【ショートヘアに変えたら】第3話:子育ても、おしゃれも。100点を目指さなくていいんじゃない?

編集スタッフ 二本柳

1609_shorthair_049写真 平本泰淳

すっかり定着していたワンレンボブのイメージから、45歳の時にがらりとショートヘアへ大変身。思い切ったヘアチェンジが印象的だった、雑貨店「hal」店主・後藤由紀子さんのもとを、同じくショートヘアの店長佐藤が訪れています。

1話2話ではショートヘアにした経緯や、それにともなって変化したおしゃれのことをお聞きしました。

第3話は、ずっと以前から後藤さんのことを見つづけていたという佐藤が、気になっていたあれこれを直接たずねてみることにします。

 

本当に後藤さんに聞きたかったのは、髪型のことだけじゃなかった。

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後藤さんは、現在大学生の長男と高校生の長女、2人のお母さんです。

手の離せない幼児期も、戸惑いだらけの反抗期も、一通りの子育てを乗り越えて今を迎えていました。

そして、その姿から勇気をもらっていたのが、息子(5歳)の育児真っ最中にある店長・佐藤。

だから佐藤が本当に会って聞きたかったのは、髪型のことだけではありませんでした。

いくつになっても変化を楽しんでいて、しかも一方では2人の子供を育て上げた、憧れの女性。どうしたら、そんなふうになれるの?私も素敵なお母さんでいられる?

色んな疑問を胸に、後藤さんのひとりのファンとして、佐藤が話を伺いました。

 

スマートなんて程遠い。髪を振り乱していた育児奮闘期。

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私が後藤さんのことを知ったのは、今から10年以上前なんです。雑誌『ナチュリラ』で表紙を飾っていらしたり、また一方で私たちと同じように雑貨店を営んでいらしたり。「北欧、暮らしの道具店」を始めた頃から親近感をもって見ていました。おしゃれはもちろん、なんて柔らかいオーラをまとった素敵なお母さんなんだろうと。

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ありがとうございます!なんだか恥ずかしいです……。

でも、現実はそんなに素敵でもなかったんですよ。うちは長男と長女が1歳8か月しか違わないから双子みたいで、ひとりが泣いたら、もうひとりが泣く、みたいな。着替えはできないし、せっかく作ったおにぎりも投げちゃう。私は立ちながらご飯を食べることもありました。「ああ、みんなみたいにスマートにできないんだわ」って思ってました。

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後藤さんもそんな時期が……。私も息子が赤ちゃんだった頃、自分の食事はキッチンでかき込む、みたいな日もありました。

そういう大変な時期をどうやって切り抜けてましたか?

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ちょっと先に自分へのご褒美を用意しておいて、それに向かって頑張ってた感じですねえ。

たとえば育児中は買い物に行く時間がなかったので、通販をして、商品が届くのを待ちわびたり。外食できないかわりに家にお友達を呼んだり。そうしてチャージが満タンになったら、明日も頑張ろう!という気持ちになります。

でも、赤ちゃんの頃も反抗期も、もちろん大変だったけど、あの頃に「やりきった」と思えていることは良かったかなと感じているんです。

 

あの時「やりきった」から、今がすごく楽しい。

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私ね、育児に関しては、べったべたにやってきたんです。長男ですら小学6年生まで抱っこしていたくらい。

PTAも部活の送り迎えも、毎日のお弁当も、あの頃にすごく「やり切った」と思っているんです。

子供の友達からは、「あなたのママはいつも泣いてるか笑ってるかだね」なんて言われてたみたい(笑)幼稚園のお遊戯会も運動会も、おいおい泣いてたし、部活の応援なんかはボール拾いをする姿を見るだけでボロボロ涙流してましたから……。

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へえ〜!それじゃあ、息子さんが東京に行っちゃったときは寂しかったんじゃないですか?

