【うちのイヌ、うちのネコ】「今」を生きる達人のネコ2匹と。フォトグラファー砂原文さんが寄りそう14年

編集スタッフ 田中

不定期連載でお送りしていた「うちのイヌ、うちのネコ」のvol.3が、新たにスタートします。

可愛らしい仕草や表情で、言葉ではなくとも気持ちが伝わってくる愛おしい存在のイヌやネコ。ときには、人間以上に何かをわかってくれ、私たちを包みこんでくれるよう。

そんなイヌやネコと仲良く暮らす方のライフスタイルを、写真とともにご紹介します。

さて、復活第一弾の今回は、以前特集にもご登場いただいたフォトグラファーの砂原文(すなはら あや)さんと、愛猫「ロン」と「ようちゃん」です。

 

profile

名前:ロン
性別:メス
年齢:14才
種類:雑種
名前の由来:鹿児島県の与論島に旅行した際に出会った。「よろん」の音をつけたくて、「ロン」に。ちょっぴり内気で慎重派。甘えたいけど、なかなか甘えられず、やっとパパとママを独り占めと思ったらようちゃんがやってくる……ジレンマな日々。

名前:ようちゃん
性別:メス
年齢:13才
種類:ロシアンブルー
名前の由来:出会ったのは近所のペットショップだが、「よろん」の音をつけたくて、「ロン」はもう使っているから「よ」から始まる名前を考えて、自然と「ようちゃん」が出てきた。「ちゃん」までが名前。天真爛漫で、いつでも自然体。来客にも動じず、おもてなしできる猫。

 

鹿児島・与論島で運命的に出会った「ロン」

砂原さん:
「ロンは、鹿児島県の与論島で出会った捨て猫だったんです。ある年のクリスマス、与論島に行く計画をしたはいいものの、道中すったもんだがあり、へとへとで宿泊先のコテージに辿り着いた旅がありました。

くたびれていたら、部屋の外から子猫の声が聴こえて。外に出て探すと夫の膝にすぐにのって鳴き続けていたんです。

宿の人からは『きっと捨てられていたんですねーよかったら連れて帰ってあげてください』とも言われて。なんだか『私たちを待っていたのかもしれない』なんてこの出会いに運命的なものを感じてしまい、連れて帰りました」

 

ペットショップで異彩を放っていた「ようちゃん」

砂原さん:
「ようちゃんはその半年後くらいに、近所のペットショップで出会いました。ロン用のフードを買うために通っていたんですが、妙に気になるロシアンブルーの子猫で。いつ見に行っても『売られる気ゼロ!』みたいな佇まいなんです。

なんだか気になりつつも決心がつかず、また半年が経ち、そうしたら何とようちゃんはセールに出されてしまったんです。それを見て『今だ』と決心がついて、ようやく連れて帰ることができました」

 

家族の変化とともに暮らしてきた2匹

砂原さん:
「猫たちは、きっと夫のことが一番好きだと思います。それはそれは甲斐甲斐しく世話をするので(笑)。

娘は、猫が大好きで時々ちょっかいを出しすぎて嫌がられることもありますが、今は7歳になり、猫たちのごはんは彼女が用意してくれることも」

砂原さん:
「猫のほうが先輩で、娘が生まれるまで『これから赤ちゃんが来るんだよ』と伝えてはいたんです。いざ共同生活が始まると、ロンは最初こそおそるおそる近寄って観察していましたが、夜泣きで泣き止まない娘にオロオロする私に寄り添ってくれました。

逆にようちゃんは『なになに? 赤ちゃんってこの子なの?』と好奇心旺盛、そして天真爛漫な明るさで普段と変わらずにいてくれました」

砂原さん:
「救われたのは私のほうかもしれません。

産後ナーバスになっていたとき、猫たちも以前と生活のリズムが変わって戸惑っていたはずなのに、普段と変わらず優しく側にいてくれたときには、本当に助けられました」

 

猫たちは、今を生きる達人だと思う

▲ロンが好きなのはIKEAの猫用ベッド

砂原さん:
「猫たちと暮らして10年以上なので、それ以前のことが思い出せないくらい馴染んでいますね。

猫や犬など動物たちは家族。お世話も時には大変なときもあるけど、それ以上に共に生きる喜びをずっともらっています。

猫たちは、『今を生きる』達人だなと思うんです。自分が一番心地よい場所や状況を見つけることが得意で、私たちですら気づかなかった家のなかの陽だまりで寛いでいることもしばしば。

そして、『今を楽しく、全て受け入れる』姿を猫からいつも受け取っている気がします」

砂原さん:
「そういえば、ようちゃん(ロシアンブルー)は2年前に病気*になってしまい、今も薬を飲み続けて治療しています。

飄々としていて、呑気でストレスフリーな様子のようちゃんは勝手に長生きすると思い込んでいて、ショックを受けたのは私の方でした。

けれど、ようちゃん本人は自分の病気を受け入れているような気がします。ちょっとずつ痩せてはいますが、相変わらずの大らかな様子で家族に接してくれ、食欲も落ちることなく、穏やかに過ごしています。

それを見ると、飼い主の私がメソメソしていてもいけない!と思わされました」

*猫甲状腺機能亢進症という病気。高齢の猫に多く、内服薬で治療しながら付き合っていくのだそう。健康診断で判明するようです。

▲猫たちと育ってきた青ちゃん。

砂原さん:
「家族になってくれて、ありがとう。

いつも、私たちの家を守ってくれてありがとう。いつも、変わらず可愛くて、もふもふしてくれていて、ありがとう。

ずっと大好きだよ、と。本当に単純かもしれないけどそう想っています」

砂原さんと暮らす猫2匹の話を伺いました。猫って、スンと澄ましたポーカーフェイスに見えるけど、冷たいわけではなくて、温かさがあるような気がします。

そして達観しているような雰囲気で、逆に私たちを落ち着かせてくれる。ロンとようちゃんはきっと、砂原さん家族にとってそんな存在なのでしょうね。

次回もまた、お楽しみに。

(つづく)

【写真】砂原 文

うちのイヌ、うちのネコ vol.1
バックナンバー
うちのイヌ、うちのネコ vol.2
バックナンバー

砂原 文

フォトグラファー。暮らしまわりの雑誌や書籍で活躍。7歳の娘と夫(フォトグラファー)、猫2匹と暮らす。当店のリトルプレス『暮らしノオト 』やインタビュー特集にも登場。2020年2月「光を集める2020」をギャラリーフェブにて開催した。写真集「pili」発売中。
instagram→@trans_parence721

 


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