COLUMN
【我がままな晩酌】忙しい日が続いたら、台所でひとり焼き肉
ツレヅレハナコ
忙しい日が続いて疲れがたまると、ムショーに食べたくなるのが焼き肉。
かといって、今からひとりで焼き肉店へ行くほどの気力と体力は残っていない……。そんなときに私が駆け込むのが近所のスーパーです。
買い物かごを片手に、まずは精肉売り場へ。そして、価格を見ずに「一番食べたい」と素直に思う焼き肉用の牛肉を手に取るのです。黒毛和牛の赤身でも、美しい霜降り肉でもドンとこい！ とは言っても、お店で食べることを考えれば、スーパーのお肉ならお安いもの。弱った心とお腹が満足するなら思い切って贅沢するべし。
忘れてはいけないのは、鶏肉コーナーやホルモンコーナー。私は、鶏肉のセセリ（首肉）や豚のタンをよく買います。量は少なくとも、意外と取り扱っているスーパーが多いので探してみてほしいなあ。牛肉だけでなく、いろんな肉を組み合わせることで、ますます店気分もアップするはず。
野菜売り場では、焼き野菜用のアイテムを。オススメはズッキーニやオクラ、アスパラ、カブ、ヤングコーン、かぼちゃなど。あまり焼き肉店では焼かない野菜も、家ならじゃんじゃん焼いてOK。韓国風に食べるなら、キムチを買ってもいいですね。
あとは帰って野菜を適当に切ったら、晩酌スタート。椅子を置く場所は、ガスコンロの前。なぜなら私の焼き肉は、コンロで焼きながら食べる「台所焼き肉」だから。
もともとアヒージョを作ったときに、「ずっと熱々のまま食べたいなあ」とコンロにフライパンをかけっぱなしで晩酌をはじめたのが台所飲みの始まり。「これはおいしく食べられるし楽しいぞ」と、どっぷりハマっていろいろなおつまみを試す中、一番しっくりきたのが焼き肉でした。換気扇の真下なので、煙も気にならず一石二鳥ですよね。
味付けは焼き肉のたれでモリモリいくのもいいし、オリーブオイルと塩だけをシンプルにまぶして焼くのもあっさりしていて食べ飽きません。
普通のフライパンでも良いけれど、オススメはデコボコの溝がついたグリルパン。私は岩手の南部鉄器メーカー「OIGEN」のものを使っていますが、ずっしり重くて安定感があり、肉も野菜もとてもおいしく焼けるのです。
なによりうれしいのは、くっきり線状につく焼き目。これがつくだけで、まるでお店のような仕上がりになるんですよ。バーベキューに持って行っても盛り上がるし、実はホットサンドもきれいに焼きあがります。
次は何を焼こうかなあと考えながら、ビールやワインをゴクリとひとくち。
何せここは自宅で、お客は私だけ。自分のペースでゆっくり好きなだけジュージュー焼けば、食べ終わるころにはお腹も心も満たされているはず。「さー、肉も食べたし、明日もがんばるぜー！」と思いたい日の晩酌に、ぜひどうぞ。
「台所焼き肉」の作り方
〔材料 1人分〕
・鶏肉のセセリ、豚のタン、牛の赤身肉など好みの肉…食べたいだけ
・ズッキーニ、オクラ、アスパラ、カブ、ヤングコーン、かぼちゃなど…食べたいだけ
・オリーブオイル、塩、レモンなど…各適宜
〔作り方〕
１．鶏肉は、ポリ袋に入れてオリーブオイル、塩、にんにくのすりおろしを加えてもみこむ。すべての野菜は食べやすく切り、オリーブオイルをまぶす。かぼちゃは電子レンジで1分ほど硬めに加熱しておく。
２．フライパンを熱し、食材を並べ入れて焼く。鶏肉以外に塩を振る。好みでレモンを搾っていただく。
食と酒と旅を愛する文筆家。東京都中野区生まれ。お酒とつまみと台所道具がある場所なら、日本各地から世界各国まで旅をし続ける。著書に『女ひとりの夜つまみ』（幻冬舎）、『食いしん坊な台所』（河出文庫）。最新刊は『ツレヅレハナコの旨いもの閻魔帳』（扶桑社）。食や日常を綴るSNSも人気。
Instagram：@turehana1
大阪生まれ。東京を拠点に書籍、雑誌、WEBなどで、人、食、旅など幅広いジャンルの写真を手がけている。食いしん坊がゆえに、旅先では必ず市場に行き、働く人や、美味しいごはんの写真を撮り続けている。
Instagram：@etokiyoko HP：http://www.etokiyoko.com/
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