【はじめてのお直し】後編:穴あき靴下がポップに変身。ざっくりがかわいい「バスケットダーニング」
編集スタッフ 藤波
洋服のダメージをなかったことにするのではなく、カラフルな糸を使って生まれ変わらせるようなお直し方法「ダーニング」。
お気に入りの洋服を自分らしく、長く大事にできるようになりたい……そんな気持ちで、テキスタイルデザイナーの野口光(のぐち ひかる)さんを訪ねました。
後編では「穴あき靴下」へのダーニングのやり方を教えてもらいます。
小さな穴から大きな穴まで。
イギリスの定番「バスケットダーニング」
今回繕うのは、「指の腹部分に穴があいた靴下」。
大きく破れた穴もきれいに塞げる「バスケットダーニング」で、丈夫に繕います。
材料と道具
・ダーニングマッシュルーム(直径約8cm)
・糸(お好きな刺し子糸や手縫い糸)
・針(ダーニング針 or フランス刺繍針3番)
・ハサミ
・しつけ糸(チャコペンなどでもOK)
・ストッキング
・輪ゴム
野口さん:
「伸縮性があって丈夫な化繊のストッキングを挟むことで、大きな穴も楽にダーニングできます。最近はコンビニや100円ショップでも手に入るのでぜひ用意してくださいね。履き古しがある方はもちろんそれで大丈夫です。
ダーニングでは、繕う服や着る人に馴染む仕上がりにすることが大切。今回は、明るいイエローの靴下に合わせて蛍光色の糸を選んでみました」
ダーニングのやり方
1. 準備
ストッキング生地を15cm角くらいにカットしてダーニングマッシュルームにセットし、輪ゴムなどで根元を止める。
one point
ストッキングはふんわりとのせ、決して引っ張らないようにする
・繕うエリアの生地をダーニングマッシュルームにかぶせ、根元をゴムなどで結んで固定する
・穴の2cm外側をしつけ糸で縫って固定する
・糸は片腕を伸ばしたくらいの長さにカットし、針を糸を通す
one point
生地はピンピンに張らず、ゆるゆるでもないくらいで固定する
2. タテ糸を刺す
縫うエリアの右上の角を目指し、3cm外側から針を入れる。
針を抜いて糸を引き、糸端は人差し指1本分ほど垂らしておく。(最後にまとめて糸始末するため、玉結びは不要)
▲針を刺すときはダーニングマッシュルームの表面をゴリっと触っていることを確認しながら
垂直に針を下ろし、右下の角のあたりを2mmほどすくう。
糸を引き、今度は針を真上にあげて同様に2mmすくう。
one point
このとき、タテ糸とタテ糸の間に針1本分の隙間をあけることが何より大切!
糸の間に隙間があることを確認しながら刺し進めていく。
▲差し終わりは上下どちらになってもOKです
糸が短くなったら新しいものに交換し、タテ糸を刺し終えたら角から3cm外側に針を出して糸をカットしておく。
2. ヨコ糸を刺す
縫うエリアの右上の角を目指し、3cm外側から針を入れる。
タテ糸に1本おきにくぐらせるようにして針を刺し、糸を引く。
タテ糸の下をくぐるときに、靴下の生地とストッキングを少しすくうようにする。
1行分ヨコ糸をくぐらせたら、最後に1目外側にすくってからダーニングマッシュルームを180度回転させる。
今度は1行目と異なるタテ糸に生地をすくいながらヨコ糸をくぐらせ、これを続けていく。
途中で糸が短くなったら約3cm外側に針を出して抜き、縫いはじめと同様に新しい糸で次の行の頭から刺す。
3. 糸始末
しつけ糸を取ってからダーニングマッシュルームを外して裏返す。
糸端に針を通し、縫い目に3〜4針ほどくぐらせ糸を引いてから切る。切りっぱなしが気にならなければ、1cm程度残してカットするだけでもよい。
最後に周りのストッキング生地をカットする。
4. 完成
野口さん:
「気になる履き心地ですが、予想以上にチクチクしません。繰り返し履いたり洗濯するうちにどんどん馴染んでいきます」
1回ダーニングして、3回履けたら嬉しいですよね
野口さん:
「生徒さんによくお伝えしているのが、マッシュルームの上で悩まないこと。
初めての方はダーニングをしながら『これでいいのかしら?』と心配になってしまうと思うのですが、傷んでいる箇所やダーニングする洋服によって状況が全然違うので、見本と同じになることはないんですよね。
繕い終わってから刺し足すこともできますし、出来栄えの反省会をするなら着用してお洗濯をしてからでも大丈夫。針目は揃っていても揃っていなくても味があります。
『1回ダーニングして3回履けたら嬉しいな』くらいの気持ちで、ぜひ気軽に一歩踏み出していただけたら嬉しいです」
***
野口さんの言葉に励まされ、取材のあとすぐにはじめてのダーニングマッシュルームを手に入れました。まだ着られるのに小さな虫食いがあるカシミヤセーターを、ずっとどうにかしたいと思っていて。
ここ最近の楽しみは、やることが全部終わった夜寝る前に少しずつチクチク穴を埋めていくこと。
その日の気分で色を選び、自分だけのセーターができあがっていく様子はたまらなく愛おしく、まるで魔法が使えるようになった気分です。
【写真】 ニシウラエイコ
もくじ
野口光
テキスタイルデザイナー。ニットブランド「hikaru noguchi」、社団法人日本ダーニング協会主宰。武蔵野美術大学を卒業後、イギリスの大学にてテキスタイルデザインを学ぶ。ダーニング教室やワークショップを開催し指導や発信を行う。最新刊は『はじめての靴下ダーニング』(日本ヴォーグ社)。Instagram : @hikaru_noguchi_design 、Webサイト :「hikaru noguchi darning」https://darning.net/ 。
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