【今年こそ、キャンプ】後編:初心者こそ「頑張りすぎない」のがおすすめ。キャンプごはんとたき火の楽しみ方
編集スタッフ 野村
キャンプ初心者の自分にもぴったりなのはどんな過ごし方?
そもそもキャンプ道具には何が必要で、どんなアイテムを揃えればいいの?
今回は、そんな疑問を解消できればと、キャンプ始めの第一歩をサポートする「キャンプ民泊 NONIWA(ノニワ)」を運営している青木達也さん・江梨子さんご夫婦に、キャンプ始めに必要なあれこれを教わってきました。
前編では、初心者におすすめの過ごし方であるデイキャンプのこと、そしてこれさえあれば大丈夫というキャンプ道具について教わりました。
後編の今回は、キャンプごはんとたき火の楽しみ方についてレクチャーしていただきました。
張り切りすぎなくてもOK!
気軽なキャンプごはん用アイテム10選
▲左上から時計回りに、ホットサンドメーカー・カッティングボード・ナイフ・メスティン・ウォーターボトル・コップ・カトラリー・シェラカップ・ガス缶・ガスバーナー
達也さん:
「キャンプごはんは張り切り過ぎなくていいなと個人的には思っています。
料理する時間は楽しいですが、そこに手を取られ過ぎて外でゆっくりする時間を楽しめなかったら、やっぱりもったいないなぁと。
なので自宅で食材を事前に下ごしらえして持って行って、キャンプ場では食材を温めたり、焼くだけでOKという風にしておくのがおすすめです。
必要なアイテムは10点ほど。キャンプ用のものを買わずに、すでに自宅にあるアイテムを持っていっても大丈夫ですよ。
料理の熱源となるガスコンロやガス缶、食材を調理するためのメスティン(アルミ製の飯ごう)やホットサンドメーカーなどのクッカー(調理器具)、食べるためのカトラリーや食器、料理で使う水を持ち運ぶためのウォーターボトルもあるといいですね。
食材を切り分ける必要がある際は、ナイフやカッティングボードなども準備していきましょう」
クッカーは、どんなものを選べばいいですか?
達也さん:
「キャンプ用のクッカーはたくさん種類がありますが、調理したいものに合わせて1〜2種類持っていけばOK。『焼く・沸かす』ができるものを持っていけば、十分料理できます。
例えば、セパレートタイプのホットサンドメーカーがあれば、ホットサンドはもちろん、片方だけでフライパンとしても使えます。
あとはメスティンやシェラカップもおすすめ。どちらも『焼く・煮る・茹でる』ができる万能クッカーなので、ひとつあれば色々な場面で活躍しますよ」
▲メスティンがあれば、外でごはんも炊けちゃいます
コンビニアレンジや事前の下ごしらえが◎
達也さん:
「僕たちはよく、コンビニおにぎりで作るだし茶漬けをキャンプのシメに楽しむことが多いです。
作り方は、醤油を塗って焼いたおにぎりを、顆粒だしを溶いただし汁につけて温めるだけ。この時に、シェラカップが活躍します。
肌寒い時には、体も温まるキャンプごはんになるのでおすすめです」
達也さん:
「例えば今日作ったホットサンドも、事前に下ごしらえしておけばキャンプ場では、具を混ぜて焼くだけでOKなんです。
切ってある玉ねぎを、サバ缶とマヨネーズ、コショウで和えて、それをパンで挟んで焼くだけ。面倒な工程なしでおいしいごはんが準備できますよ」
ゆっくりキャンプに欠かせない「たき火」
キャンプで一番やってみたいのが「たき火」。たき火の醍醐味は、どんなところにあるのでしょうか?
江梨子さん:
「キャンプの過ごし方は、基本外でゆっくりする時間が多いです。なので、普段の環境と違うことで戸惑ってしまうことや、人によっては手持ち無沙汰になってしまうことも。
でも、もしその場にたき火があれば、その火を使って簡単な料理もできるし、火を見ているだけでも不思議とリラックスできて、外での長い時間のゆっくり時間にぴったりのアクティビティなんです」
江梨子さん:
「それにこうしてたき火を囲みながら過ごしていると、自然とじっくり会話をする機会にもなったりもして。普段の暮らしだとなかなかできないような深い会話も、たき火を囲みながらだとしやすくなるというか。
私たちがこの場所でキャンプのことを仕事にするきっかけが生まれたのも、実はたき火を囲んでの会話でした」
「たき火の基本」、教えてください!
