【インテリア特集】第4話:「きれい」 が続く水回りって?バスルーム&ランドリールームのしつらい
ライター 嶌陽子
好きなデザインに囲まれて暮らせば、掃除も頑張れる
インテリア連載vol.11は、インテリアデザイナー、小林恭(たかし)さん・マナさん夫妻のご自宅です。
昨年秋に、都内の広大な公園に面した土地に事務所兼自宅を新築しました。
『マリメッコ』の店舗設計など、北欧ブランドとの仕事を通じ、北欧のライフスタイルにも影響を受けてきたという2人。
自然とゆるやかに繋がった住まいには、「与えられた環境・条件を最大限に生かして、快適に暮らす」という知恵が詰まっていました。
最終回は、バスルームやランドリールーム、キッチンなどの水回りエリアを紹介します。
どのエリアも、小林さん夫妻の美しさへのこだわりが詰まった空間。「なぜこだわるのか」という理由も、あわせて教えてもらいました。
(※登場するアイテムは、全て私物です。過去に購入したものを紹介しているので、現在手に入らないものもございます。どうぞご理解、ご了承いただけると幸いです)
第4話
バスルーム&ランドリールーム
すっきりと、清潔感ある水回り。
バスルームは、2階の北側に面した場所にあります。
洗面台、バスタブ、シャワールーム、トイレがひとつにまとまった空間です。
マナさん:
「前の家では、ほぼシャワーのみの生活でしたが、今はあまりにも気持ちいいので、平日の朝もお風呂を使うようになりました。
お湯につかりながら、公園の自然を見るのが楽しみですね」
バスルームの照明は前の家から持って来たヤマギワのもので(現在は廃盤だそう)。
バスグッズや掃除道具などのこまごまとしたものは、すべて洗面台の下の戸棚や、鏡付き戸棚にしまいこんでいます。
そのため、ブルーグリーンのガラスモザイクタイルが映える、本当にすっきりとした、清潔感あふれる空間に。
その中で心を和ませてくれるのが、マナさんのコレクションだというシロクマのオブジェです。
リサ・ラーソンの作品や、NYのメトロポリタン美術館で買ったものなど。全て白で統一されているので、すっきり感を損ないません。
マナさん:
「このエリアは、『北極』という設定なんです」
トイレだって妥協なし。好きなものに囲まれたい。
シャワーブースの向かい側にあるのが、トイレ。
ヨーロッパのホテルにあるような、モダンで美しいフォルムです!こちらはイタリアのCATARANO社製だとか。
マナさん:
「前の家のトイレはウォシュレットタイプでした。確かに便利なのですが、今回はデザインを優先させたくて。
新しい家で自分たちの好きなものをイチから選べるのだから、見た目が好きなものにこだわりました」
水洗ボタンもシンプルでおしゃれ。ドイツのviega 社製。
トイレまわりに置かれているのは、リードディフューザーなど、最小限のものだけ。
恭さん:
「機能も大事だけれど、僕たちはどちらかというとデザイン重視。きれいだなと思うものに囲まれて暮らした方が、絶対に気持ちいいですから。
今は好きなものばかりに囲まれているので、『きれいにしよう!』いう気持ちも強くなって、掃除も頑張るようになりました」
マナさん:
「この家を建てている間、しばらく賃貸の部屋に仮住まいをしていたんです。
でも、好きな空間にしきれなかったので、掃除や片付けに気合いが入らなかった(笑)。今は、すごくこまめに掃除していますよ」
スイッチパネルやコンセントパネルは、家電製品に多い黒と馴染むよう、ダークグレーで統一。
たとえトイレや家電製品でも、本当に好きなデザインのものしか置かない。
その強いこだわりが、「大切に使おう」という気持ちを生んで、結局は家をきれいに保つことにつながるのでしょう。
こざっぱりと整えられた小林さん宅を見ながら、そんなことを感じました。
洗濯機から出してすぐに干せる、ランドリールーム。
こちらは、2階にあるランドリールーム。猫のトイレも置いてあります。
マナさん:
「芝生をイメージした緑のカーペットを敷いて、壁は水色に塗って。屋外をイメージしてみました」
そんなちょっとした遊び心で、日々の洗濯も楽しくなりそうです!
