【夜、寝る前の自分じかん】仕事のあと深くリラックスするために、欠かさない夜の習慣。
編集スタッフ 寿山
陶芸家、伊藤聡信さんの1日をリセットする「夜じかん」
8月から不定期でお届けしている連載「夜の自分じかん」。
家事や仕事が忙しくなってくると、ベッドに入ってからも「あれをしなきゃ」「これもしなきゃ」とついつい考えていた、なんて経験ありませんか?
私は仕事柄、暮らしの中で仕事のことを考えがち。家事を全部終えてソファに座った夜、オンからオフへ切り替えられないなんてことも。時には何も考えず、頭をまっさらにしたい瞬間もあります。
そこで今回は、自宅に工房を構える人気作家の伊藤聡信(あきのぶ)さんに、仕事後の夜の時間の過ごし方についてお話を伺いました。
伊藤さんは、素朴で愛らしい色絵の器を中心に人気を集める作り手。現在は愛知県常滑(とこなめ)市で、奥さまと14歳の長女、5歳の長男との4人暮らしです。
ひたすら器と向き合う日々のなか、どのようにオンとオフの切り替えをされているのでしょうか。
オフタイムである夜じかんの過ごし方について、詳しく教えていただきました。
伊藤さんの夜の時間割
18:30 仕事終わり(個展前には22時くらいまで)
19:00 片づけ
19:30 風呂、夕飯
20:30 子供の寝かしつけ
21:00 ストレッチ後本を読むなどしてリラックス
22:00 就寝
夜の「じぶん時間」で
大切にしている2つの習慣
子どもと絵本を読む
夜の習慣のひとつに、子どもの寝かしつけがあるそう。
母親が保育士だったこともあり、実家に古い絵本がたくさんあったのだとか。気に入ったものを自宅に持ち帰り、子どもが寝る前に読み聞かせているといいます。
伊藤さん:
「週末も家で仕事をしていることが多く、子どもと出かける機会があまりありません。その分、ふだんの生活のなかで一緒に過ごす時間を大切にしています 」
愛猫をモチーフにした招き猫。写真は釉薬をかけずに炭化させたもの。展示会には色絵の招き猫が並ぶそう
時間があるときは、子どもと土で遊んだり、プラモデルを作ったり、手を動かすことを楽しむといいます。
好きな器でお茶を飲む
もうひとつ伊藤さんが大切にしているのが、夜にお茶を楽しむひととき。
あえて自分が作った器ではなく、古い器やほかの作り手のもので、番茶や焙じ茶を飲むといいます。
さらにリラックスしたいときは、9種類のエッセンシャルオイルがブレンドされた「イムネオール100」をつけてストレッチをするそう。
この日は、現在は漆作家として活躍する角有伊さんの陶器を選んだ伊藤さん
ストレッチの後は、腕立てや腹筋、背筋、スクワットをして、日中動かさない筋肉を使うようにしているのだとか。
どちらも仕事に区切りをつけるために、伊藤さんが大切にしているルーティン。この2つの習慣で1日をリセットしているといいます。
忙しいときほど、効率を考えすぎず、仕事自体を楽しむ
それでも個展の前などは、リセットすることも忘れるほど時間に追われてしまうことも。
そんなときは、気持ちを急き立てて効率よく作業をするよりも、あえて仕事自体を楽しむよう意識しているといいます。
伊藤さん:
「仕事を楽しむというのは、自分が形にしてみたいものを作ったり、やったことがない新しい試みを器にしたりするということでしょうか。
そうした新しい器でお客さんに新鮮みや驚きを提供して、楽しんでもらえたらいいなと思っています」
「仕事と暮らしがつながっている」と話す伊藤さん。境目があいまいだからこそ、仕事に区切りをつけるための夜の習慣を大切にされていました。
仕事にも暮らしにも、いつも自然体で向き合う姿も印象的。
私はオンとオフを切り替えなきゃと、妙な焦りを感じることがあります。
あまりそこにとらわれず、気の向くまま、心地よいと感じる習慣に身をゆだねれば、おのずと深くリラックスできるのかもしれない……。
今夜から、さっそく心地よいルーティン探しをしてみることにします。
(つづく)
こちらの特集も合わせてご覧ください。
伊藤聡信(器作家)
1971年兵庫県生まれ。1996年に名古屋芸術大学美術学部デザイン科卒。1999年に愛知県常滑市に築窯。個人のInstagramアカウント(@itoakinobu)では、作品だけでなく日々の暮らしの風景も紹介している。
HP:http://www.ito-akinobu.com/
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