金曜エッセイ『あ、それ忘れてました(汗)』
文筆家・大平一枝さんによる連載エッセイです。友だちの作り方、ケンカのあとの仲直り、子どもを叱るときの言葉、初めて体験することへのドキドキ……。大人になって「そういえば忘れてしまっていたな」と気づく、アレコレをテーマに綴ります。連載100回は、吉本ばななさんをお迎えしてお話しいただく記念回となりました。
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【最終話|金曜エッセイ】5年前の私と今と、きっと少し違っている
『お打ち合わせは、対面でもオンラインでも、ご都合の良いほうをお知らせください』と、メールで聞かれるようになって久しい。とくに初対面で仕事をする場合や、新しい企画の始まりの際に、編集...
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【金曜エッセイ】ずっと続けてきた年賀状、もうやめようかなと悶々としたけれど
だいぶ早いが年賀状じまいの話をしたいと思う。 私は家族の近況を綴った定形のオリジナル年賀状を毎年印刷しているが、「今回はもうやめようかな」といつも制作の12月頃、一度悶々とする。...
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【金曜エッセイ】なにもかもがうまくいかないときの禁句って?
ときおり「なにをやってもうまくいかない」と嘆く人がいる。あるいは「最近いいことがなくてさ」、「なんだか失敗続きなんだよねえ」などなど。 私もアンラッキーが重なると、つい口をついて...
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【金曜エッセイ】仕事で忙しいのに、どうやって趣味の時間を?
パソコンに向かうときの姿勢が良くないらしく、首や腕に不調があるので鍼治療を続けている。あちこちに通院し、ようやく相性のいい鍼灸師さんと出会って1年。 20代の彼は物静かな学究肌。...
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【金曜エッセイ】娘からの「ママ、ちゃんとお化粧して」
娘と近所の喫茶店に出かける直前、くぎをさされた。「ママ、ちゃんとお化粧して」 23歳の彼女は、思春期の頃からよくこう言ってくる。いわく、「一緒に歩く私が恥ずかしいから」「近所でも...
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【金曜エッセイ】母になったあの人と、私。
日曜日に編集者と、知り合いの料理家のイベントに行った。せっかくだからその前に映画を観ることになった。午前11時に渋谷のミニシアターで待ち合わせ。今ほど暑くなく、よく晴れた空とから...
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【金曜エッセイ】あることで、ひどく落ち込んでいたときに
数年前のある日、深夜まで机に向かう日々が三カ月ほど続いて迎えた朝のことだ。鏡を見たら、ぽっかりと一〇〇円玉大の脱毛症を見つけた。よくここまで気づかなかったものだと驚くほどの大きさ...
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【金曜エッセイ】ファミレスでの意外な出会いが……
せっぱつまった仕事で、猛烈に集中しなければならないときに利用するファミレスが近所にある。パソコンを使えるコンセント付きのひとり席には独特の雰囲気があり、みな真剣勝負。ノートを広げ...
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【金曜エッセイ】人付き合いは「のんびり待つ」の姿勢で
私の名字は、「おおだいら」と読む。友達に冗談混じりにこう呼ばれることがある。 「スーパーせっかちだいら」 あるいは「見切り発車部隊」。 自分のことながら、言い得て妙と笑ってしまう...
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【金曜エッセイ】旅の何がこんなにも愛おしいのか
2年半ぶりに実家に帰省できた。仕事を終え、最終電車まぢかの松本行き特急あずさに乗る。車窓の向こうの空がだんだん広くなる。青空もいいが、薄墨色の夜もいい。窓に映る蛍光灯や自分の顔を...
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【金曜エッセイ】近所の桜並木を眺めて「始まり」を思う
近所に桜並木がある。今は若々しい新緑が5月の空をさらに明るくしている。まだ越して半年余なので、桜の木がそばにある生活は毎日が発見の連続だ。 いちばん驚いたのは遡ること2月。窓から...
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【金曜エッセイ】歳を重ねたら自分を理解できると思っていたけれど
中学の頃、友達が「大平って、なにかに熱中してるとき、口がとんがるよね」とおかしそうに言った。全くそんな癖に気づいていなかった私は、「ええ?」と聞き返した。すると周囲の友達が口々に...
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【金曜エッセイ】愛してやまないあのテレビ番組
きっと多くの家庭がそうであるように、スマホの普及と反比例して我が家は全員テレビを見なくなった。とくに22歳の娘は1週間でトータル30分も見ていないのではないか。ところが人気ドラマ...
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【金曜エッセイ】我が家の漏水事件、修理が終わるまでの一ヶ月のこと
自宅が漏水した。保険や業者手配の関係で修繕までに1カ月かかった。その間、トイレやキッチンで水を使うたび、外の水道の元栓を開けに行った。朝晩の寒さがきつい日はとくに堪えた。また3階...
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【金曜エッセイ】自分で暮らすと気づく、家事の奥深さ
「ドライヤーを使ったら、これで髪の毛を掃除しておいてね」 口を酸っぱくして22歳の娘に言っている。吸着シートのついたフローリングワイパーは、すぐ手の届くところにかけてあり、替えのシ...
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【金曜エッセイ】引越しの朝、ドアに掛けられたいなり寿司
何度か書いてきたことだが、4カ月前にマンションを売却し、中古の戸建てに移り住んだ。 住み替えは自分で決めたことながら、引っ越しが迫るほどに寂しさがつのり参った。住まいを完全に手放...
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【金曜エッセイ】自家製ジャムや梅干し。瓶詰めには母の想いが詰まっている
マイホームを買った30代の頃から最近まで、空き瓶の定数を三つと決めていた。 それまで、三つ以上ないから困ったという経験が一度もなかったのでその数になった。 ほかにも、たとえば紙袋...
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【金曜エッセイ】思い出は、ガイドブックからこぼれたところに
フランスを旅したとき、有名な寺院やレストランより、パリの路地の名前もわからぬパブで、ジェムソンというどの店にもある大衆的なウイスキーを飲んだことをいちばん覚えているのはなぜだろう...
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【金曜エッセイ】あわてんぼうのソルトミル
初めて歩いた街の古道具屋で、白い陶製のソルトミルを買った。できれば岩塩用と胡椒用のふたつほしかったのだが、一つしかない。手に馴染むちょうどいいサイズである。胴体部分が陶器で、頭と...
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【金曜エッセイ】母のネックレスをほどきながら
自著に、すぼらな私は、アクセサリーケースにしまってあるネックレスがたいてい絡まっていて、出掛けに格闘するがほどけず、いつも「あーあ、なんて自分はだめなんだろう」と思いながら家を飛...