【スタイリストの部屋づくり】3話:どうして素敵なの?インテリアを決めるときのコツ

編集スタッフ 二本柳

窓からのぞくギンギラ太陽。梅雨があけると一気に夏ですね。

今年の夏も暑くなりそうですから、家の中でのんびり過ごす準備をしませんか。

夏の部屋は風が通るだけでこんなに気持ちがいいのですから。

今回、これからの家ごもりに備えてお部屋をすてきに整えるべく、全4話にわたってインテリアスタイリストの洲脇佑美さんの部屋づくりをのぞかせてもらうことにしました。

1〜2話目はこちらから

 

「インテリアは一生、終わらないんだと思う」と話す洲脇さん。取材した日の数日前も、ソファとダイニングテーブルをまるごと配置替えしたばかり。暇さえあればこうして模様替えをしているのだとか。

仕事でスタイリングするときも、プライベートでお部屋をととのえるときも、洲脇さんが必ず欠かさないのが「引いて見る」ことだと言います。

「とくに入口から入ったときの景色は大切にしています。ちょっと変えては入口に立って、家具とか物のバランスがどうかな?と配置を決めて。

家に帰ってきたときに『いい感じ』と思えると、やっぱり気分が上がりますよね」

そんな「いい感じ」にインテリアをととのえるコツを、スタイリストならではの視点で教えていただきました。

 

洲脇さんの好きなインテリアは、モノが多くても凛とした空気が流れるような、すっきりした空間。

実はこれにもちょっとしたポイントがあるそう。

「一番は、“素材をかためる” ことをおすすめします。ガラスはガラスで、陶器は陶器で……といった具合に。

とくにガラスって重なりあったところがまた綺麗なんです。ひとつをポツンと置くよりも、いくつかまとめて並べてあげると素敵ですよ」

見るとキッチンの棚にある調味料入れも、すべてガラスの容器に統一。

中身はバラバラでもガラス容器が一箇所にかたまるだけで、キッチン棚がまるでディスプレイのよう。

キッチンツールはステンレス、木工品と素材ごとに分けることで美しく収納。

もともと花器で売られているものやグラス、空き瓶など、あらゆるガラス容器をこうした収納用途や、細々したアロマなどものをまとめておく役割などに多用しているそう。

ちなみに引き出しを開けると、整然と並ぶカトラリー。その入れ物はなんとパウンドケーキ型です。

「パウンドケーキ型、サイズもぴったりだったんです。こうしてきっちり並ぶとかわいいんですよね」

ナイフの先にはコルクを刺してキャップがわりに。

用途にしばられない柔軟なアイデアも洲脇さんならではです。

 

洲脇さんが暮らす部屋には、もとからこの大きな飾り棚がついていました。

「これを見たとき、うわぁ挑まれてる!って思いましたよ(笑)」

こうして作り付けの飾り棚がなくても、ちょっとしたコーナーでさえ「飾る」ってとても難しい。実用ではないからこそ、純粋にセンスを問われるような緊張感があります。

「飾るときのポイントは、やっぱりリズムですよね。

そのときに活用したいのが、絵や写真。あるいは装丁が気に入った本など。

ドンと大きなものを先に置いてしまって、左右にモノを配置していく……そうすると空間にリズムが生まれるんですね。難しく考えなくてもバランスが取りやすいんですよ」

「締め色として “黒” を取り入れるのも意識しているポイントです。

たくさんは使わなくても、要所要所に黒のアイテムをさしこむと、空間がシャキッとしてきます」

絵や写真を飾ること自体にハードルを感じたら、色をモノクロにするのもおすすめだとか。

思い出の写真をモノクロで印刷して額装したり、ポストカードをフレームに入れて飾るのも良いかもしれません。

装丁がすてきな洋書は、インテリア雑貨として購入することも。

「洋書は無造作に積んでもサマになるので、ひとつのオブジェとして捉えてもいいと思いますよ。かっこいいデザインがたくさんあるので、好みの一冊を見つけるのも楽しいはず」

 

洲脇さんは、お買い物をするときにあまり長く悩みません。しかも失敗も少なく、モノはあまり手放さないとか。

いいな、と思ったものは不思議なくらいに家の雰囲気にフィットするそうですが、その選び方はなにかコツがあるのでしょうか。

「なによりも “カタチ” が美しいかどうかを見ています。

値段や作家、ブランドには関係なく 『きれいなフォルムだな』 って思うものが手元に集まってきました」

「仕事柄リサーチのために色々なお店へ足を運びますが、よくお買い物するのはアーツ&サイエンスの『OVER THE COUNTER』や『FORSLAG DESIGN』、春に新しくサロンとして生まれ変わった『salon QUICO』などのセレクトショップ。とても大切にしてるダイニングテーブルは『haluta』で買いました」

次回は来週。いつもの食卓をちょっと非日常にたのしむ「食卓コーディネート」をお届けします。

【写真】上原未嗣


もくじ


洲脇佑美

大阪芸術大学空間デザインコース卒業。インテリアショップの店長を務め、その後インテリアスタイリストのアシスタントを経て、現在はフリーのスタイリストとして雑誌・カタログ・広告等を手掛ける。
http://www.suwakiyumi.com/


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