【スタッフの本棚】第2話:雑誌が大好き。愛用歴13年、家の真ん中にある大きな本棚(スタッフ齋藤編)

編集スタッフ 松田

インテリアの一部としても、そしてその中身も気になる「本棚」という存在。誰かの家を訪ねたとき、じっくりのぞいてしまう一角でもあるのではないでしょうか。

本棚の持ち主のことをより深く知れるような気がしたり、共通して好きな本を見つけた時には嬉しくなったり。

小説、エッセイ、雑誌に漫画、アートブックやビジネス書、そして絵本。ジャンルも形もさまざまな本の居場所からは、並べ方ひとつとっても、その人らしさが垣間見えるような気がします。

この連載では、不定期でスタッフ宅にお邪魔し、本棚まわりのインテリアや収納で工夫していること、読書習慣や大切にしている本など、「本棚」にまつわるアレコレについて、根掘り葉掘りきいていきます。

今月は、編集スタッフ齋藤の本棚をのぞきます。

 


#02
編集スタッフ齋藤の本棚


今回訪ねたのは、メディア編集チームの齋藤が家族4人で暮らすマンション。リビングに入ってすぐに目に留まるのが、白い大きな本棚です。

リビングの中心にあって、齋藤宅のアイコン的な存在でもあるこの本棚は、13年ほど前にIKEAで購入したものだそう。

齋藤:
「夫とふたり暮らしを始めた頃から使い続けています。値段も手頃で、飽きのこなそうなシンプルな形のものを探していて見つけました。

当時はクラシコムに入社する前で、お互い設計事務所に勤めていて。建築にまつわる本や好きな雑誌など、ふたりとも本の量が比較的多かったので、高さがあり収納力がたっぷりとあるのが決め手でした」

▲IKEAのBILLYシリーズの本棚。本の高さに合わせて棚位置を調節できるのも気に入っているポイント。齋藤宅では縦長のモデルのものを4つ並べて使っています

齋藤:
「それからクラシコムに転職し、子供が産まれて家族が増え、自宅も3回引っ越しをしていますが、ずっと我が家の中心にはこの本棚があります。今の家のリビングの一角にも、ちょうど収まってくれました。

もうひとつ、同じ13年ほど前から使っているのがこちらの本棚です。知り合いの家具屋さんにオーダーしたもので、上に雑貨やオブジェを飾りたかったので、腰の高さでつくってもらいました」

▲高さのある書類ボックスを入れられるよう、サイズを指定して特注した本棚

▲大きめの写真アルバムも収納できる高さが気に入っている

 

ふと夜中に思い立って、無心に並び替えます

本の冊数がかなり多い齋藤宅ですが、すっきり整理されていて、家のインテリアにも馴染んでいるのが印象的です。収納方法については、なにかルールはありますか?

齋藤:
「本の雰囲気やジャンルが近いもの、読み心地に共通点のある本は、できるだけ隣り合わせて置くようにしています。

昔から、本棚を整理するのがすごく好きでした。学生時代は、自分の机まわりの本棚を眺めては、この本はこの本の隣の方がわくわくするな〜と定期的に入れ替えるのが楽しくて。

今も、ふと夜中に本を入れ替えることがあります。並び順はほぼ直感。無心に作業をするのが気持ちよくて、終わると爽快感すらあります(笑)」

齋藤:
「あとはいつでも取り出しやすいように、本棚の奥まで詰めすぎずに、背中の位置をなんとなく揃えるようにしています。手前が揃っているだけで、見栄えがスッキリするので。

腰高の方の本棚へは、写真アルバムや書類ボックスのほか、厚みと高さのある美術館に行った時の図録や、好きな写真家さんの作品集をまとめるようにしています」

▲心に残った美術館の展示の図録や作品集はできるだけ購入する。「背表紙をみると、そのときの思い出も蘇って楽しいんです」と齋藤

▲楽しげな本棚まわりのインテリア(写真:左から時計回りに)動物モチーフが好き。ねずみのライトがちょこんと佇む/夜は無印良品のスタンドライトを、本棚に向けて照らす。映画を観るときにちょうど良い明るさ/子供が拾った石や松ぼっくりも、オブジェのように飾って/りんごのオブジェがかわいいアクセントに

 

気がついたら、家のあちこちに本が

▲こちらは仕事部屋の一角。仕事や編集にまつわる本などはここに

齋藤:
「半年に一度ほど、家族みんなで本の整理をしています。もう読み返さないかなと思う本を選んで、買取店へ持ち込むように。とはいえ、年々本の冊数は増え続けているので、気がついたら家のあちこちに本がありますね(笑)

電子書籍にも憧れもあるのですが、一歩踏み出せずにいます。本が並んだ景色が好きだからこそ、紙の本を買ってしまうのかも」

▲リビングの一角にある引き出しの中には、過去に読んだ小説の文庫本たちが。読むたびに響く箇所が違う気がして、たびたび読み返したいそう

▲子供たちが読む絵本や図鑑は、別に本棚を用意。「絵本は最初、何を買ってあげたらいいかわからなくて。“ぐりとぐら” や林明子さんのものなど、自分が小さい頃によく読んだ絵本を中心に集めていきました」

