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【50代のひとり旅】前編:ふと、仕事以外の楽しみを見つけたくなって。foodmoodなかしましほさんの「韓国ひとり旅」のこと

【50代のひとり旅】前編:ふと、仕事以外の楽しみを見つけたくなって。foodmoodなかしましほさんの「韓国ひとり旅」のこと

ライター 長谷川未緒

50代に入り、周りを見回すとひとり旅を楽しんでいる友人が増えたように感じています。忙しい世代でもあり、友人と予定を合わせるのは大変だったり、子育てが落ち着いたりといったライフステージの変化もあるのかもしれません。

楽しい旅の様子を聞くにつけ、ひとり旅良いなぁ、と思うものの、行き先について調べたり、行程を決めたりするのはちょっと面倒……。

そんなふうに思っていたとき、料理研究家のなかしましほさんがサクっと気軽にひとり旅を楽しんでいると聞きました。

そこで、ひとり旅をはじめたきっかけや現地での過ごし方などを伺いに、なかしまさんが鎌倉で営むおやつと雑貨のお店「あまいみせ ミニ」を訪ねました。


きっかけは韓国の文化に興味を持ったことでした

なかしまさんがひとり旅をするようになったのは、店主を務める「ごはんのようなおやつの店 foodmood(フードムード)」が軌道に乗り、レシピ本をはじめ個人の活動も忙しいときでした。

なかしまさん:
「仕事はすごく好きで、好きなことをしているからがんばれると思っていたんです。けれど、これが終わったらあれをやって、とお休みも取れない状況がずっと続いたときに、ふと仕事以外の自分の楽しみが全然ないな、と。

納得してはいましたが、自分のために使う時間がないことが、ちょっとしんどくなっていたのも事実でした」

なかしまさん:
「そんなときに、たまたま韓国の映画やドラマに夢中だった義母がDVDを貸してくれたんです。

韓国の作品って、ごはんを食べるシーンがすごく多いんですよね。食べるときの音も含めておいしそうで、ストーリーも含め、とても引き込まれました。それに、DVDを見ている時間だけは仕事のことを考えずに済むことにも気がついて……。

ドラマから始まり、カルチャーにも興味が出てきて、K-POPも好きになって、どんどん韓国に行ってみたいという気持ちが大きくなっていきました」 


じつは、もともとは飛行機が苦手で……

最初は韓国通のスタッフと行き、3回目くらいからはひとりで行くように。2017年くらいからだと言います。

なかしまさん:
「その頃、著書が台湾や韓国で翻訳出版されたこともあり、料理教室をしたりといった仕事も含めると、毎月のようにアジア旅行をしていましたね。

とりわけ韓国にハマったのは、やはりK-POPの影響が大きかったです。大好きなアイドルやミュージシャンのコンサートに次々と出かけていました。コンサートに行くために、滞在24時間未満なんていうこともあったくらいです(笑)」

もともと海外旅行がお好きだったのかなと聞いてみると、じつは、30代は飛行機が苦手だった時期もあったそう。

なかしまさん:
「仕事の忙しさからかパニック症候群のようになってしまい、狭いところにいることが辛くなってしまったんです。

本当はヨーロッパ旅行などもしたかったけれど、20代後半から30代前半くらいのあいだは、飛行機は無理だな、と諦めるような状況が続いていました。

症状も少しずつ安定し、そろそろ飛行機に乗ってどこかに行きたいと思い立ち、病院で軽い安定剤を処方してもらいました。

先生には『お守りとして持っていけばいいから。飲んでもいいし飲まなくてもいいよ』と。その言葉に安心して、薬を飲まずに飛行機に乗ることができました」

あとは通路側の座席を選ぶようにしたり。自分なりに楽になる方法を探し、少しずつ成功体験を積んで飛行機に乗れるように。

そして40代になり、仕事でアジアの国々を訪れる機会にも恵まれ、海外ひとり旅を楽しめるようになったのでした。

 

ひとり旅はさみしい?と聞かれるけれど

飛行機が苦手な30代を経て、40代でスタートした毎月のひとり旅。人目が気になるとか、さみしいといったことは、なかったのでしょうか。

なかしまさん:
「初めてひとりでアイドルのコンサートに行ったときは人目が気になりましたけれど、経験を重ねるうちに全く気にならなくなりました。

また、K-POPのオタ活を通じてひとり旅仲間も増えて、現地でコンサートのあと集合してお茶を飲んだり、ごはんを食べたり。なのでさみしいということもなく、現地集合、現地解散で、すごく気楽でした」

一体どうしたら、そんな仲間ができるのでしょう?

