッチを切り替えるには、こんなふうに、準備の段階からゆとりを確保することが助走になりますから。
サラミなんかもいいですね。
贅沢おつまみは、これくらいあれば十分でしょう。それらの小皿を持ったら、家の中、もしくはベランダへ。夕日を眺められて、腰を下ろせるスポットを探してみてください。
プシュッ。
ハムスターがすごいスピードで回し車を回しているように、一日忙しく動いていると変に頭と身体がハイになり、とても疲れているからなんとか休みたいのですが、どうにも落ち着かなくなることがあります。
そういうとき、かりそめながらも「まあ座りなさい」と一呼吸できるきっかけを、他の誰か・なにかが強制的に作ってくれたら、自分で作るのとは違ってくるんですよね。
だから、それを太陽が隠れ切るまでくらいの、夕方5分。まるで小学校でお昼休憩のチャイムがなったときのような感覚を思い出し、手と足を止めて、5分ほど外の変化を眺めてみませんか?
とてもシンプルかつ、これだけ? というようなことですが、うだるような暑さは、精神的な余裕をつくることでも心を涼しくできますから。
今年の夏は、こんなような夕方をいくつか過ごせますように。たぶん、満足の行く夕日が拝めても、曇っていて拝められなくても、空を見ている時間でどこか涼しさを取り戻せるはずです。
(つづく)
photo:shinnosuke yoshimori(吉森慎之介)
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