【フィットする暮らし】浜島直子さん 第1話:理想はシンプルに生きること、「はまじ」というライフスタイル。
ライター 片田理恵
写真 岩田貴樹
「今の暮らしは、自分にフィットしているなぁ」
心からそう感じられる背景には、きっと他人のモノサシではない “自分” の基準で選びとったスタイルがあるのだと思います。
シリーズ「フィットする暮らしのつくり方」は、そんな自分らしく心地いい暮らしをつくっておられる方を取材し、暮らしのヒントをお届けする読みもの企画。
vol.13となる今回は「はまじ」の愛称でおなじみ、モデルの浜島直子(はまじまなおこ)さんに登場いただきました。
なんて気持ちよさそうに笑うひとなんだろう。
雑誌で、テレビで、浜島さんの笑顔に出会うたびいつもそう感じていました。
おしゃれに興味が出てきた中学生の頃から、「はまじ」はずっと私たちの憧れ。それは彼女が母となった今も変わりません。
どんな服を着て、どんな部屋に住んで、どの街で買い物をして、家族とどう過ごしているんだろう。どうしたら私も、あんなふうに気持ちよく笑えるんだろう。
仕事と子育ての両立をしながら、ますます輝きを増していく浜島さんのフィットする暮らし。全4話でたっぷりとお届けします。
もくじ
第1話:理想はシンプルに生きること、
「はまじ」というライフスタイル。
私たちは、どうして「はまじ」に惹かれ続けるのだろう?
涼しげな茶器が素敵なお茶セット、どこかで見覚えがあるなと感じた方も多いのではないでしょうか。ポイントは急須のフタ。あれ、もしかしてこれって哺乳瓶の……?
そう、実はこれ、浜島さんがご自身のインスタグラムにアップされていた写真と全く同じ構図で撮影したもの。取材当日の朝、いつものように日課のお茶を淹れた様子とともに「これから取材です」と告知してくださいました。
スタッフは一同大喜び! ご自宅にお伺いして、さっそくこのお茶を見せていただいたんです。右側のボトルのお茶の量が減っているのはそれまでの時間にご家族が飲まれた分。リアルでしょう(笑)?
哺乳瓶の乳首をフタ代わりにするユーモアとセンス(実はこれ、先に穴が開いているので非常に実用的でもあるんです!)、いたずらっ子のような表情でそれを見せてくれるチャーミングさ。
私たちがどうして「はまじ」に惹かれ続けるのか、その片鱗をかいま見たような気がしました。
大好きな祖母のように、ズルくないひとでありたい
浜島さんが「絶対になりたかった」というモデルの仕事を始めたのは18歳のとき。高校3年の夏、雑誌『mc sister』のイベントに出かけてスカウトされたのがきっかけでした。
両親の反対を押し切って上京した彼女の強い味方になってくれたのは、大好きな祖母。一緒に話すとこちらの気持ちまでパッと明るくなるような、冗談の好きな楽しいおばあちゃんだったと言います。
浜島さん:
「仕事を始めた当初から、いつも一番にほめてくれた人ですね。『あれ見たよ、よかったよ』って、もうべた褒め(笑)。
電話するたび『どんなに忙しくてもテングになっちゃだめだよ』『身近にあるものや人に感謝しなさい』『ズルい気持ちを持たないように』と何度も繰り返し言ってくれたことは、今も意識して肝に銘じています。
『仕事が充実していても奥さんの仕事をきちんとしなさい』って、家のことをちゃんと考えるきっかけをくれたのもおばあちゃんでした」
自分のことばっかりで家を大事にできていなかった20代
プライベートでは23歳で映像作家のアベカズヒロさんと結婚。
が、当時はテレビ番組『世界ふしぎ発見!』の海外ロケで2カ月に1度、2週間は家を空けるのが日常で、「結婚した意味ないじゃん」と言われるほど仕事優先の生活でした。
夫のためにおかずの冷凍ストックをたっぷり作っては嬉々として長期の仕事に出かける妻と、本当は夫婦そろって家で過ごす時間をもっと大切にしたいと思いつつもそれを見送る夫。
少しずつ夫婦の気持ちはすれ違っていったといいます。
浜島さん:
