【家と仕事ともうひとつ】vol.4:頭の中のメモリを解放する時間。エンジニア佐々木編
ライター 片田理恵
「家」と「仕事」と同じように大切で、けれどそのどちらとも違う、あなたにとっての「もうひとつ」を教えてください。そうお願いをして、クラシコムスタッフの皆さんとおしゃべりをさせてもらうことになりました。集まって座談会をするのではなく、おひとりずつと、じっくりと。
今回ご一緒するのは、テクノロジーグループの佐々木さん。初の男性スタッフ登場です。クラシコム入社は3年目。音楽が趣味で、忘年会でラップを披露したこともあるそう。今年の3月以降、リモートワークが主流になってから徐々にヒゲが長くなり、顎と口元が完全に隠れるスタイルが定着しました。スタッフには概ね好評だったものの、つい最近、思い立って短くカット。マスク+長いヒゲはかなり暑かったようです。
前回登場してくれた石井さんからの推薦理由は「趣味もファッションも、一見するととんがっていそうなのに、人当たりがよくてやわらかい印象。うまく息抜きできていそうだから」。確かに、その息抜きが「もうひとつ」である可能性は大いにありそう。
インタビューは今回もオンラインで実施しました。佐々木さんが用意してくれた答えは「無意識」。具体的には、家の掃除、皿洗い、散歩、乗り物移動の時間などがそれに当たるといいます。
“
掃除や皿洗いをする時には、何かしら音楽をかけるんです。ラジオもよく聴くんですけど、たとえばその時にたまたま流れた、普段自分からは聴かないような曲に感動することってあるじゃないですか。僕にとってはそういう、目や耳に入ってくる音や映像をただただ頭の中でスルーさせている時間が「もうひとつ」かなと思います。
情報であれアイデアであれ、普段は自分から求めていくことが多いんですよね。いつも意識的に探しているというか。だから頭を空っぽにして手だけを動かしている皿洗いの状況ってすごく新鮮なんです。無意識だからこそ受け取れる感覚の中に新しい出会いがあって、それまで知らなかったものを知ることができる。
頭の中のメモリ解放にもつながっているかもしれません。考えてため込んで、動作が重くなっている状態をすっきりさせる役割も果たしているような気がする。
乗り物移動や散歩をしている時も、無意識に眺めている景色の中に、ふと一瞬ハッと感じるものがあるんですよ。近々家を建てることもあって、最近はどこを散歩していても、家の造りばっかり見てました(笑)。ああ、こういう感じの屋根もいいなぁとか、この壁の色はおしゃれだなとか。カタログを見ているだけではわからなかった発見があるから楽しいんです。
”
今は家を建てることで頭がいっぱいだから、そうでない状況だったら違うことを答えていたかもしれない。インタビューの後半に、佐々木さんがふと口にしたこと。ああ、それは真理だなぁと思いました。
「もうひとつ」って、その時々で変わるものなのかもしれません。環境によって、状況によって、体によって、心によって。映し鏡のように、自分にだけ、今この瞬間の自分が見える。
家と、仕事と、もうひとつ。次回は佐々木さんの推薦で、また別なスタッフさんとのおしゃべりをお届けします。
Photo:岩田貴樹
ライター 片田理恵
編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things.」「天然生活」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。
エンジニア 佐々木
クラシコムに入社して4年目。35歳。着うたの運営からエンジニアに転身して、10年弱が経過。北欧、暮らしの道具店を裏側から支える。最近ではPorta Proという30年以上愛され続けているヘッドホンを購入し、音楽の魅力を再確認。
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