【夏の夕涼みアイデア】後編:一日の終わりにクールダウンして、明日を気持ちよく迎える習慣

編集スタッフ 寿山

お盆を迎えましたが、まだまだ暑い日がつづいています。外に出かけた日は暑さで頭がボーッとしたり、体にこもった熱がいつまでも引かずに不快感をおぼえたり。クールダウンしようと冷たいものを飲みすぎて食欲が衰えたり。体調管理が難しいことも増えてきました。

そこで今回は、アーユルヴェーダのセラピスト、ヨーガ講師として活躍する林亜希(はやし あき)さんに、一日の終わりに体にこもった熱をやわらげる「夕涼みのアイデア」を教わります。

前編では、ミントとローズの香りに包まれながら、体の熱を冷ますセルフケア術をお届けしました。後編では、火照った体をクールダウンする呼吸法と、気持ちよく明日を迎えるための瞑想法をご紹介します。

前編をよむ

 

1分で体の熱をやわらげる、呼吸法

林さん:
「今日お伝えするのは『シータリー』といって、冷たい空気を体に取り込んでクールダウンする簡単なヨガの呼吸法。一日の終わりに火照った体の熱を冷ましてくれます。私のようにあぐらをかいてもやるのもいいですし、椅子に座ったままでも大丈夫です。

まずは舌を丸めて息を吸い込み、しばらく息を止めます。吸いこんだ冷気が体の熱くなっているところに行き渡るのをイメージして。そして鼻から熱風を吹き出すように、大きく息を吐きます」

林さん:
「これを3〜4回繰り返すだけで気持ちが落ち着き、体の熱が冷めていきます。慣れてきたら10回くらいやってみると、だいぶクールダウンできますよ。

もし舌を丸めるのが難しく感じる方は、歯と歯の間から冷気を吸い込み、鼻から吐き出すやり方でもOKです」

林さん:
「アーユルヴェーダでは、10〜14時が熱(火=PITTAのエネルギー)が増えやすい時間帯と言われているので、夕方だけでなく、たとえばランチタイムの前後にやってみるのもおすすめです。

喉の渇きやイライラもやわらげると言われているので、時間帯にとらわれすぎず、家事や仕事の合間などで気軽に試してみていただけたらうれしいです」

 

暑さでぐったりしたあと、一日を心地よく終える習慣

林さん:
「暑さでぐったりした日は、せめて心地よく一日を終えたいですよね。体に熱がこもるとイライラしてしまうこともあるので、暑さ疲れをリセットするために、寝る前に瞑想してみてはいかがでしょうか。

今回ご紹介するのは、イメージ瞑想という手法。日常から離れて、記憶にある美しい景色を思い出しながら瞑想することで、マイナスの気持ちをリセットして、一日を心地よく終える準備をしましょう」

林さん:
「横になって目を閉じて。たとえば海辺で寄せては返す波に足をつけて、砂や風を感じているイメージだったり。森のなかで深く呼吸をしながら自然とのつながりを感じている瞬間だったり。

気持ちがいいなぁ、リラックスできるなぁと感じる環境に身を置いているところをイメージします」

林さん:
「寝る前にその日の反省をしてしまうという方も多いですが、瞑想中は、あえてうれしかったことに意識を向けてみましょう。

 

今日あったいいこと

言われて、うれしかったこと

言えて、うれしかったことを

1つでも思い出してみる。

「〇〇がうれしかった」と、

言葉に出して言ってみる。

 

そうやって今の自分を否定せず、いったん受け入れることで、気持ちよく1日を終えることができて、いい状態で明日を迎えられるようになりますよ」

 

初心者でもうまく瞑想できるコツはありますか?

瞑想するといっても、どうしたら上手くできるのでしょうか。初心者むけのコツやアイテムを伺いました。

林さん:
「まずは自分が心地いいな、ラクだなと感じる姿勢になってみてください。たとえばクッションをいくつか並べて、その上にゴロリと横になって。胸を開く、体を開くことで、おのずと気持ちも解放的になっていきます。

そして好きなアロマやお香を焚いたり、ライトを消してキャンドルを灯してみたり。心地よい音楽や美しい音色のベルを鳴らしてみたり。副交感神経を優位にする環境づくりをすることで、初心者の方でもスムーズに瞑想できるようになりますよ」

 

心にゆとりが欲しいときは

林さん:
「瞑想のいいところは、今の自分の状態に気がつくきっかけをくれることです。忙しなく日々を過ごしていると、だんだん暮らしの余白がなくなって、切羽詰まったような気持ちになることがありますよね。

そんなとき瞑想すると、余白を無くしていたのは自分だったんだと気がついたりします。スケジュールを詰め込みすぎていたのは、誰でもない私だったと。そう気持ちがリセットされることで、現実に大きな変化はなくても、不思議と少しだけ心にゆとりが生まれたりします」

林さん:
「私は最近、最後はどんな場所で暮らしたいか、ということを考えるようになりました。人生の折り返し地点を迎えて思うのは、人が生まれ持った力や魅力を発揮するために必要なのは、何かを付け足すことではないのかもしれないなと。それよりも、自分らしさを阻害しているものを手放すことの方が大事なんじゃないかと思うようになりました。

自分を縛っているのは、自分なんですよね。そうは言っても手放すのも解放するのも怖いし、簡単にはいかないけれど、ギュッと凝り固まった心を解くきっかけも、瞑想がもたらしてくれる気がしています」

本来の自分でいられるように、本来の自分らしさを取り戻せるように。

何かを足すのではなくて、手放してみる。

林さんのこれまでの人生が凝縮されたシンプルな言葉たちが、取材を終えたあと、夜の訪れとともに胸にじんわりと染み込んでくるのを感じました。

 

【写真】神ノ川智早

 

もくじ

 

 

林亜希さん

東京にある「atelier asha 211-Appartement Montparnasse 内」(@asha_aki)と、軽井沢にある元修道院「アネモネ院」(@anemonein_karuizawa)の2拠点にて、アーユルヴェーダセラピー、ヨーガプライベートレッスン、セラピスト養成講座などを開催している。https://atelierasha211.com/

 


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