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それが、そうでもなくて。心にぽっかり穴が開いちゃう、とかも無かったんですよ。応援はするけど、あなたがやることだから頑張りなさい、って案外さっぱりです。

それよりも、今がすごく楽しいです。自分の時間ができて。

これまでは、一日中ずっと、自分というより家族の頭で考えている感じでした。あの人なにを食べたいかな?とか、シーツを洗ってあげたら気持ちいいだろうな、とか。それは今も変わらないけど、それぞれに自分のことができるようになって「ありがとう」という気持ちです。夕飯を食べたあとに時間があるのが今でも驚きで。

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そのお話、すごく励みになります。

今の私は22時以降しか自分の時間がないんです。子供が21時半に寝てくれても、その後にお皿洗いをして、保育園の準備をして、部屋を片付けて……とかしているとあっというまに時間が過ぎちゃう。

でも必ず寝る前に1日の頭をからっぽにしたいから、海外ドラマを観るのが習慣なんです。海外ドラマって30〜40分で1つのパッケージになってるから丁度いいんですね。

この時間だけは死守してるって感じ(笑)寝かしつけをしながら寝落ちしないように、ひたすら頑張ってます。

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わかります。寝落ちしちゃうんですよね。でもそこで寝ちゃったら何もできないし。

それにしても佐藤さんは夜型なんですね。

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はい。でも実は、この夜型生活もいつまで続けられるんだろう……って不安があります。

今は息子も保育園だから自分のペースでできているけど、4月になったら小学校にあがるんです。そうしたら学校行事とか、お母さんとの交流も今より増えると思うし、時間の使い方はかなり変わるのではないかと思っていて。

正直、すごく不安です。未知の世界だから。

 

全部100点をとろうとしなくたっていいんじゃない?

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わかった!佐藤さん、優等生タイプだったでしょう?

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え、そう見えますか?そうなのかなあ……。

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私はね、子供の頃から「そこ、ちゃんと歌って」とか注意されちゃう人間なんですよ。

「できるが当たり前」じゃなくて「できないが当たり前」なの。

子育ても「やりきった」と言ったけど、別に子供が特別優秀というわけではないのです。そこそこかな。

佐藤さんも言うように「わからない」って不安だらけ。でも100点をとろうとしなくてもいいじゃない?

そう割り切っちゃうのはどうですか?

 

「大丈夫」と背中をポンと叩いてもらったような気がしました。

この日、後藤さんと別れて沼津を後にした佐藤。新幹線のなかで、この時間を振り返った思いをinstagramに投稿していました。

「沼津でみた海、美しかったです。今日取材をさせていただいた方も本当にチャーミングで素敵な方でした。いつまでもお話していたい気分でした。

人生の少し先を歩く方から「大丈夫」と背中をポンと叩いてもらったような、自分は自分の決めた道のりの中で「やりきった」と思えるように一歩ずつ進んでいこうと励ましてもらったような、そんな気持ちを抱きながら帰りの新幹線に乗り込んだのでした」

 

いくつになっても素敵な理由。

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どうして後藤さんは、いくつになっても目が離せないんだろう?

優しい笑顔の “お母さん” だと思っていたら、子育てを終えて、気づけばショートヘアに大変身していたり。45歳になって新しいおしゃれを開拓したり。

変化しつづける女性って、目が離せない。でも「自分を変える」って億劫じゃない?どうしてそれができるの?

そんなことを聞きたくて、私たちは沼津まで会いに行きました。

でも後藤さんにお会いして分かったのは、たぶん髪を切ったことにそんな大きな理由はなかったということ。

理由はわからないけど、変えてみたい。

お母さん業も一段落、という時期にさしかかった後藤さんの心境は、そのくらいシンプルなものだったと思うのです。

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「できないが当たり前」という後藤さん。

すべて100点をとろうなんて端から思ってないから、変わることに大仰な理由なんて必要なかった。

どうして?なんで?
すべての行動に「理由」を求めたくなるのは、失敗しない安全な道を通りたいという気持ちの表れだったかもしれません。

でも、ときには後藤さんのような “そこそこ” 精神で、まず先に動いちゃう。

そうすると思いがけず新しい趣味が見つかったり、新しい仕事がフィットしたり、そして予想外にショートヘアが似合ったりすることも。

100点を求めずに、新しいことを楽しんでみたい。

後藤さんと会った帰り道、私たちはちょっぴりフットワークが軽くなったような気持ちになりました。

(おわり)


もくじ

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後藤由紀子(ごとう ゆきこ)

沼津の器と雑貨のお店「hal」店主。現在は庭師のご主人と、高校生の長女の3人暮らし。大学生の長男は東京で一人暮らしをしている。センスの良いファッションや、ていねいな暮らしぶりが人気を集めている。著書に『毎日続くお母さん仕事』(SBクリエイティブ)、『毎日のことだから。7分目くらいがちょうどいい』(PHP研究所)など。http://hal2003.net/

▽後藤由紀子さんの著書はこちら。


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