なかしまさん:
「K-POPの情報を収集するためにSNSをはじめたんです。当時、周りにK-POPが好きだと話していなかったですし、オタ活をしている知人・友人もいなかったので、オンライン上とはいえ仲間が見つかって、すごくうれしかったんですね。

私もみんなも匿名だけれど、ちょっと韓国で食べたものなども投稿するうちに、だんだんと趣味が合いそうな人たちとやりとりが深まっていき、『じゃあ今度、コンサートの後に会いましょうか』となりました」

なかしまさん:
「最初はすごくどきどきして、『こういう格好をしています』とか『バッグは何色です』とか伝えながら、『もしかしてほにゃららさんですか』なんて、オタ活のアカウント名をお互いに言い合って。

スタッフからは『知らない人たちと会って大丈夫ですか』と心配されたこともありましたけれど、年代も職業もバラバラで、K-POPを好きにならなかったら出会わなかった人たちと出会えたことは、ほんとうによかったです。自分にとってものすごく大きな刺激になりました」


40代、50代はひとり旅適齢期

なかしまさん:
「最近、ひとり旅のことを聞かれる機会が増えて、自分でもどうして40代以降ひとり旅がすごく好きになったのか考えてみたんですけれど、やっぱり年齢的な変化もあるのかな、と。

当時は気づいてなかったんですけれど、今思うと更年期的なものも大きかったと思います。体調や気持ちの波があったりして、約束しても前日に体調が悪くなったり、気持ちがなんだか沈んで行く気になれなかったり。

たとえばコンサートも、約束してしまって急に行けなくなったら迷惑をかけてしまうから、“会えたら会う”くらいのゆるいつながりが気楽です。

ちょうどこのひとり旅の期間と更年期的な期間は、重なってるのかなと思います」

確かに、若い頃より気力や体力の波がある更年期は、みんなに合わせて無理をするより、自分のペースでいられたほうがラク。しかも共通の好きでつながったひとり旅が得意な仲間同士、現地集合現地解散なんて、なお良し!です。


大成功じゃなくてもひとり旅は楽しい

なかしまさん:
「韓国に行きはじめた当初は、ひとり客だと断られるお店もありましたし、タクシーの運転手さんに、『どうして家族と来ないの?』と聞かれたこともありました。

韓国では、ドラマでもよく見ますが、ごはんはみんなで食べるものという価値観があるように思います。最近はだいぶ変わってきて、ひとりで食べられるお店も増えてきました。

ひとり旅はそんなふうに、ままならないことがあったり、今だに緊張することがあったりします。でも、全部が全部、大成功じゃなくても、やっぱり楽しいことのほうが多いと思います」

続く後編では、ひとり旅での食事事情や、好きな韓国旅のプランなども詳しく伺います。

(つづく)

【写真】土田凌



もくじ

なかしま しほ

料理家、からだにやさしい素材で作るお菓子工房「foodmood(フードムード)」、おやつと雑貨の店「あまいみせ ミニ」店主。書籍、雑誌でのレシピ提案、ワークショップ、イベントのほか、映画、ドラマなどのフードコーディネートも手掛ける。映画や音楽などのカルチャーをきっかけに韓国に興味を持ち、たびたび訪れてはおいしい店を探し求めている。韓国在住の友人も多く、個人経営の知られざる名店に詳しい。

Instagram: @nakashimashiho519
Instagram: @foodmoodshop
Instagram: @mini_kamakura

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