【異国の、お助けスープ】01:身体にビタミンを。食感やみつき、リトアニアの「冷たいボルシチ」
編集スタッフ 糸井
暑さで火照り、冷房で冷え、なんだか身体がバテ気味。そんなときにも喉を通りやすい「スープ」は、世界共通のお助けレシピかもしれません。
世界の食材や料理を見てきた料理家・口尾麻美(くちお あさみ)さんに教えていただくのは、そんな異国のキッチンでうまれた、自分を元気にしてくれるスープです。
1品目は、リトアニアの夏のキッチンから、ビーツを使った冷たいボルシチ「Šartibarščai(シャルティ・バルシチャイ)」をご紹介。鮮やかなピンクが目を引きますが、その美味しさに驚きました。まるで飲むサラダ、な食感がやみつきになりますよ。
うだるような暑い日には、
リトアニアの「冷たいボルシチ」を。
材料(3~4人分)
ビーツ…1個(250~300g)
アップルジュース(果汁100%)…150ml
きゅうり…1本
万能ねぎ…6本
ゆで卵…1~2個
ディル…1パック(飾り用に少しとっておく)
A
・ヨーグルト…500g
・生クリーム…100ml
・塩、こしょう…適量
※茹で時間短縮のため、ビーツは、茹でたビーツが真空パックされたものもおすすめ。スーパーなどで比較的手に入りやすいですよ。水煮缶タイプもあるのですが、味が薄まるので今回は控えました。
【下準備】
・ゆで卵とディルは刻み、万能ねぎは1cmの長さに切っておく。
作り方
①ビーツは皮つきのまま、ひたひたの水と一緒に丸ごと茹でる。竹串がすーと通るまで茹でたら、茹で汁とともに冷ます。
②冷めたら皮をむき、千切りにして、
▲茹でたビーツは、林檎の皮むきのように剥くとするっと剥けます。
アップルジュースに漬ける。
▲色を鮮やかにします。
③きゅうりを千切りにする。▲スープの食感のポイントになるので、細かめがおすすめ。
④大きなボウルにディルと万能ねぎ、塩少々(分量外)を入れ、手で揉んで香りを出す。
▲これにより、香りと色が引き立ちます。
⑤4にジュースから引き上げたビーツときゅうりを入れ、
A(ヨーグルト、生クリーム、塩・こしょう)を入れて、混ぜる。
ある程度混ざったらゆで卵を混ぜ、冷蔵庫で冷やしておく。
▲もったりとしているので、スープの水分が足りないようなら水を入れて調整してくださいね。
⑥冷やしたスープを器に盛り、残りのディルを散らしてできあがり。
口尾さん:
「ビーツは栄養満点で、バテた身体にうってつけの食材。現地ではケフィアヨーグルトというものを使うのですが(よりさらっとした食感で、まろやかな酸味が特徴です)、今回は手軽においしく作れるよう、ヨーグルトと生クリームで代用してみました。
最後に入れるゆで卵が効いてくるので、ゆで卵の量は多めがおすすめ。冷蔵庫で5日間ほど保存できますよ。
そうそう、ビーツの色を鮮やかにするためにアップルジュースに漬けるのですが、なぜ林檎かというと、リトアニアでは林檎がとっても余るほど実る時期もあって、『ビーツを漬けるには林檎ジュース』が定番なんです」
異国感満載の、ピンク色。ひとくち食べて、冷んやり。バテた身体が生き返るというと大げさに感じるかもしれませんが、そのくらい火照った身体が沈まりまして、思わずおかわりしてしまいました。
その味は、スーッと鼻をぬける爽やかなディルの香りに、きゅうりのシャキッとした食感がたまらず、なるほど『ビーツもきゅうりも、細切りが美味しさの秘訣です』と口尾さんが話していた理由がわかりました。
さて明日は、香港の定番朝ごはんスープをご紹介します。
【写真】メグミ
もくじ
口尾 麻美
料理家・フォトエッセイスト。世界を旅して、それぞれの国の家庭料理を学んだり、ストリートフードを食べたり。そこからインスピレーションを受けた料理を本、雑誌、料理教室などで提案。著書に『トルコのパンと粉ものとスープ』(誠文堂新光社)、『まだ知らない 台湾ローカル 旅とレシピ』『はじめまして 電鍋レシピ』(グラフィック社)などがある。2022年9月に新刊『旅するインテリア Pieces of Travel』(ケンエレブックス)を刊行予定。Instagramは@asamikuchioから。
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