「最初は(夫の)カズちゃんに『子どもは30歳まで待ってね』と言ってたんです。それがだんだん『35歳まで待ってね』に変わって。
歳がすこし離れた夫から『オレもうすぐ50になるから家族のこと考えようよ』って言われて初めて『ああそうか、ずっと待っててくれたんだ』と気づきました。
それをきっかけに夫婦で出産にのぞみたいという気持ちになったんです」
洋服も、インテリアも、考え方も。シンプルって「私らしい」
その後37歳で妊娠、出産。産後は夫婦のどちらかが子どもをみるというやり方で仕事に復帰しました。
当然ライフスタイルは一変。家族の暮らしを考える上で軸になったのは「シンプル」ということでした。
浜島さん:
「20代の頃って、たとえばファッションにしても足し算の楽しみ方だったんですよね。あれもこれもっていう。
でもそれがだんだん引き算に変わってきたんです。
流行にも、人からどう見られるかにも左右されずに、自分らしいものを着るってすごく素敵だなと思って」
お手本にしたのは、仕事をきっかけに出会った同性の先輩たち。彼女たちの暮らしぶりに大きな刺激を受けたといいます。伊藤まさこさん、高橋郁代さん、ワタナベマキさん、雅姫さん、平澤まりこさんーー。
浜島さん:
「みなさん好きなものは違っているんですけど、自分の “好き” に正直でブレていないという点では同じだったんです。
自分らしさとスタイルが確立されているから、余計なものをプラスしなくてもかっこいい。
正直『ガーン!』って気持ちでした。それで私の “好き” はどんなものだろう?ということを改めて考え始めたんです」
「好きなもの」と見せてくれたコースターは、平澤まりこさんと行った吉祥寺の雑貨店『OUTBOUND(アウトバウンド)』で購入したもの。
ラオスの少数民族、レンテン族の女性たちによる手仕事が美しいアイテムに一目惚れでした。
浜島さん:
「まりこはん(平澤まりこさん)が『ストーリーや背景を感じられるものが好き』と言っていたのを聞いてなるほどなぁって。確かに人の手が作ったものって、暮らしに温もりと味わいが出るんですよね」
「ときめくかどうか」を基準に、断捨離スタート
自分らしくシンプルに暮らすために浜島さんが始めたのは、断捨離。
クローゼットに入るものだけでいい、両手からあふれるものはいらない、と決めて “手放すこと” をスタートしました。
浜島さん:
「迷ったら “とりあえず袋” に入れておきます。一週間そのままにしておいて、存在を忘れていられるものならいらないなって。心のワンクッションを置くようにすると踏ん切りがつけやすいんですよ」
あの人が持っているからとうらやましくて買ったバッグ、背伸びして選んだブランドのオーラに負けてうまく着られなかった洋服。
ひとつひとつ「これはときめく?」と自身に問いかけて手放すものを決めたそうです。
浜島さんにもそういう買い物の失敗経験があるんだ、ということに私たちはびっくり。そう伝えると「えー!?全然あります。同じですよ!」と、とびきりの笑顔で答えてくれました。
次回2話目では、断捨離を終えた今の浜島さんのご自宅を紹介。厳選されたはまじの “好き” に迫ります。
(つづく)
もくじ
モデル、タレント 浜島直子
愛称「はまじ」。北海道出身。高校在学中にスカウトされ、18歳でモデルデビュー。LEE専属モデル、NHK総合「あさイチ」、 TBS「暮らしのレシピ」、TBS「世界ふしぎ発見!」ミステリーハンターなど、幅広く活躍。近著に夫・アベカズヒロ氏との共著『しろ』(ミルブックス)がある。
ライター 片田理恵
編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「ナチュママ」「リンネル」「はるまち」「DOTPLACE」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。
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