【きっかけシネマVol.06】好きと嫌いで輝く、すばらしき世界。「アメリ」
ライター 新田まるむ
文 ライター新田まるむ
今日のきっかけシネマは『アメリ』
「好き」と「嫌い」で輝く、すばらしき世界。
私の周りの、特に女性にはとっても評判が良い今日の映画「アメリ」。女の子が好きな小さなセンスの良さが詰まっていて、観ればちょっと幸せな気分になれること間違いなしの映画ですよね。個性的でカラフルなアメリワールドと、フランスのおしゃれな生活感にあこがれたものです。
徹底して「好きなこと」と「嫌いなこと」だけで出来上がっているアメリの世界。
秘かなたのしみは“豆袋に指を入れること、クレーム・ブリュレのお焦げを割ること、サン・マルタン運河での水切り” -「 アメリ」2001年、ジャン・ピエール・ジュネ監督
女の子の心をくすぐるこんなアメリの「私ってちょっと変わってる?」とか、「周囲になじめない」と感じる特別感が、きっと多くの“かつて女の子だった”女性たちの共感を誘うんだと思います。
声を大にしづらいけれど「アメリ」がちょっと苦手でした。
実は私、正直言いましてこの、なんというかちょっと面倒な女の子アメリが苦手でした。ちょこっと世間から外れた個性に共感する一方で、回りくどいおせっかいにイライラしたりして。
でも、30代後半になってこの映画を久しぶりに観なおしてみたら、そんなアメリの不器用さに寛容になっている自分がいました。それはきっと、私も大人になって、世の中や組織に身をおくようになり、窮屈な思いをしたり、違和感を感じたりしてきたからじゃないかなと思います。
今や世界は、やりたくなくてもやらなきゃいけないことで出来上がってるみたいに感じる日々。毎日の責務に、時には気の進まない仕事、年々重くなる責任…。そういえばいつの間にか、自分の「好きなこと」と「嫌いなこと」なんて考えなくなっていたのではないか?と思いかけました。
歳を重ねても「好き」と「嫌い」には敏感。
そんな大人になった私があらためて観るアメリワールド。すると不思議なことに、世の中のいろんなことに我慢して生きてるつもりの自分が、いまだにちゃっかり「好き」と「嫌い」で堂々と生きてることに気づくのです。
注射は絶対イヤだし、好きな映画は10回でも観に行っちゃう。嫌いな服は絶対着ないし、好きな人はとことん好き。なんだ、今も結局アメリのまんま。なんにも変わってないじゃない。
久々の「アメリ」は、今も女の子の心をもつ大人たちと、好きと嫌いに敏感で組織からはみ出しそうな人々が、世界と調和を取るためにできることを思い出させてくれる映画でした。
私たちは、空想も忘れるほど時に疲れてしまうことがあっても、アメリみたいに活路を見いだせるはず。
”ローリエの葉っぱに意味なく穴をあけること”、心を癒す方法はそんなことでもいいんです。きっとあなたも、自分のなかの抑えがたいアメリ症候群にウズウズするはず!
今日の「きっかけシネマ」情報
『アメリ』(2001年)
【監督】
ジャン・ピエール・ジュネ
【キャスト】
オドレイ・トトゥ
マチュー・カソヴィッツ
【ストーリー】
モンマルトルのカフェで働くアメリは、空想の世界に逃避しがちな女の子。他人の人生にこっそりいたずらをして周囲の人々の幸せを手助けしていたが、自分の人生はさっぱり。ある時、出会った青年に一目ぼれしてしまったアメリは、自分の世界を飛び出そうと奮闘し始めるが…。
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