齋藤:
「幼いころ、実家の廊下には絵本や児童書が詰まった本棚があって。その前に座って本を読むのが、なんだか落ち着く時間でした。繰り返し読んだのは、いわむらかずおさんの14ひきのシリーズ(童心社)。木の中にあるねずみたちの家や、季節ごとの細かな描写がかわいらしく、大家族という設定なのも楽しくて。今も少しずつ集めています。

本がある景色のほうが不思議と落ち着くのは、小さい頃から絵本や本が身近だった記憶があるからなのかもしれません」

▲建築を学んでいた学生時代に初めて奮発して買った、アルヴァ・アアルトの写真集。「ずっしりした一冊を抱えながら持ち帰った記憶が今でも蘇ります」と齋藤

▲同じ本が隣どうしに。「ふたり暮らしを始めた時に、お互いたまたま同じ本(『建築はほほえむ 目地 継ぎ目 小さき場』松山巖 西田書店)を持っていたんです。それぞれに思い入れのある本なので手放せなくて」

▲ほこりが溜まりやすい本まわり。気づいた時に、ドライシートなどでさっと払うようにしているそう

 

週末の夜。料理本やエッセイから活力をもらう

最近は、いつ、どんな本を読んでいるのでしょう。

齋藤:
「おもに、週末の夜に本を読んでいます。

まとまった時間がなかなかとれないので、気軽に読めるエッセイや、暮らしのヒントをもらえる、日々の習慣やインテリアにまつわる本が今は多いですね。あとは料理にまつわる本も。料理は得意な方ではないけれど、美味しそうな写真を眺めているだけで、なんだか活力をもらえる気がして」

▲最近見つけて面白かったという、写真絵本(『みそしるをつくる』『おにぎりをつくる』文・高山なおみ 写真・長野陽一 ブロンズ新社)。「大好きなお二人のタッグにワクワクして手に取りました。写真がとっても美味しそうなんです。子供と一緒に台所に立ちたくなります」

 


心に残る、大切な本は?


・雑誌『ku:nel』 マガジンハウス
・冊子『アルネ』 イオグラフィック

齋藤:
「ページをめくるたびに刺激をもらえる、“雑誌” が大好きなんです。特に学生時代に、友人の部屋の本棚でみつけたku:nel。

ストーリーを感じる構成や、表紙の写真やコピーも新鮮に感じました。このページから見える空気や世界が好きだなぁと心の底から思えて。古本屋さんなどでバックナンバーを見つけては、買い揃えていった雑誌です」

▲雑誌のコーナーはびっしりと。雑誌の背表紙や佇まいも好き

齋藤:
「もうひとつ思い入れがあるのが、大橋歩さんが企画・編集・写真取材をした冊子アルネ。創刊当初から、むさぼるように読みました。

手書きのタイトル文字や、大橋さんの日記をのぞいているような気負わないけどかわいい写真たち。現在は休刊してしまったけれど、何度も読み返しています」

・『Land Land Land』 岡尾 美代子 ギャップ出版
・『Room talk』、『Room talk 2』 岡尾 美代子 筑摩書房

齋藤:
「同じように、自分が好きなモノや雰囲気を再認識させてもらったのが、岡尾美代子さんの本。

岡尾さんが旅でみつけた可愛いもののポラロイド写真と思い出が日記のように綴られているland land land。学生時代に一人旅をしたときに鞄に忍ばせて、道中や旅先で眺めました。今でも旅に出る際には、一緒に持ち歩きたくなる一冊です」

 

日常の小さな移り変わりが、本棚のなかに

齋藤:
「子どもが産まれたばかりの頃は、育児にまつわるものや、暮らしと仕事をどうまわしていけばいいのかについて書かれている本を、すがるような気持ちで手に取っていました。

そこから数年経ち、今は子どもと一緒に楽しむことや、自分自身にベクトルが向いた本を選び取るようになった気がします。

そんなふうに本は、その時々の心の奥の部分を投影させるものなんだなぁと思います。今の本棚は、自分や家族のこれまでの変遷を、ぎゅっと吸収してくれているように感じます」

形として残りにくい、そのとき興味があったことやもの、そしてライフスタイルとともに刻々と変わる日々の悩み。そんな日常の些細な移り変わりが、そのとき手に取って読んだ本やそのページに、記憶と一緒に残されていく。

だからこそ本棚って、飽きずについつい眺めてしまうのかも。そんな齋藤の話にうんうんと頷きながら、なんだか久しぶりに実家の本棚を覗きたくなったのでした。

さて、次はどのスタッフの本棚を拝見しましょうか。来月の更新も、どうぞお楽しみに。

 

【写真】メグミ


 

もくじ

 


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