【連載エッセー『たゆたゆ – くまがや日記』】第一回:ことばのバトン
山本 ふみこ
はじめまして、山本ふみこです。
3年前、クラシコムの「20時のおつかれさま」に書いたエッセーを読んでくださった方もあるかもしれませんが、「はじめまして」と申し上げたいのです。
3年前のあなた、3年前のわたしは、そうとう異なるあなたであり、わたしであると思うからです。あなたとわたしの間に通うものもまた、変化しているのではないでしょうか、ね。
それでは、「たゆたゆ – くまがや日記」のはじまり、はじまり。
まず、「たゆたゆ」ということばについて聞いていただかなくてはなりません。
ことしの夏、友人のユーコチャンからおたよりが届きました。そのなかにこんな一節があったのです。
「もっと大きな感じで、たゆたゆとできたら……」
「たゆたゆ」ということばに惹きつけられました。
自分で書いたことも、口にしたこともないことばです。
すぐにわたしは、「ユーコチャン、ユーコチャン、『たゆたゆ』ってどういうことば?」と
「
こんどは「お母さん語」というのに、くらっとしましたが、それはひとまず置いておくとして……、「たゆたゆ」。
北海道札幌市で「公認心理師」として忙しい日日を過ごすユーコチャンは、近年どんどん役割が細分化されて、他者の領域を侵さぬようにそれぞれの仕事が専門化されてゆき、キチキチしてきている、と云います。
「もっと大きな感じで、たゆたゆとできたら、お互いに信頼が増し、もっと可能性もひろがる……気がするのですが」
そうかあ、どんな仕事も同じようなところがあるなあ、と思って、クラシコムのマリエサンに「たゆたゆ」のはなしをしたのです。
そうしたら、この項に「たゆたゆ」という名前をつけて、ことばの意味もあったかくひろげてゆきましょう、と云うではありませんか。
ユーコチャンからふみこ、ふみこからマリエサンへのことばのバトンです。
あなたにもこのバトン、お渡しします。
たゆたゆとゆくとしましょうよ、わたしたち。
文/山本ふみこ
1958年北海道小樽市生まれ。随筆家。ふみ虫舎エッセイ講座主宰。東京で半世紀暮らし、2021年5月、埼玉県熊谷市に移住。暮らしにまつわるあらゆることを多方面から「おもしろがり」、独自の視点で日常を照らし出す。最新刊『あさってより先は、見ない。』(清流出版)、ほか著書多数。
http://fumimushi.cocolog-nifty.com/
https://www.fumimushi.com/うんたったラジオ/
写真/丸尾和穂
岡山県生まれ。シグマラボ、代官山スタジオ勤務を経て2010年独立。インスタグラムは @kazuho_maruo
https://067.jp
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