【やっぱり家が好き】前編:住まいは生活研究の場所。中古マンションをリノベーション、俳優・Q本かよさんを訪ねました
モダン、北欧、アンティーク……どんなインテリアスタイルもそれぞれに魅力的ですが、なかでもとびきり惹かれるのは、その向こう側に広がる「その人らしさ」。テイストやテクニックにとらわれない部分だからこそ、住まいにはそれぞれに魅力があるのだと感じます。
そんな住まいをとことん愛し、「住まいは舞台、そして趣味は生活です」と話すのは、俳優の Q本 かよさんです。
自分はどうなりたい? どんなふうに暮らしていきたい?
少し先の未来を想像しながら手がけた家づくり。その想像をかたちにする作業を経て、いまはそこで「わたし」という役をまっとうするように日々の生活を送っているのだといいます。
生活の舞台である住まいは、さもないこともスペシャルなことも、そしてちょっぴり憂鬱なことも、まるごと受け止めれくれる場所。好奇心いっぱいに生活を楽しむ「舞台」の様子を前後編で訪ねました。
風と光が行き交う、広々としたリビング
玄関から伸びる廊下の先に、スコンと抜けるように広がる開放的な空間。取材にうかがったのは、暑くも寒くない気持ちのいい季節です。
開け放した二方の窓からは風が抜け、白いカーテンがさらさらと揺れていました。窓の向こうには、ベランダ栽培のレモンバームやクレソン、パクチーにバジル。サラダやパスタに、お茶にと大活躍の季節もすぐそこです。
「東南の角部屋、この日当たりと風通しの良さがこの部屋を選んだ決め手」。そう話すのは、この部屋で夫と暮らすQ本さんです。
Q本さん:
「以前の家も広さはじゅうぶんでしたが、日当たりがいまひとつだったんです。なじみある立地は気に入っていたので、同じエリア内でもっと家にいるのが楽しくなれる住まいを探し、この部屋に出合いました。当時で築37年でしたが、管理がしっかり行き届いていたし、リノベーションする未来を想像して『ここだ!』って」
Q本さん:
「この家に来てから、植物がよく育つようになりました。ぐんぐん伸びた枝を剪定し、それを水に挿しておくと根っこが伸びて、また増えて……無限に増えそうですが、でもかわいくて捨てられないし、これも楽しいんですよね」
グリーンの様子を見ては日当たりを考えて並べたり、ベランダのハーブの成長に合わせて今夜のごはんを考えたり、収納システムを改造したり。いつも家のことを考えては、いまよりちょっと楽しく、そして便利に快適に暮らすことに夢中だといいます。
Q本さん:
「自分の巣をこしらえるように、心地良く整えていくのが好きなのだと思います。
寮生活だった学生時代は、唯一、自分のスペースだったベッドのまわりに好きなショップ袋を貼って、すこしでも快適になれるように工夫していました。自分の居場所を心地よくしたいという気持ちは、あれが原点かもしれません」
そんなQ本さんにとって、家づくりは居場所づくりの集大成。すみずみまで自分の「好き」を詰め込んだピカピカの新しい家は、生活を重ねるにつれ、住まいへと変化していきました。
とことん「自分の使いやすさ」にこだわったキッチン
では、その愛する住まいを拝見していきましょう。
廊下を抜けてすぐ右手にあるのがキッチン。広いカウンターと床はモルタルのような風合いに仕上がるモールテックス仕上げです。
そしてこの上には、ものを置きっぱなしにしないのがマイルール。すみずみまできれいに、きゅっと拭き上げて一日を終えるのもお約束です。
Q本さん:
「モルタルの雰囲気が好きなので、この素材感は絶対に取り入れると決めていました。カウンターで調理をしながら向かいのダイニングやソファの様子も見えるし、ここにハイチェアを置いて過ごせるように、膝を入れられるスペースもつけてもらったんです。
広く場所を空けておけば、みんなで料理しながら飲んだり食べたりするのも楽しみになるし、『餃子パーティーしよう!』って、そういうのを考えるのも楽しいです」
見せる収納でも、きちんと片づくための仕組みづくり
壁際にずらりと並ぶのは、使いやすそうな道具類。たくさんあってもごちゃついて見えないよう、シルバー、木、ガラスと素材や色を統一しているのもポイントです。
さらに、ダブルシンクの右下に並ぶ4つの白いボックスにご注目。取り出しやすく収納としては1軍エリアに思えますが、実はここ、不燃ゴミの置き場です。
Q本さん:
「わたし、ほんとうに面倒くさがり屋で……!(笑)なかでもゴミ捨てが、いちばん苦手なんです。特にビンやスプレー缶、電池などのゴミは、毎日出るわけではないので、一時的になんとなくそのへんに置いてしまいがちで、ずっと気になっていました。
もちろん通常のゴミ箱もあるので、ゴミにスペースを割きすぎな気もしますが、きちんと定位置をつくると場所も気分もすっきり。こういうモヤモヤのしくみを考えるのが好きなんです」
「たとえばこれも」と、もうひとつ。見せてくれたのは、保存容器の収納カゴです。
Q本さん:
「保存容器は、本体と蓋をそれぞれスタッキングすればすっきり収納できるとわかっているのですが……、使うときに、取り出すのが面倒になりませんか? このしまい方だとかさばるし、収納テクニック的にはNGですが、わたしにとってはさっと使えるほうを優先しています」
Q本さん:
「そうそう、先日キッチンの掃除道具をまとめたスペースに、IKEAの木製ボックスがぴったりなことを発見してすごくうれしかったんです。この場所にちょうどいいかごはあるかな?とか、この使いかたにこれが合うとか、そういうのを発見すると、思い切りテンションが上がるし、よし!って思います」
どんどん変化する生活は、試行錯誤の連続
▲ダイニング脇のクローゼットに組み込んだ引き出しは和装用の桐ダンス。「引き出しが浅いので、着物以外にスカーフや靴下などの小物整理にも便利です」
Q本さん:
「そうは言っても、すべてがすっきり片付いているわけではないし、クローゼットなんていつまでたっても服を減らせないし、改善したいところもいっぱいあります。
でも、生活ってそういうものだとも思っているんです。趣味が増えたらモノも増えて、そのたびに新しい収納場所を考えたり、ぴったりのボックスを探したり。
最近、ハマっているのがボードゲーム。朝から晩まで入れ替わり立ち替わり友だちがやってきて、みんなでボードゲームをやりながら、お腹いっぱいご飯も食べてもらって……すごく楽しいんです。でも、どんどんゲームの数が増えてきたので、すっきり収納できるボックスで、うちの雰囲気に合うものを見つけたいなあと探しているところです」
毎日の暮らしは、ちいさな発見と試行錯誤の連続。
そしてこの試行錯誤の研究こそが、「生活が趣味」と話すQ本さんの楽しみでもあります。後編では、リビングのアトリエスペースを中心に拝見します。そこにも、生活研究のまなざしが光っていました。
(つづく)
【写真】土田凌
もくじ

Q本 かよ
俳優。石川県能登半島出身。特技はソフトテニスで学生時代に全国優勝を経験。 30歳から芝居の道を志し、小劇場を中心に活動。独特の存在感を発揮し、近年では映画・ドラマ・CMにも活動の場を広げる。映画「火の華」(監督:小島央大)の公開も控えている。また自身でYouTubeチャンネルを開設し「今日もQK中」では演劇仲間とのゆるいトークを配信中。2017年に購入した中古マンションをリノベーションして夫と二人暮らし。
Instagram:
@qmoto
HP:
https://qchic.com/
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