【訪ねたい部屋】第3話:モノが増えても、「すっきり」を保つ整理術

ライター 長谷川未緒

お住まいを訪ね、その人らしさとインテリアの関係を紐解くシリーズ「訪ねたい部屋」。

菓子作家として活躍する吉田菜々子さんにお話を伺っています。

第3話では、リビング代わりの部屋と、断捨離中だというクローゼット収納を中心に、寝室も拝見します。

 

「すっきり」の理由は、毎日なにか処分する習慣にありました

リビング・ダイニング・キッチンを仕事場としても使っている吉田さんのくつろぎスペースとなっているのは、リビングの隣室。

ひとり暮らしをはじめたときから使っているソファや、アーコールの椅子、ビンテージのテーブルと、広さのわりに、ものが少なくすっきりしているのが印象的です。

吉田さん:
「ビンテージの家具が好きなので、以前は出会ったタイミングで『いま買わなきゃ』と思い、集めていたんです。たくさんありすぎて家具に埋もれるほどでしたが、引っ越したときに、部屋に入りきらないテーブルや椅子を思い切って処分しました。

年齢を重ねて好みがよりはっきりしてきたこともありますし、ものを減らしたことで、掃除がラクになりました。不思議と、気持ちも軽くなりましたね」

菓子作家として活動をはじめる前は、アパレル関係の仕事もしていたとあって、吉田さん宅には家具のみならず、服もたくさんあったそうです。

▲ コートはクリーニング店の預けサービスを利用し、それ以外の服は、このクローゼットに収納。

吉田さん:
「服は、月に1回は見直しながら、減らしている最中です。

高かった服や思い出の服は捨てづらいものですが、3年着ていない服はフリーマーケットに出したり、処分したり。

何か新しい服を買ったら古いものは処分というふうにして、クローゼットに入るだけと決めました」

家具のような大物や服だけではなく、「毎日5個」、なにかしら捨てているそう。処分対象は、お菓子の箱など、なんとなくとっておいた使わないものも含みます。

▲クローゼット扉には、ネストローブの収納用品をかけて小物類を収納。

じつはこの取材後、わたし・長谷川もこの「毎日5個」捨てを、さっそく真似してみました。

整理しなくちゃ、と思いながらずっと後回しになっていた冷蔵庫内が2日ですっきり。これからも続けたい習慣のひとつになりました。

クローゼットの中には、プラスチックの整理ケースではなく、ビンテージの整理ダンスが。床には絨毯が敷かれ、こんなところも真似したいポイントです。

吉田さん:
「クローゼット内の床は、木の質感があまり好きではなかったのと、埃がすぐに溜まるので、カーペットクリーナーをコロコロすれば掃除しやすいように、絨毯を敷きました。

整理ダンスは、もとはプラスチックを使っていましたが、引越しのときにサイズが合わず捨てることも多くて。木の整理ダンスは、プラスチックケースに比べると収納力が低いのですが、これに入るだけ、と決めて使っています」

 

考えごとがはかどる、シンプルな寝室

いちばんキッチンから離れた、東向きの日がよく当たる部屋が、寝室です。

吉田さん:
「家で仕事をしているので、気分転換できるように、キッチンから離れたこの部屋を寝室にしました」

ベッドの上に大きなクッションがあるのは、寄りかかって考えごとをしたいからなのだとか。どの部屋も考えごとができるようにスペースをとっていて、とくに寝室は静かで最適だと言います。

壁には、岡本果倫さんの絵が飾られ、それまで拝見した部屋とは、少し違う印象も。

吉田さん:
「この家は98%わたし好みのインテリアになっています。夫はフリーランスなので、事務所を自分の好きなようにしているみたいです。

とはいえ寝室は、夫もいちばん使う場所なので、少し気を使って(笑)、ビンテージすぎない雰囲気にしています」

 

雑貨はテイストごとに分けて、バランスよく飾る

断捨離を進めているとはいえ、各部屋も、廊下も、目につくのはかわいい雑貨やカゴ類です。こうしたちいさなものが素敵に飾られているからこそ、この家からは吉田さんらしさが伝わってくる気がします。

吉田さん:
「毎年訪れるイギリスの蚤の市などで買い集めた雑貨を飾っています。

最近気がついたのは、子ども時代を過ごした80年代を思い起こさせる雑貨が好きだということですね。子どもの頃好きだったものは、かわいさと懐かしさにときめきます」

雑貨をバランス良く飾るコツはあるのでしょうか。

吉田さん:
「かわいいと感じたインスピレーションを大切に、気分で飾っていますが、棚の中で、高低差をつけたり、額縁を置いてアクセントをつけたり、バランスには気を配っています」

この棚は甘いテイストに、ここは猫ゾーン、花瓶類はこちらと、種類やイメージ別にまとめて飾るのも吉田さん流です。

 

ものを減らして、気分良くいられるインテリアに

インテリアは本を読むのも家具を見るのも好きで、来世はインテリアの仕事がしたいと笑う吉田さん。これからさらに目指したい部屋づくりはあるのでしょうか。

吉田さん:
「もう少しものを減らして、本当に自分の好きなものだけに囲まれた空間をつくりたいですね。そのほうがもっと居心地がよくなると思うんですよ。

子どもが生まれてくる予定なので、ガラス戸の棚は処分したほうがいいかもしれないなとか、家具類は固定したほうがいいかもとか。

家族が増えてもものは増やさずに、そのときの自分たちに合った、生活しやすいインテリアに整えていきたいですね」

心地よさに敏感に、違和感を覚えたら見逃さず、思い切って処分するなりDIYするなりして、解消する。

あきらめずに、何度でも納得がいくまで試す。

吉田さんのお話からは、素敵なインテリアはそんな試行錯誤の繰り返しから実現することがわかりました。

すぐに完成しなくてもいいから、まずはできることから一歩ずつ、自分らしいインテリアづくりをはじめたいと思ったのでした。

(おわり)


もくじ

吉田菜々子さん

海外で目にしたケーキやパッケージの可愛さからお菓子をデザインすることに魅了され、シュガークラフトを学ぶ。2007年より活動を開始、雑誌やイベント等でシュガーケーキやアイシングクッキーなどの菓子制作に携わっている。現在アトリエを代々木上原に構え、シュガーアートを制作中。http://thumb-and-cakes.com

 

ライター 長谷川未緒

東京外国語大学卒。出版社勤務を経て、フリーランスに。おもに、暮らしまわりの雑誌、書籍のほか、児童書の編集・執筆を手がける。リトルプレス[UCAUCA]の編集も。ともに暮らす2匹の猫のおなかに、もふっと顔をうずめるのが好き。

【写真】滝沢育絵

 


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