▲左上から時計回りに、薪・薪割りナイフ・チャッカマン・着火剤(牛乳パック)・トング・消火袋・たき火台・革手袋
江梨子さん:
「必要になるのは、たき火台、トング、革手袋、ナイフ、消火袋、耐熱シート、チャッカマン、燃やすための着火剤や薪など8点ほど。
ナイフは薪割りの際に使用するので、ブッシュクラフトナイフと呼ばれるような刃が厚いものを準備してください。
薪はキャンプ場で購入できるケースが多いので、事前に確認しましょう」
江梨子さん:
「たき火のつけ方には段階があります。火を付ける薪は細い薪から太い薪へと、段階を追って火を移していきましょう。
そのために、太さの違う薪を3〜4つ作っておくことが大切です」
たき火を楽しむ、基本の4STEP
青木さんご夫婦に、たき火を起こすための基本の4STEPを教えていただきました。
<たき火の起こしの4STEP>
1.ナイフを使って、薪割り。割り箸ほどの細い薪を15本ほど準備
2.隙間を作りながら細い薪を組んで、着火剤に火を付ける
3.薪が燃え始めたら、徐々に太い薪を足していく
4.一番太い薪にもしっかり燃え移れば、火が安定!
▲私もたき火起こしを実践してみましたが、太い薪に火が燃え移らなかったのが原因で、火が消えてしまいそうになった場面も
江梨子さん:
「もし火が消えてしまいそうになった時は、細い薪から順番に、徐々に太い薪へ火を燃え移らせて行くことを意識して、薪を足していくと、徐々に火が復活していきますよ」
たき火の後片付けはどうする?
たき火を楽しんだ後の、後片付けのことも知っておきたいこと。その時に活躍するのが消火袋です。
達也さん:
「消火袋や火消し壺など、密閉できる容器に炭を入れて空気をなくすことで消火できます。炭はキャンプ場の炭捨て場や、持ち帰って処分してください。
もし急いで消火したいという場合は、水をはったバケツなどに薪や炭を入れてください。たき火台に直接水をかけるのは危ないので行わないように。
使い終わったたき火台は、洗わずさっと拭くだけの簡単なお手入れでもOKです」
はじめは失敗から始まったキャンプ
最後に、キャンプのあれこれをレクチャーしてくれたお二人に、この仕事を始めたいきさつを伺ってみると、実はキャンプでの失敗が原点だったそう。
達也さん:
「自分を含めてキャンプ未経験の5人で行った長野での初キャンプがとにかく過酷だったんです。防寒着を持っていなくて寒かったり、寝床のテントが小さくて5人で寝られなかったり。
でも次の日の朝日が本当に心地よくて。湖畔から太陽が見えた景色が素晴らしかったなぁと心に残っていました」
江梨子さん:
「私は子どもの頃から家族でよくキャンプへ出かけていて、キャンプは楽しいもの、というイメージがあって。
キャンプに苦い経験があった夫に、道具を揃えて、知識もあればキャンプはもっと楽しく快適に過ごせるよと背中を押して、結婚してから2人でキャンプによく出かけるようになりました」
江梨子さん:
「失敗の経験は、そこから工夫が生まれてくるものでもあるから大切だと思うんです。
寒くて狭くて寝られない経験をしたから、次はどんな寝床を確保すればいいのかとか、外でお米を炊くとうまく炊けなかったから次はもっと火にかける時間を工夫しようとか、次につながっていく経験になると思います」
達也さん:
「僕もあの時の失敗があったから、じゃあ次どうすればもっと快適に過ごせるんだろうっていうことがすごく原動力になりました。
アウトドアでの活動にも慣れた頃、友人と一緒に行ったキャンプで、キャンプのことをあれこれレクチャーしていると、友人たちがすごく喜んでくれて。
その時に、キャンプの楽しさを知ってもらうきっかけになれる仕事ができるのかもしれないと思いました。たき火を囲んでいる時間や帰り道などで、そんな話を2人で積み重ねていって、今がありますね」
お二人にキャンプの楽しみ方を伺っていて印象的だったのは、とにかく張り切りすぎなくていいんです、という言葉。
今回の取材を通してキャンプに対して重い腰が上がらなかったのは、キャンプは張り切って頑張らないといけないもの、という先入観があったからかもしれないと思いました。
これから秋が深まり、キャンプに適したシーズン。今年こそは、失敗してもいいから、デイキャンプから小さく始めてみたいと思います。
(おわり)
【写真】鍵岡龍門
もくじ
青木達也・青木江梨子
2019年6月、キャンプと民泊を組み合わせた「キャンプ民泊NONIWA」を開業。夫婦ともにキャンプインストラクターの資格を持ち、「野あそび夫婦」というユニット名で、アウトドア雑誌の監修やキャンプ講習などを行う。地域 × アウトドアをテーマに、商品開発、PR、コンテンツ制作など幅広く活動。
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