【連載】あの人の暮らしにある「北欧」のこと。no.16:手仕事のミトンとかご

ライター 藤沢あかり


冷たい風が吹き始めたら、そろそろミトンの出番です。

編み目がぎゅっと詰まった毛糸のミトンはふっくらあたたか。自然いっぱいの風景を編み込んだような模様をしています。

もう何年も一緒に過ごしてきた、冬の相棒。ラトビアで毎年開かれる、森の民芸市で選んだものです。

手編みだから、色も模様も大きさもいろいろ。店主とつたない言葉でやりとりをして、ときにはジェスチャーも交えながら、夫婦それぞれ自分にぴったりのたったひとつを見つけました。


家のあちこちで使っている柳のバスケットも、同じようにしてラトビアからやってきました。

持ち手がついたもの、蓋つきのもの、浅いもの、うんと大きいもの。ラトビアの伝統的な編み模様が入っているものもあります。

そこにカトラリーを入れたり、愛猫のおもちゃを入れたり。大きなバスケットには、地元の市場で買った泥つき野菜だって放り込めます。汚れたってだいじょうぶ。柳のかごは水に強いので、泥やほこりもじゃぶじゃぶ丸洗いして、あとはおひさまに当てればいいのです。


ミトンやバスケットだけではありません。織物やリネン、アクセサリー。

あったかいな、便利だな、かわいいな。そんなふうに思うたび、作ってくれたひとの顔や人柄が浮かびます。

ラトビアで出会った職人たちはみな、ちょっぴりシャイで言葉も多くはありません。けれども実直で、自分の仕事とつくるものを愛し、誇りをもっています。何度も行き来し、コミュニケーションを重ねるにつれ、すこしずつわかってきたことです。

国や言葉が違っても、遠く離れていても、わかりあえることがあります。大切にしたい感覚が近ければ、こころも近くにいられます。北欧で見つけた手仕事の雑貨が教えてくれました。




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Text : Akari Fujisawa
Photo: Ayumi Yamamoto


五十嵐 綾

鎌倉にある雑貨店moln(モルン)の店主。洋服、陶器、紙雑貨などを、アンティークから作家さんの作品まで幅広く取り扱う。作家さんによる展示会、月1〜2回ほど音楽と本のイベント「貸切り図書館」、ワークショップなども開催している。

HP: http://moln.jp
X(Twitter): @CLOUD_BLDG_moln
Instagram: @ayamoln


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