【我がままな晩酌】家でかんたんに作れる「スパイスカレー」は晩酌にもぴったり
ツレヅレハナコ
カレーは、ごはんにかけて食べるもの。
そんなイメージが根強いかもしれませんが、私は年中お酒のおつまみとしてカレーのルーだけを食べています。
なかでもインドカレーのように、小麦粉を使わないサラサラしたスパイスカレーはおつまみ向き。「肉や野菜をスパイスで香りづけした料理」くらいの気持ちであれば、意外とハイボールやワインによく合うのです。
自宅でインド料理を作るきっかけとなったインドへは何度も訪れましたが、驚くのはその具材の多彩さ。ビーツ、瓜、バナナ……、なんでもカレーの具になるのだなあ。とくにラグジュアリーなホテルのレストランへ行くと、「あれもこれも食べたい!」と、目移り必至。そして、良いホテルには食堂では出会えない素敵なインドのワインもズラリとそろっているのです。
そうなれば、炭水化物を食べておなかをふくらませている場合ではありません(いや、インドのナンやライスなどの炭水化物は、本当に多種多様ですばらしいのだけれど!)。あれもこれもとよくばってカレーだけをオーダーし、片手にはワイン。ここは居酒屋かという勢いで、お酒をいただいたものです。
そうなると、自宅でも「カレー呑み」をしたくなるのが性分。
何度も現地で料理を習ったり、本をたくさん読みこんだり。その結果、自分の中での「基本のキになるおつまみカレーレシピ」ができあがりました。
まず冷たい鍋に、たっぷりの油と「スタータースパイス」と呼ばれるクミンシードやマスタードシードを入れて火にかけます。ちなみに、使う油の量に驚いていたら、「このくらい入れないと、インド料理じゃないよ!」とシェフに笑われました……。
香りが出てきたら、みじん切りの玉ねぎを加えて中火で5分ほど炒めます。そう、日本人がイメージする「あめ色になるまで弱火で1時間以上炒める」じゃなくても良いのです。
そこへ、しょうがとにんにくのすりおろしを加えてサッと炒め、粗く刻んだトマトを投入。トマトがくずれ、玉ねぎと一体化したら水分を飛ばすように炒めます。ペースト状になったら、パウダースパイスと塩を。
スパイスの組み合わせは無限にありますが、私はもう毎回同じ。ターメリック(色担当)、クミン(香り担当)、チリ(辛味担当)、コリアンダーパウダー(すべての土台)の4種だけを使っています。こったスパイスは店で食べれば良し!
こうしてベースができたら好きな具材を入れて絡め、水を加えて煮て仕上げにココナツミルクで完成。ベースは同じでも、毎回具材が違うので飽きません。ポイントは、おつまみ仕様なのでなるべく水分を少なめにすることくらいかな。
暑い日に、クーラーが効いた中でお酒片手につまむカレールー。涼しいはずなのにじわじわと汗をかいてきて、スパイスのすごさを思い知ります。ああ、次はまたいつインドに行けるかなあ。旅を思い出しながら、そのまたいつかを夢見るのです。
「おつまみチキンカレー」の作り方
〔材料 作りやすい量〕
鶏もも肉…1枚(約300g)
玉ねぎ…1個
トマト…1個
エリンギ…2本
〈パウダースパイスミックス〉
・コリアンダーパウダー…大さじ1
・ターメリック、チリペッパー、クミンパウダー、塩…各小さじ1
にんにく(すりおろし)…1かけ分
しょうが(すりおろし)…1かけ分
クミンシード…小さじ1
サラダ油…1/4カップ
水…2カップ
ココナツミルク…1/2カップ
ヨーグルト(無糖)、トマト、チリペッパー…各適宜
〔作り方〕
1.鶏もも肉は皮を取り、3cm角に切る。玉ねぎはみじん切り、トマトはざく切り、エリンギは半分の長さに切ってから縦薄切りにする。〈パウダースパイスミックス〉は器に合わせておく。
2.冷たい鍋にサラダ油とクミンシードを入れて中火にかけ、パチパチと音がしてきたら玉ねぎを入れて炒める。5分ほど炒めたらにんにく、しょうがを加えて炒める。
▲玉ねぎを入れるタイミングはこのくらい
▲にんにくとしょうがを入れるタイミングはこのくらい
3.トマトを加えて水分を飛ばすように炒め、ペースト状になったら〈パウダースパイスミックス〉を入れて1分ほど炒める。
▲トマトはペースト状になるまでしっかり炒める。目安はこのくらい
4.鶏もも肉とエリンギを入れて絡め、水を加えて15分ほど煮て、ココナツミルクを加える。器に盛り、ヨーグルトにトマトの角切り、チリペッパーをのせたものを添える。
おわりに
自宅での晩酌は自由です。
どんなお酒で、おつまみで、場所で、時間で楽しむかは自分次第。「今日は、こんな感じで吞みたいなあ」と思ったら、即実践できるのがいいところ。だって、そこはあなたの家なのですから!
毎日いろいろなことがあっても、一日を振り返り、リセット&チャージできる晩酌の時間だけは我が儘に。
この連載は今回で終了しますが、あなたの晩酌のヒントになったことがあればうれしいです。
さあ、今夜はどんなおつまみを食べて吞みますか?
食と酒と旅を愛する文筆家。東京都中野区生まれ。お酒とつまみと台所道具がある場所なら、日本各地から世界各国まで旅をし続ける。著書に『女ひとりの夜つまみ』『まいにち酒ごはん日記』(幻冬舎)、最新刊は『ツレヅレハナコの愛してやまないたまご料理』(サンマーク出版)。食や日常を綴るSNSも人気。
Instagram:@turehana1
大阪生まれ。東京を拠点に書籍、雑誌、WEBなどで、人、食、旅など幅広いジャンルの写真を手がけている。食いしん坊がゆえに、旅先では必ず市場に行き、働く人や、美味しいごはんの写真を撮り続けている。
Instagram:@etokiyoko HP:http://www.etokiyoko.com/
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