【暮らしのみずうみ – 松本便り】第22話:40歳からの、新しいはじまり。
ライター 桒原さやか
もうすぐ40歳になる。
去年そのことに気がついたとき、一瞬ヒュンと、怖い気持ちが胸のあたりを駆け抜けたことを覚えています。何かが変わるわけではないのだろうけれど、人生の大きな節目のような気もして、その日がくるのをソワソワ待っています。
少し前、父の70歳のお祝いの日にこんなことを聞いてみました。
70になるってどんな感じ?
すると父は、「20歳の頃とちっとも変わらない」と言って、ワハハハ!と冗談っぽく笑ってました。
それを聞いたとき、「半分冗談で、半分本当なんじゃないかな」と思ったのです。というのも、私にもなんとなく身に覚えがあるから。
考えることは以前ともちろん違うのだけれど、
小学生の頃の自分もまだ奥の方にいるし、
20代のころの自分も、
30代の自分もまだちゃんといる。
それがピラミッドみたいにどんどん積み重なっている感じというんでしょうか。あの頃と自分はあんまり変わってなくて、ただ、体だけが着実に歳を重ねているような感覚なのかもしれません。
改めて、まじまじと鏡に映る自分をのぞきこんでみました。
ニコッと笑ってみると、目の横にはスッと伸びる、細いしわが数本。
外で過ごすことが多い私の顔には、そばかすというのか、シミというのかが、顔のあちこちを覆っています。ここまで自分も年齢を積み重ねてきたんだなぁと、しみじみ。
そんなことを考えていた先日。
娘が生まれたばかりの頃のアルバムを見返していた日のことです。
ハイハイもまだ出来ない、ちっちゃな娘。布団の上でごろんと転がっています。懐かしい気持ちでページをめくっていると、娘を抱っこしながら微笑んでいる私の写真を見つけました。
え……!
これが5年前の私……!?
どれもこれも、びっくりするくらい若く見えるのです。
そういえば、この感覚、今までに何度も経験していることに気がつきました。30歳になったときも、すっかり自分は歳を取ったと思っていたのでした。今振り返ってみると、なんでも出来そうなくらい若く感じるのになぁ。ということは、45歳の私から見たら、今の私って若いってことなのかもしれない。
「あの頃は若かった」というこの感覚、これから50歳や60歳になったときもしばらく続くような気がするのです。
まだまだ、これからなんだな。
そう思えたら、体にピン!とエネルギーが巡るような感じがして、なにか新しいことを始めたい気持ちになってきました。
ピアノを習ってみるのはどうだろう。何か一つでも楽器が弾けたらいいなと、昔から思っていたのです。
それに、今の仕事を見直してみる、いいタイミングかもしれない。ちょうど少し時間ができそうなのです。
何から手を付けたらいいのかさえ、まだわからないけれど。一から手探りで40代をスタートするのも、なかなか面白そうだなと思えてきました。
桒原さやか
ライター・エッセイスト。岐阜県出身。『北欧、暮らしの道具店』で、お客さま係として6年間働いていたスタッフ。退職後、ノルウェーにある北極圏の街、トロムソに住んでいた。現在は長野県松本市でスウェーデン人の夫と2歳と4歳の子どもの4人暮らし。
著書は2023年4月に発売の「北欧の日常、自分の暮らし- 居心地のいい場所は自分でつくる -」(ワニブックス)。その他、「北欧で見つけた気持ちが軽くなる暮らし」(ワニブックス)、「家族が笑顔になる北欧流の暮らし方」(オレンジページ)がある。
instagram:@kuwabarasayaka
撮影:清水美由紀
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