【連載】あの人の暮らしにある「北欧」のこと。no.13:身近な自然に親しむ
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毎朝つかうマグカップ、古いものを受け継ぎ使うこと。身近なお気に入りや習慣が、北欧からヒントを得ているということはありませんか。
鎌倉の雑貨店『moln』店主、五十嵐綾(いがらし・あや)さんは、何度も北欧を訪ねるうちに、大切にしたいことがどんどん増えてきたといいます。
ささやかに取り入れている、暮らしのなかのちいさな北欧。いますぐ始めてみたくなる、手のひらサイズの「北欧」を4回にわたってお届けします。
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雑貨店「moln」の看板をおろしたあとの、ちいさな寄り道。五十嵐さんは、ときどき海へでかけます。お気に入りの材木座海岸までは、のんびり歩いて20分です。
夕方と夜のちょうど合間、観光のひとはほとんどいません。犬の散歩をしているひと、走っているひと、小さな子どもとお母さん。ここにあるのは、海を日常とする風景です。
スウェーデンの田舎町、ダーラナ地方のレクサンドには豊かな森と湖がありました。誰もが当たり前のように、森を散歩したり走ったり、ときには花を摘んだり。街へ出ても、そこには大きな公園があり、めいめいに芝生に寝転んで読書をしたり、友だちと語り合ったりを楽しんでいます。
みんな、自然を生活の一部として愛しているのだと思いました。
夏至祭では、自分でつくった花かんむりを頭にのせ、地元のひとたちと踊りました。夏至祭は、自然の恵みに感謝し、繁栄を祝う大切なお祭りです。すてきだなあと眺めていたら、「あなたも花を摘んでつくればいいじゃない」。その一言で、旅人もたちまちその場に迎え入れてもらえたのでした。
スウェーデンで出会うひとたちはみな、穏やかで親切です。森がそばにあるからでしょうか。自然に触れていると、こころが落ち着くからでしょうか。
材木座の海岸を歩きながら、五十嵐さんは思い出しています。
忙しい毎日のなかで、こうして自然の音や手触りを感じるひとときは、スウェーデンも日本も、きっと同じなのかもしれない。
浜辺を歩いていると、楽しいことがあった日も、忙しない日も、ちょっと不安な日も、上がったり下がったりの気持ちがだんだんなだらかになっていきます。ときには素足になって、地球のでこぼこや温度を肌で感じてみたりもします。
寄せる波がこころを洗い、ふうーっと吐いた息は空に溶けていきました。
波の音と砂のつぶつぶ、鳥や風の声。すぐそばには山もあります。自然を感じられるこの鎌倉が、五十嵐さんは大好きです。
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Text : Akari Fujisawa
Photo: Ayumi Yamamoto

五十嵐 綾
鎌倉にある雑貨店moln(モルン)の店主。洋服、陶器、紙雑貨などを、アンティークから作家さんの作品まで幅広く取り扱う。作家さんによる展示会、月1〜2回ほど音楽と本のイベント「貸切り図書館」、ワークショップなども開催している。
HP:
http://moln.jp
X(Twitter):
@CLOUD_BLDG_moln
Instagram:
@ayamoln
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