【ご機嫌をつくるモノ】家事は同じことの繰り返し。だからこそ日々愉しめる工夫を。(内田彩仍さん)
編集スタッフ 二本柳
写真 中島千絵美(1枚目)、内田彩仍(2~4枚目)
内田彩仍さんの、ごきげんな家事。
毎日、毎日くりかえす家事しごと。
朝ごはんを作ってお昼を過ごしたら、あっという間に夕飯の時間。洗濯物をたたみ終えたと思えばいつの間にやら次の衣類がカゴに溜まってて…… 家事はそんな終わりの見えないものだから、時にごきげんに向き合うことが難しく感じられる日もあります。
でもそんなとき、「よし。がんばるか」と思えるきっかけをくれるモノが、気分を上げてくれるお気に入りの道具があると心強い。
本日は、著書『手しごと、家しごと』や『Dear,home 2 一週間の家しごと』をはじめ、家事をたのしくするアイデアを数多く紹介されている内田彩仍(うちだ あやの)さんに、「ごきげんな家事をつくるモノ」というテーマで話を伺いました。
身の回りの道具ひとつで、心持ちはちょっぴり変わるかもしれません。
自分をごきげんにしてくれるモノって何だろう?と思い出しながらご覧いただければ嬉しいです。
日々くりかえす家事だから…
欠かせない3つの道具
琺瑯のたらいと陶器の乳鉢
「出しっ放しでも気にならないデザインを。」
最初にご紹介いただいたのは、「キャトル・セゾン」の白いたらいと「アピルコ」の乳鉢。内田さんの洗濯に欠かせない道具だそうです。
乳鉢は、重曹と酸素系漂白剤をしっかり混ぜて、えりまわりや袖口、小さなシミなどを落とすときに。琺瑯のたらいは、タオルや布巾などのつけ置きに愛用しているとのこと。
内田さん:
「日々使うものだから、しまい込まずに出しっ放しにしておける『白いもの』を探して、たらいは10年ほど前に購入、乳鉢は20年以上になります。
琺瑯のたらいはそこにある佇まいも好きで、柔らかな曲線と生成りのような優しい色合いも気に入っています。乳鉢は使いながら理科の実験をしているようで、色々な配合や洗い方を考えながらやっています。
匂いも汚れも落として、洗濯物がきれいになると気持ちもさっぱり。そんなちょっとした達成感が家事を愉しむコツのようです。
家事は日々同じことの繰り返し。そこに愉しみを見いだせたら、ふっと肩の力を抜いて続けられると思います」
ティーマのマグカップ
「新しい1日を始めるための、大切なマグカップ。」
北欧好きな内田さんにとって、特別なブランドでもあるというiittala(イッタラ)。
なかでもTeema(ティーマ)シリーズのマグカップは、毎年誕生日に友人が贈ってくれるもの。そのときの暮らしに合う色を聞かれ、いつもプレゼントしてくれるのだそうです。(すてき…!)
ちなみに昨年は、写真にもあるセラドングリーンを。今では旅先で購入したものも含めて、8種類の色が揃っているのだとか。
内田さん:
「ティーマは、程よい厚みとシンプルなデザインが気に入っています。ちょっとくすんだ色合いも好みです。
フィンランドを訪れたとき、マグカップがつくられている工場も見学しました。あのカップはここからやって来るんだな…と感慨深くて。それからフィンランドで暮らしている方々のお宅に伺ったときは、どこの家庭でも家族分のティーマが並んでいました。それがとても微笑ましくて、大切に使われているのだと感じました。
そんな様子を実際に目にしたから、このマグカップには私なりの特別な思い入れがあるのだと思います。
朝起きたら、今日好きな色のカップを選んで白湯を飲む。飲みながらノートの整理をして、心持ちを整えます。そうしながら新しい日が始まる準備をしています」
倉敷意匠の裁縫箱
「ボタンをつけながら、何だかほっとする。」
ボタンをつけたり、何かのサイズを測ったり…… 1日に1度はひらくという内田さんの裁縫箱は、ナチュラルな木の素材のものでした。
もともと手作りが好きなこともあり、裁縫道具が増えてきたのにあわせて少し大きめなこちらのものに買い替えたそう。
内田さん:
「これは、私が頭の中で思っている裁縫箱そのもの。
自然なナラ材の質感が好きで、手作りをしながらさっと広げたときの使い勝手も良く、ボタンを付けながら何だかほっとするのです。
使い続けながら、何度かオイルで手入れをしたので、日に焼けて少しだけ濃い色になりました。
いつも手に取るものだから、すぐに使えるよう、リビングに置いています。インテリアにも馴染む裁縫箱です」
家事の時間を前向きにしてくれそう…
写真 クラシコム
本日は「モノ」に着目して、家事をごきげんにしてくれる道具をお届けしました。
「日々同じことの繰り返しだから、そこに愉しみを見いだせたら」と選んでいただいた3つの道具は、すべて内田さんなりの特別な思い入れがあるものたちでした。
見た目の好みや使い勝手はもちろんですが、それが友人から毎年贈られてくるプレゼントであったり、手入れをしながら長年愛用しつづけているものであったり……思い入れある道具とともに暮らす様子は、なんだかとっても豊かに見えました。
時には「やりたくない!」とため息もつきたくなる家事だからこそ、使う道具の果たす役割は大きい。「それを大切にしたい」と思う気持ちが、暮らしの中にささやかな喜びを運んでくれるのかもしれません。
今夜は身の回りのものをぐるりと見まわして、自分をごきげんにしてくれるモノ、見つけてみませんか?
(つづく)
▽内田彩仍さんの著書は、こちらからご覧いただけます。
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