【潔いレシピ】第1話:だしのいらない、親子どんぶり
編集スタッフ 松浦
理由を知って、手を抜こう
こうしなきゃ、こうやらなきゃと、なんとなく自分のルールにしていたことが、実はただの思い込みだった。そんなことが、料理でもたまにあるものです。
「なんでそうするのか? 理由が分かれば料理はもっとシンプルになります」
そう語るのは、料理家の瀬尾幸子(せおゆきこ)さん。書籍『ラクうまごはんのコツ』や『これでいいのだ!瀬尾ごはん』など、簡単で美味しい家庭料理を提案されています。
瀬尾さん:
「家庭料理は、自分や家族が美味しいと思えばそれで十分なんです。でも、自分の好きなように作ることは、適当にやることじゃない。それを知らずに自分流で進めてしまうと、かえって難しくなってしまうことがあります。
なぜやらなくていいのか、なぜやらなきゃいけないのか。“なぜ” を理解していれば、力を抜けるポイントがすぐにみつかります」
手を抜くために、理由を知る。今回は、ちゃんと手を抜けるように、知っておきたい基本のレシピを教えていただきます。「だからこれでいいんだ!」そうやって、ちょっと肩の荷が降りるような、潔いレシピです。
だしのいらない、親子どんぶり
材料(2人分)
鶏もも肉 … 小さめ1枚(250g)
玉ねぎ … 1個 (200g)
卵 … 4個
醤油 … 大さじ1.5
砂糖 … 小さじ1.5
ごはん … 適量
三つ葉 … 適量
作り方
【1】鶏もも肉は小さめの一口大に、玉ねぎは1㎝幅のくし形に切ってほぐします
【2】鍋に鶏肉、玉ねぎ、水1カップを入れて中火にかけます。煮立ったら、7分弱火で煮ていきます
【3】砂糖、醤油を加え、1分ほど煮たら、溶き卵を回しかけ、蓋をしてさらに1分
【4】卵が好みの具合になったら、火を止め、三つ葉のざく切りを散らせば完成です。お好みで真ん中に黄身(分量外)をのせるのもいいですね
なぜ出汁がいらないの?
瀬尾さん:
「今回の親子丼は、お店で食べるものより、鶏肉をたっぷり入れています。こうすることで、鶏肉から十分だしがでて、醤油と砂糖だけでこんなに美味しくなるんです。
とはいえ、高級な鶏肉である必要はありません。親子丼は7分くらいしか火にかけないので、スーパーで普通に売っている若鶏の方が、逆によい場合もあります。
《違いについて》
・地鶏、銘柄鶏:大きくなるまで大切に育てているので、旨味は増すが身は少し固め → じっくり煮込んで旨味をだす水炊きなどに最適
・一般の若鶏:旨味はブランド鶏に比べれば少ないが、身は柔らかい → 短時間で調理しなければいけないときにおすすめ
だから高ければいいわけでもないんです。それぞれの特徴を理解していると、自分の好みに合わせて食材を選べるので、ぐっと買い物が楽しくなりますよ」
「なぜ」を突き詰めると、ひとつのレシピでいろんな発見がありますね。次回は、「太めのきんぴら」をご紹介します。
もくじ
料理家 瀬尾幸子
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