【連載】あの人の暮らしにある「北欧」のこと。no.07:家具を引き継ぐ
小林さんの生活には、古いものがたくさんあります。
なじみのアンティークショップに探してもらった、イギリス製のまるいダイニングテーブル。デンマークの蚤の市で買った青いエナメルのポット。知り合いのレストランで使われていたファネットチェア。
20代のときに訪れたデンマークのホームステイ先は、築100年ほどの家を受け継いで、直しながら住む家でした。そこには、前の住人が使っていたであろう家具や雑貨もたくさん残されていたようです。
別れ際、ホストの夫妻に「どれでも好きなものを」と言われ、選んだのは小ぶりな卓上ランプです。ユニークな3本脚のデザインと、よく使い込まれた天然木の色合い。ひと目で気に入りました。
いつの時代のものかはわからないけれど、「この家と同じくらい、100年近く経っているのかもしれないね」と、ご主人が言いました。
思いがけず、デンマークから日本にやってきた古いランプ。小林さんの手でシェードを付け替えられ、寝室が定位置になりました。やさしい灯りは、ベッドサイドにぴったりです。
きっとこれをくれた夫妻は、「引き継ぐ」だなんて大それたことは思っていなかったでしょう。まだ使えるのだから、気に入ったらどうぞ。そんな気軽な様子でした。
デンマークにはセカンドハンドショップ(リサイクルショップ)があちこちにあり、欲しいものがあれば、まずそこへ行くのだと聞きました。
覗いてみると、小林さんにとってはお宝の山。新品では見つからないようなデザインの食器や雑貨がたくさんありました。
古い家を直しながら暮らしたり、誰かの使ったものから自分のお気に入りを見つけたり。そこには、欲しいものを一直線に手に入れるときには味わえないおもしろさがあるのだと、デンマークの日常が教えてくれました。
そういえば、と小林さんは思っています。
お気に入りの仕事机は、北欧のデザインの良さを取り入れ、日本でつくられた新しいものです。いまのマンションをリノベーションするときには、この机に合わせて仕事部屋を設計してもらったくらい、ずっと使いたい大好きな家具。
いつの日か、まだちいさい娘が、この机を使う日が来るのでしょうか。小林さんが古いものを引き継いできたように、自身が選んだものもまた、未来に手渡すことがあるのかもしれません。
小林 夕里子(こばやし ゆりこ)
2007年に株式会社イデーに入社、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)として全国の店舗ディスプレイ監修や、ウェブやカタログのスタイリング、VMD講師も務める。著書に『暮らしを愉しむお片づけ』(すばる舎)。
Instagram : @yuricook
Text : Akari Fujisawa
Photo: Ayumi Yamamoto
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