【眠るまえのショートストーリー】最終話_亜麻色からはじめる夜
2023年6月23日(金)
だれだって時には、なかなか眠れない夜があります。ホシさんにとって、今がまさにそんな夜でした。「まったく、どうしたんだろう」30回目の寝返りをうちながら、ホシさんはため息...
2023年6月23日(金)
だれだって時には、なかなか眠れない夜があります。ホシさんにとって、今がまさにそんな夜でした。「まったく、どうしたんだろう」30回目の寝返りをうちながら、ホシさんはため息...
2023年5月19日(金)
五月になりました。風は少しずつ湿り気を帯びてきて、夏が近づいたことを教えてくれます。街に引っ越してきたばかりのサキちゃんは、ママと一緒に庭に出ました。サキちゃんのポケッ...
2023年4月20日(木)
4月もおわりにさしかかると、最良の朝がやってきます。たとえるならばそれは、季節がくれる贈り物です。空はどこまでも透き通り、風は軽やか。日差しはキラキラとあたりを照らし、...
2023年3月24日(金)
目を覚ました瞬間に、「今日は、靴みがきにもってこいの日だわ」と、スミレさんは思いました。カーテンの隙間から、青々とした空がのぞいています。「日向ぼっこしながら靴をきれい...
2023年2月17日(金)
北国の小さな町を訪れたのは、2月も終わりのことでした。ホームも駅舎もどこもかも、ふかぶかと雪が積もっています。もう一枚重ね着をしてくればよかったな。そう思いながら改札を...
2023年1月6日(金)
5回目の目覚ましアラームが鳴りました。ヤスミさんは手を伸ばしてパッと止めると、ぶるぶるっと震え、再び布団のなかで丸くなりました。「今日も冷え込むわねえ」ヤスミさんは朝に...
2022年12月9日(金)
小包をあけたユキノさんは、驚いてしまいました。「ちょっと早いけど、メリークリスマス」のメッセージと一緒に入っていたのは、ニカッと笑ったトナカイがスパンコールとともに編み...
2022年11月11日(金)
ミチオさんが朝刊をひらくと、すみっこのほうにこんな見出しがありました。「今晩、しし座流星群がピークを迎えます」「そうそう、今晩だね」とミチオさんはつぶやいて、コートをと...
2022年10月21日(金)
アヤさんがポストをあけると、郵便が一通入っていました。封筒の裏を返すと、菫色のインクで書かれた懐かしい筆跡。「あら、ヒトミさんからだわ」ヒトミさんは、もう50年来の友人です。いそい...
2022年9月16日(金)
夕暮れの町を自転車で走っていたら、ふと、手書きの看板が目に入りました。「虫の音コンクール会場」そこは、きわめて小さな公民館でした。不思議に思って近づいていくと、「おつか...
2022年8月19日(金)
「お茶会にいらっしゃいよ」と、エリコさんから電話がきました。木の実がコロコロと転がるような声で、エリコさんが誘います。「都会は、ずいぶんと暑いのでしょう。こちらは、すず...
2022年7月8日(金)
オオカワさんは、ちょっと変わった花屋さんです。一言でいうとそう、長靴下のピッピが大人になったような人です。おしゃれな洋服屋さんで花を売っていたかと思えば、屋台に花を積ん...