【あの子と暮らす】01:なつかないけど、それも個性。イラストレーター よしいちひろさんちのやんちゃな家族
ライター 小野民
道端で散歩中の犬を見るとついつい目で追ってしまうのは、私だけではないはず。飼い主さんと目が合えば、「かわいいですねえ」とついつい話しかけています。
さらに、仕事で訪ねた先に犬や猫などがいれば、取材の合間にパシャリと撮影したり、なでなでしたり……彼らがいるだけで、心はほぐれて、和やかな空気に包まれます。
今回前後編でお届けする記事は、そんな彼らが主役。前編で訪ねるのは、イラストレーターのよしいちひろさん宅です。
name:ポテト
2才のジャンガリアンハムスター。名前の由来は、息子さんのハムスター飼育の先生であるユーチューバーGoさんがかつて飼っていたハムスターから。また、先住犬のoimoちゃんとは“いもつながり”の名前。
入念なリサーチを経て、8歳の息子の元へ
▲体重を測るときは、キッチンスケールの上に乗せたコップに入ります
よしいさん:
「ポテトは息子の8歳の誕生日プレゼントとして迎えた子なんです。彼は、カブトムシやクワガタも卵をかえして何代も飼うような生き物好き。最初は『僕の犬』を飼いたい気持ちもあったようです。ただ、生き物を飼うなら責任を持ってほしいので、oimoのお世話をしてみてもらいました。
一通りやってみて、犬の散歩も全部自分でするのは大変だと思ったみたい。それでハムスターが候補になったのですが、半年くらいはYouTubeで飼い方を勉強したり、周りで飼っている人に話を聞いたりしてしっかり準備をしました。ちょうど、oimoが通っている動物病院がハムスターを診てくれるところだったのも、後押しになりましたね。
みんなでかわいがっているし、私たちも世話のお手伝いもするけれど、基本的には毎日の餌やりや週に1回のケースの煮沸消毒なども息子が担当しています。本当は今日も『僕が取材を受けたかった』と言っていました(笑)」
よしいさん:
「エアコンで気温を一定に保てて、静かで振動が少ない場所という条件で、ケージの定位置は土間の一角に。衣装ケースも適しているらしいのですが、そこは、私が以前からかわいいなと思っていたファープラスト社のものを購入させてもらいました。
ごはんは基本的にハムスター用の餌。毎日体重を測って、その10%量の餌をあげるんです。ケージを出るのは体重を測るときと、お掃除の間に広い場所で遊ばせるときくらい。飼ってみて初めてわかることもたくさんあります」
小さな体で強気なポテちゃん。全然なついてはくれないけれど……。
よしいさん:
「映像などで見るハムスターの様子は、人の手に乗ったりしてなついているものが多いですよね。でもポテトは人に触られるのが嫌いみたいで、抱っこしていると手を噛むし、なかなか気が強い子で、予想とは違っていました。
実は、私自身も子どもの頃リスを飼ったときには、なついてくれないことにがっかりしてしまった経験があります。
でも、大人になって犬や虫を飼って、子どもとも一緒に過ごしてきたから、思い通りにならない経験もたくさんしてきて。今では、なつかない生き物でもかわいいと思うようになっています。その点は、自分自身の変化も感じます。
ポテトのことも、家族みんなで『かわいい、かわいい』って毎日言っています」
よしいさん:
「小動物のポテトにも個性があって、いろんな思いがけない行動も『ポテトっぽいね』って語り合える。家族のなかに新しいキャラクターが増える、愛でる対象が増えるということは、すごく楽しい。
コミュニケーションや関わり合いのバリエーションがぐっと増えるというか、豊かになると感じています」
▲「おやつなどもかわいいものをついつい買いがちだけど、ポテトが気に入ってくれるとは限らないですね」
ままならない部分も含めてまるごと愛でたい
よしいさん:
「11歳になるoimoは臆病な性格なので、ポテトのことをちょっと怖がっているみたい。ポテトをボールプールサークルに入れて運動させている時には、近寄ろうとしません。でも気になる存在ではあるようで、鼻をくんくんさせて存在を探っています。
息子は、ポテトを迎える前に挑戦してみたoimoのお世話のうち、ごはん係は継続しているんです。それで距離も縮まったのか、oimoを抱っこできるようになりました。これまではoimoを抱っこできるのは夫と私だけだったので、嬉しい変化ですね」
oimo、ポテトのことはもちろん、息子さんの様子も含めてそれぞれのキャラクターについて、いきいきと語ってくれたよしいさん。ままならない部分も含めてまるごと愛でる眼差しは、人も動物も一緒に、家族でいろいろな体験を共有してきたからこそのものに思えました。
新顔ポテトの登場だけでなく、かつてはお世話される側だった息子さんが、次第に頼もしくなってきたのもここ数年の変化。思いがけない成長の様子を見られるのも、動物の家族がいるからこそかもしれません。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
よしいちひろ
イラストレーター。1979年生まれ。女性たちの憧れや身近な日常をガーリーでファッショナブルな作風で描く。ファッションやメイク、子育てなど、クリエイティビティに満ちたライフスタイルでも注目を集める存在。http://chihiroyoshii.com
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