【ハーブがくれるもの】第2話:さわやかに、すずしげに。五感でミントを味わう
ライター 片田理恵
家族でmitosaya薬草園蒸留所を営むイラストレーターの山本祐布子(やまもと・ゆうこ)さんに、ハーブと過ごす日々について全3話でお話を伺っています。
山本さんの住まいは、かつて千葉県大多喜町(おおたきまち)が所有していた薬草園の敷地の中。多種多様な植物が植えられた広い園内はすべて「庭」です。
この広大な庭の一角、山本さんが世話をする小さなガーデンですくすくと育っているミントが今回の主役。特集第2話ではミントをたっぷりと使った美しい食卓を見せていただきました。
ミントのすずやかな存在感が好き
数あるハーブの中でもミントの存在に惹かれるという山本さん。かつて暮らしていた東京で購入したジャパニーズミント(ハッカ)の苗を、今も大切に育て続けています。mitosayaの仕事を始めてからは自分で楽しむだけでなく、プロダクトづくりにも活用するようになりました。
写真は、今朝庭から摘んできたばかりの4種のミント(左からイエルバブエナ、ペパーミント、ヒメハッカ、ジャパニーズミント)。葉の形、色、大きさなどがすべて違い、それぞれに個性的です。
山本さん:
「とにかくミントが好きなんです。口に入れた瞬間に広がる清涼感がすてきだし、皮膚感覚で伝わってくるあのすずやかさをとても心地いいと感じるから。
料理にも使いますよ。煮込みに入れて香りづけをしたり、若葉はフレッシュなうちにサラダにしたり。大人は喜びますけど、子どもたちはそれほどでもないかな(笑)。私は食べられるものを食べなさいという考えなので、気にせず出しています」
採れたてのミントを季節のフルーツと合わせて
ミントのさわやかな魅力を食卓で手軽に楽しむ。そのひとつの提案として、旬のフルーツと合わせたサラダをつくっていただくことになりました。
普段からよく登場するメニューだそうで、今回は鮮やかな黄色い果肉のメロンをチョイス。みずみずしいミントとフェンネルの葉をたっぷりと散らし、ところどころにボリジのブルーの花を咲かせた、ブーケのように華やかなひと皿です。
山本さん:
「夏の暑い夜に食べたい、清涼感のあるサラダです。メインの肉料理の前に食べるイメージでつくりました。メロンは青肉のものでももちろんおいしいし、スイカを使うのもおすすめ。私はフルーツそのままよりも、こうやって食べる方が好きかもしれないですね」
香りや見た目のための「添え物」ではなく、まるで野菜のようにミントの葉を食べるサラダ。シャキシャキと音がしそうなくらい新鮮な4種のミントはどれも歯ごたえと香りが異なり、ひと口ごとに味わいが変化していきます。なんて楽しい食べ心地!
さわやかな苦みをほのかに感じるものの、味として気になるほどではありませんでした。むしろよく冷えた甘いメロンによくマッチした新鮮なおいしさ。ほどよい塩加減と、黒こしょうのピリッとした存在感も絶妙です。
シンプルな工程だからこそ、ひとつひとつをていねいに
フレッシュな味わいとともに驚くのは、やはりその見た目の美しさ。山本さんの手元を見つめていると、ひとつひとつの動きに迷いがありません。イメージした通りの姿かたちをつくりだすことができるのは、確かな下準備があってこそといえそうです。
たとえば、カットしたメロンを器ごと冷やしておくこと。果肉の鮮度が保たれるだけでなく、切り口が鮮やかに立ち上がって涼しくシャープな印象に。ミントも1話のドクダミ同様、サラダの要領でしっかりと水気を切って冷やし、ピンと葉が張った状態をキープします。
メロンの上にハーブを散らす繊細な作業もていねいに、確実に。ちぎってバラバラとふりかけるのではなく、1枚の葉を、1つの花を、全体のバランスを見ながら置いていきます。まるで植物が最も美しく見える場所を探しているよう。
最後に上から調味料をかけてできあがりです。この日使ったのは、フレーク状の海塩とあらびきの黒こしょう、オリーブオイル、そして山本さんがつくったmitosayaオリジナルドレッシング。ネーブルのもろみを使ったフルーティな酸味がメロンの甘さにぴったりでした。
山本さん:
「今回使った4つのほかにも、スペアミントやアップルミント、パイナップルミントなど、ミントにはたくさんの種類があります。それぞれ味と香りに特徴があるので、好きなものをひとつだけ使ったり、いくつかブレンドしたりと組み合わせを変えるのも楽しくて。
フルーツはもちろん、意外にチーズやバターとも相性がいいので、バジル代わりにトマトと合わせてカプレーゼにしたり、炒め物に加えたりと使い勝手がいいんです」
ミントでいつもの食卓を心地よく、美しく
知っているようで知らなかった、ミントの「食べ物」としての魅力。甘みのある果実と合わせることで食べやすくなり、これならハーブを丸ごと味わう醍醐味を、私たちも手軽に楽しむことができそうです。
最後のカットは、食後にいれてくださったなんとも美しいハーブティー。山本さんがバラとミントをブレンドしたmitosayaのオリジナルプロダクトです。すっきりとさわやかな飲み口で、真夏のような暑さの中でもすずしげな余韻が心地いいおいしさ。
明日の第3話では、山本さんが大切な人のために作るというハーブの花束をご紹介。その季節、その日だけの思いのかたちを見せていただきます。
(つづく)
【写真】佐々木孝憲
もくじ
山本祐布子
イラストレーター。2017年に千葉県大多喜町に家族で移住し、夫・江口宏志さんとともに、mitosaya薬草蒸留所の運営をスタートさせる。mitosayaではノンアルコールプロダクトづくりを担当。11歳と9歳、ふたりの娘を持つ母。
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