洗濯機の横のステンレスシェルフには、ハンガーがかけてあります。ここに、洗濯し終えたものを干すのです。
洗濯機から取り出してすぐ横に干せるので、時間も労力もかなり少なくてすみます。
乾燥機能がついた部屋なので、室内に干しても問題なし。
マナさん:
「10年前に突然花粉症になり、花粉の季節に外に洗濯物を干すようになってから、室内干しにはまってしまいました。
天候も時間も気にせずに干せるので、忙しい自分にはぴったりだったんです。
ただ、これまでは洗面所や寝室に除湿器をセットしていただけだったので、いつも居心地の悪さを感じていて。
いつかは専用のランドリールームを作ろうと思っていました」
愛猫マロンがトイレに自由に出入りできるよう、ドアには専用の出入り口が。
いちから設計できる新居。だからこそ、既存の住宅のイメージや部屋の区分にとらわれる必要はありません。
自分たちのライフスタイルや生活動線を考え抜いて作られたランドリールームが新鮮でした。
優秀なデザインの道具だと、料理も楽しい。
次は、1階のキッチンに戻って、愛用の調理道具をいくつか出してもらいました。
黒いフライパンとダッチオーブンは「ロッジ」のもの。10年くらい前にテフロン加工のフライパンからこちらへ移行したそう。
マナさん:
「肉や魚を焼いたり、ローストビーフを作ったり、どんな料理にも活躍してくれます。
ようやく最近になって、鉄製の鍋を上手に使いこなせるようになってきました」
クリステルのステンレス鍋セットは、結婚当初から使用。使い込んだ跡が見られます。
キッチン戸棚の下に置いたゴミ箱はドイツのメーカー「HAYLO」のもの。中は3つに分かれていて、ゴミを分別できるようになっています。
オレンジ色の分別用ラベルは「DYMO」のラベルメーカーで作成。
赤い蓋とブルーの取っ手が印象的なティーポットは、オランダの「Jansen & Co」。青山の「シボネ」で購入したそうです。
恭さん:
「キッチンは基本的にグレーやモノトーンをベースにしているので、ビビッドな色の食器やツールを差し色として使っています」
シンクの上の窓辺に飾ってあった真鍮製の容器は、モノトーンのキッチンの上品なアクセントに。
元々はペンホルダーだというこの容器、スウェーデンのメーカー「Skultuna」のもので、青山の雑貨店「ドワネル」で購入したと言います。
他の部屋にある家具やオブジェと同様、キッチンツールも優秀なデザインのものばかり。
同時に質実剛健な雰囲気もあり、長年「小林さん夫妻と一緒に働いてきた」という感じがしました。
インテリアデザイナー、小林恭さん・マナさん夫妻の新居のインテリアを、全4回にわたってお届けました。
インテリアのプロのお2人。さすがという他ない美的センスに、取材中はため息をもらしてばかり。
けれど、もっとも強く印象に残ったのは、仕事で北欧に通ううちに影響を受けたという、自然とともにある豊かな暮らしかたでした。
与えられた環境を最大限に生かして楽しむという、空間作り、ひいては生活そのものに対する姿勢。
好きなデザインのものだけに囲まれて暮らすことが、こまめに掃除・整理整頓するための秘訣だということ。
2人のライフスタイルに関する、数々の言葉がとても胸に残りました。
美しいものが並んでいながらも、訪れる人に緊張感を与えず、どこかほっとできる。
そんな空間は、小林さん夫妻の暮らしの哲学から生まれているのかもしれません。
インテリア連載はこれからも続きます。次にお邪魔するお宅からは、どんな暮らしのポリシーが見えてくるのでしょう。
どうぞお楽しみに!
(おわり)
【写真】木村文平
もくじ
小林恭・マナ
設計事務所イマを主宰。恭さん、マナさんともに前職を1997年に退社後、建築、デザイン、アートの勉強のため半年間のヨーロッパ旅行へ。1998年に帰国後、現在の事務所を設立。物販&飲食店のデザイン、プロダクトデザイン、個人住宅など、幅広く空間デザインを手がけるほか、鹿児島睦さんなど展覧会の空間デザインや、インスタレーションの分野でも活躍。http://www.ima-ima.com/
ライター 嶌陽子(しま ようこ)
編集者、ライター。大学卒業後、フリーランスでの映像翻訳や国際NGO職員を経た後、2007年から出版社での編集業務に携わる。2013年からフリーランスで活動を始め、現在は暮らしまわりの記事や人物インタビューなどを手がける。執筆媒体は『クロワッサン』(マガジンハウス)、『天然生活』(地球丸)など。プライベートでは1児の母として奮闘中。
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