【好きを集めた家づくり】第3話:北欧テイストで揃えたリビングとベランダガーデン

ライター 長谷川未緒

特集「好きを集めた家づくり」では、飲食店のオーナーを務めるヤマモトタロヲさんと雑貨店オーナーでコーディネーターの郁美さんご夫妻の家を訪問し、自分好みのインテリアをつくるヒントを伺っています。

ご夫妻は、ふたりのお子さんとミニチュアシュナウザーとともに、築60年ほどのヴィンテージマンションをリノベーションして暮らしています。

第1話では、希望を形にしたリノベーションについて、第2話では、ものが多いふたりならではのストックルームや、すぐに真似できる廊下のディスプレイ法、寝室のDIYなどを伺いました。

続く第3話では、ユニットシェルフに合わせて北欧テイストで揃えたというリビングと、郁美さんお気に入りのベランダを中心にお聞きします。

 

ずっと憧れていた北欧のユニットシェルフ

マンションの同じ階の、3軒隣りから現在の住まいに引越しをしたヤマモトさんご夫妻は、「いつかこうしたい」を叶えるリノベーションを施しました。そのひとつが、壁に直接レールを取り付けて棚板を自分の好きなように配置できる、ユニットシェルフの設置です。

タロヲさん:
「図面を引いているときから、デンマークのデザイナー、カイ・クリスチャンセンのウォールユニットシェルフを入れると決めていました。

賃貸の部屋に住んでいたときに、いつかこういうのを買いたいとずっと憧れていたんです。一生物の家具は、じっくり探して、買う前にいろいろと想像しておくといいですよね」

この棚には、フランスやイギリスの蚤の市で見つけた器や、沖縄や唐津の民芸の器などを中心に、見せる収納をしています。

いろいろ飾られているけれどすっきり見えるのは、テイスト分けにありました。

郁美さん:
「メインになる色、この棚では青系と黄色系を決めたら、ほかのものは入れないようにしています。まぜこぜにすると、ごちゃごちゃして見えるので。

たまに夫婦で好みが合わないことがあって黙ってディスプレイを変えるんですが、いつの間にか戻っていて、3回戻ると諦めます(笑)」

 

世界観を合わせて北欧テイストのリビングに

仕事柄旅行をよくするおふたりは、家具もフランスやイギリス、日本など、さまざまな国のものを使っていますが、リビングだけはユニットシェルフに合わせて、北欧テイストに揃えました。

カイ・クリスチャンセンと同じくらい、「いつか」と思っていたのが、ハンス・J・ウェグナーのソファーです。山本さん一家の飼い犬・ストックが座面の布をガリガリするため、ふだんは布をかけて守っているそう。

タロヲさん:
「いつか手に入れたいと思って買ったんですが、あんまり座ってないですね。ストックのほうがよくここにいますし、子どももこの上でよく飛び跳ねて遊んでいます。スタンドやペンダントなどの照明も、北欧のもので統一しました」

 

夫婦で好みが合わないこともあるけれど……

リビングのウッドパネルは、このヴィンテージマンションが建ったころから使われているものをそのまま残しています。重厚な木製のウッドパネルに対し、上部は白く軽やかなところもお気に入り。天井は木にして落ち着く空間をつくりました。

この壁には、日本やタイ、アフリカなどのお面が飾られています。もともとは6割くらい合っていた好みが、8割くらい合うようになってきたというおふたり……。

郁美さん:
「このクマのお面は、自分では絶対に選ばないですね。届いたとき、子どもが怖がりましたし、えっ?と思いました。

暮らしていくうちにだんだんなじんできて、立体感があるのでアクセントになって、いまは、むしろこれがあることでいいな、と思うようになりました」

 

観葉植物が映える植え方、管理のコツ

家具を選ぶのは図面を引いたタロヲさんの係。ディスプレイや収納、家の植物の管理などは、郁美さんが行なっています。

リビングにもいたるところに、植物が飾ってあります。

郁美さん:
「常緑で育つものを置くようにしています。育て方が難しいものや珍しい植物というのはなくて、ホームセンターでセールで売られていたようなものもあるんですよ」

▲根っこがタランチュラのようなトキワシノブ。

郁美さん:
「枝ぶりがユニークなものに惹かれます。

鉢の下部に入れる軽石に傾斜をつけたり、土を斜めに入れて鉢に対して角度をつけて植物を植えたりすると、おもしろくなります。

日光のほうに向かって新芽が出てくるので、そのあたりも計算するといいと思います」

これだけ室内に植物が多いと、管理が大変そうですが……。

郁美さん:
「日光に当たらない場所に置いている植物には、ライトを当てて光合成できるようにしています。

でもふだんのお手入れはそれほど大変じゃないですよ。

年に1、2回はベランダに出してざーっと水浴びさせますが、それ以外は3日に1回くらい、多肉植物は1か月に1、2回水やりをして、たまにお米のとぎ汁を栄養代わりに入れています」

 

果樹もハーブもよく育つ、ベランダガーデン

植物好きの郁美さんにとって、家になくてはならないものがベランダです。リノベーションでは、素足で歩けるよう、ウッドデッキにし、水やりが楽になるよう水道も引きました。

南向きで日当たり良好。天気のいい朝は子どもたちとごはんを食べたりと、部屋の延長のように過ごしています。

郁美さん:
「神社や公園が見えて、眺めがいいんです。実のなる木が好きなので、レモンやグァバ、イチジクは4種類ほど置いています」

タロヲさんが料理に使うハーブ類もたくさんありました。タイム、ローリエ、イタリアンパセリ、フェンネル、セージ、レモングラス、ローズマリー、ミント、チャービルなどの鉢が、所狭しと置いてあります。

ベランダで洗濯物を干すのはタロヲさんの係。干せなくなるから、もう増やさないで、と言われているそうですが、慈しまれて育っている様子の植物たちを見ていると、これからも増えそうな雰囲気でした。

センスがいいおふたりの、好みの違いをすり合わせながらつくっているリビングのインテリアは、おもしろいものがあちこちに置かれている楽しい空間でした。

続く第4話では、食を中心にしたかったというこの家の要、ダイニングとキッチンについて伺います。

(つづく)

 

【写真】滝沢育絵

 

もくじ

 

ヤマモトタロヲ
多摩美術大学建築学科卒業後、建築会社を経て料理の道へ。イタリアン、フレンチの店で修行し、2011年独立。ビストロ「aruru」「urura」、ベトナム料理「yoyonam」などを経営。インスタグラムアカウント@yama.taro

山本郁美
雑貨店に勤務し、雑貨のバイイングと店舗ディスプレイを担当したのち、2013年に雑貨と花のお店「pivoine」をオープン。インスタグラムアカウント@ikkyu.y

 

 

 


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