【ひとり旅が好き】後編:旅のおともは、本とノート。スタッフ5名のお気に入りをご紹介

編集スタッフ 野村

ひとり旅は、旅先での過ごし方も、その道中での時間の使い方も全部自分の自由。

だからこそ、その時の体験やひとりで感じた気持ちは鮮明に心に残っていて、自分の中で少し特別で、大事にしたい経験として残っていることも多いと思います。

でも、暮らしの変化で、なかなか軽やかにひとり旅に出かけるのが難しいなと感じることもしばしば。

そこで今回「わたしのスーツケース・ジャーニー」と題して、少しの旅気分に浸れればと本特集をお届けしています。前編では、スタッフ3名のひとり旅の思い出ばなしをじっくり聞きました。

後編の今回は、スタッフそれぞれが今までのひとり旅の際に持って行った「旅のおとも」をご紹介していきます。

前編を読む

 


01:スタッフ一瀬
「移動時間での読書が、印象に残っています」


スタッフ一瀬:
「4泊5日で青森へゆっくりひとり旅したときに持って行ったのが、村上春樹さんの旅エッセイ『遠い太鼓』(講談社)でした。

ギリシャやイタリアなど南ヨーロッパを旅したときのことを、素直な愚痴なども混ぜながら書いてあるのが新鮮で面白くて。

ひとり旅のことを振り返ると、目的地の美術館までローカル線やバスを乗り継ぎながら、ゆっくりこの本を読んだ時間が旅の中でも心地よかったなと印象に残っているんです。

普段だと忙しくて本を読んでも活字が滑ってしまうような感覚だったのが、やっと落ち着いて読書の世界に浸れた満足感があったからかもしれません」

 

 


02:スタッフ齋藤
「旅が、一層かわいく特別に思える本」


スタッフ齋藤:
「学生時代や社会人になって間もない頃に行った旅は忘れられません。岡尾美代子さんの『Land Land Land 旅するA to Z』(筑摩書房)と、小さなノートを一冊持っていっていました。

本には、岡尾さん自身の旅にまつわるアイテムやエピソードがアルファベット順に紹介されていて、とにかく写真と文章を眺めるのが癒しで。

本で紹介されている旅の必需品や旅先で購入したものを、目を皿のようにして見ては、ちょっと真似してみたり。行きの電車や、旅先の喫茶店などでこの本を開くと、ひとり旅が一層かわいく特別に思える、大好きな本です。

手のひらサイズの小さなノートには、行きたいお店のメモや旅のスケジュール、それから日記も書いたり。帰ってきたら、ショップカードやチケットを貼って、自分だけの旅ノート作りを楽しんでいました」

 

 


03スタッフ金
「ズボラなノートでも、いいなと思えます」


スタッフ金:
「人生初のひとり旅は、大学生の頃に行ったイギリスでした。

イギリス文学を専攻していて、卒業前に一度はイギリスへ行ってみたいと、1週間ほどかけて卒論で扱う作品・作家さんにまつわる場所を巡りました。真ん中の英語の本は、当時勉強していた作品でもあり、その時に持って行った思い出の一冊です。

大好きな作家の吉本ばななさんの新刊が出ると、すぐに読み切りたい気持ちとじっくり大切に読みたい気持ちが入り混じってしまいます。『ミトンとふびん』(新潮社)は、発売となったタイミングで旅行先に持って行くことができて、ひとり時間の中でじっくり味わいながら読むことができた本で印象に残っています。

ノートは、海外にひとり旅に行く際に、日々感じたことを残したいと思い、旅日記のような気持ちでつけ始めました。

ただ、とってもズボラなので、旅の前半は張り切って書くけれど、中盤はほとんど記録がなく、終盤になって一気に旅で感じたことをまとめて書く……なんてことも。

でも読み返すと、旅の1日の終わりにじっくり感じたことを書き留めておくのは、そのときの気持ちに触れることができて、やっぱりいいなと感じます」

 


04:スタッフ津田
「ノートには、思いつきであれこれと」


スタッフ津田:
「ひとり旅のおともは、文庫本とメモ帳代わりのノートです。

本は思い入れのあるものを持って行くというより、家にいつも積読本があるので、そこから気が向いたものを手に取っていきます。

もしも今旅に出るなら、トマス・ピンチョンの本を持っていきたいです。今年個人的にヒットだった映画『リコリス・ピザ』の監督ポール・トーマス・アンダーソンが愛読している作家らしく、旅の移動中のようなグッと集中できる時に読み切りたいなと思っていて。

ノートには、旅行中の日記やお金の管理、海外だったら道順を尋ねるために筆談したり、飲みながら落書きをしたりと、思いつきであれこれ書いています。

きれいなノートにきれいにまとめようと考えると何も書けなくなる性格なので、近くのコンビニや売店で手に入るノートを選んで、一回の旅で一冊をとことん使い切る感じです」

 


05:スタッフ原田
「わらしべ長者スタイルがおすすめです」


スタッフ原田:
「おとも、というより過ごし方の話になりますが、旅先の現地の人にお気に入りのお店を紹介してもらって、そのお店をメモしています。

いろんな場所をひとりで巡るにつれて、webにも情報が載っていないような、地域の人のみぞ知る名店みたいなものを発掘したくなったんです。

でも、いきなり現地の方に話しかけるのは勇気がいるので、まずはホテルの人におすすめのお店を紹介してもらいます。

その後、紹介してもらったお店の店員さんにもおすすめを教えてもらい、さらにそのあと訪れた店で地元の人におすすめを聞いてみる、というわらしべ長者スタイルで聞いて行くのが、ハードル低く挑みやすいと気づきました。

自分だけではたどり着けないお店も、地元の人の力を借りれば行くことができるので、僕なりのひとり旅のおすすめの過ごし方です(笑)」

***

スタッフそれぞれの旅のおともの話を聞いていると、とても楽しそうに思い出を語ってくれたのが印象的でした。

本があるだけで旅の移動時間がずっと豊かになること、旅で感じたことを残したノートやメモ帳が旅の細部まで彩ってくれること。

もしひとり旅に出かける機会が訪れたら、私も、私だけのお気に入りを見つけて持って行きたいなと思いました。

 

ひとり旅の気分に、もっと浸るなら

「ひとり旅」をテーマに、昨年冬に公開した当店オリジナルドラマ『スーツケース・ジャーニー』。

お気に入りの雑貨やぬいぐるみ、暗記するほど読んできた小説の一節に背中を押されたり、励まされたりしながら、ひとりでの時間をじっくりと楽しむ主人公・栞(しおり)の姿を追っていきます。

『スーツケース・ジャーニー』は、YouTubeの「北欧、暮らしの道具店」公式チャンネルにて公開中です。

ひとり旅への気持ちを高めてくれるようなショートストーリーとなっていますので、お気軽にご覧いただければ嬉しいです。

 

前編はこちらから

後編はこちらから

【作品情報】

出演:在原みゆ紀、草村礼子、鳥谷宏之
監督:大釜友美
脚本:土門蘭・大釜友美
撮影:三代史子
音楽:世武裕子
エグゼクティブプロデューサー:佐藤友子
企画:株式会社クラシコム
製作:KURASHI&Trips PUBLISHING

(おわり)

【写真】木村文平(アイテム写真)

 


もくじ

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