57577の宝箱
文筆家の土門蘭さんによる短歌とエッセーの連載です。週一回更新予定。
カルチャー
【57577の宝箱】目に映る世界は選ぶこともできる 二時間だけは楽しい夢を
週に1度、子供たちと一緒に映画を観ている。きっかけは、10歳の長男が「お母さんと一緒に映画を観たい」と言い出したことだった。ある時一緒に『アダムス・ファミリー』を観ていたのだけど、...
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【57577の宝箱】熱々のお茶に鎧が溶けていく 現れ出たのは素顔の私
最近、お酒をあまり飲んでいない。もともとお酒が大好きで、妊娠・授乳期を除いて毎日飲んでいた。仕事が終わって子供を迎えに行ったら、ビールを1本飲みながら夕飯を作る。仕事の時間から自分...
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【57577の宝箱】太陽に溶けてつやつやの汗を流す 全身で夏を味わうあなた
今年はものすごい暑さだ。なんだか年々暑くなっている気がするけれど、気のせいだろうか?子どもの頃には30度を超えただけでも大騒ぎだった記憶があるが、今はそんなの当たり前。体温を超える...
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【57577の宝箱】冷蔵庫開けて中身を確かめる 未来の私はこれでできてる
心の余裕がどれくらいあるかは、部屋を見ればわかる気がする。私の場合、忙しくなるとわかりやすいくらい仕事部屋が荒れる。あらゆるところに本が積まれ、書類は散乱し、クローゼットの中はごち...
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【57577の宝箱】お気に入りから順に擦り減っていく 私の愛を一身に受け
同じものを何個も持つ癖がある。ワンピースは2着。レザーのバックは2つ、布のトートバッグは3つ。Tシャツやセーターは4枚。靴は5足。色違いだったり、まったく同じ色だったりするけれど、...
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【57577の宝箱】何歳になっても損なわれないまま 心に残る少女の領域
この間、スーパーで一人買い物をしていたら、ふとお菓子売り場の一角に目が留まった。子供の頃大好きだったアニメ『美少女戦士セーラームーン』のマスコット付きお菓子が並んでいる。30周年を...
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【57577の宝箱】ラジオの声届く範囲で作られる 小さな世界にともに身を置く
普段、テレビをほとんど見ない。子供たちはよくテレビでアニメやバラエティを見ているが、私はその横で一人で本を読んだり家事をしたりしている。テレビの電源をつけるのは、ストリーミングサー...
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【57577の宝箱】体内に小さな生き物飼っている ぐるぐると鳴く内臓の声
先月のある週末、また体調を崩してしまった。ここ数年、ほとんど熱を出したことがなかったのだけど、今年に入って二度目の発熱。体の節々が痛く、寒気がする。そして起き上がれないほどの頭痛。...
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【57577の宝箱】あの人の光を胸のポケットに忍ばせ 心を温める日々
最近の毎日の楽しみは、漫画を読むことだ。スマートフォンに漫画のアプリを入れ、いろんな作品を毎日1話ずつ無料で読んでいるのだけど、それを楽しみに生きていると言っても過言ではない。昔か...
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【57577の宝箱】香水を真上にひと吹きしてくぐる 生まれ変わった私の世界
初めて香水をつけたのは、中学生のときだ。その頃、母の通販のファッションカタログに載っていた、香水のページを眺めるのが大好きだった。キラキラとした可愛らしい瓶に、綺麗な色の水。「フル...
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【57577の宝箱】目を見張る速さで大きくなっていく きみの身体に思い出詰めて
ずっと料理が苦手で、それをどうにかしようと思い切って料理のレッスンを受けたことを、以前この連載で書いたことがある。その後はおかげさまで料理への苦手意識もだいぶ薄れて、「今度あれを作...
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【57577の宝箱】犬に話しかけるときだけ現れる もう消えたはずの故郷の言葉
高校を卒業するまで広島で育ったので、長いあいだ広島弁を喋っていた。大学進学とともに京都にやってきたのだけど、みんなが関西弁を話す中、なかなか広島弁が抜けなかった。語尾に「じゃ」をつ...
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【57577の宝箱】まだ君の中に子どもの君がいて 私はその子に話しかけてる
以前、仕事中にある24歳の男性と話していたら、こんなことを聞かれた。「20代のうちにやっておいた方がいいことって、なんですか?」そんな質問に慣れていない私は「えっ」と戸惑って、なん...
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【57577の宝箱】足りてない気分になる日は 黙々とピアスを磨いて光を戻す
バタバタと忙しい平日を過ごしたあとの、休みの日の朝。寝坊して起きたものの、疲れが溜まっていて何をする気にもならず、ぼんやりとスマートフォンを眺めていた。綺麗目な服とかバッグが欲しい...
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【57577の宝箱】刻々と零時になるたび生み出される 半熟卵の物語たち
以前どこかで、人の集中力は15分単位、というのを読んだことがある。息子の通う小学校が45分授業なのも、私が通っていた大学が90分授業だったのも、そのためなのかなぁと思った。学校に通...
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【57577の宝箱】ささやかな儀式をひとり執り行う ありふれた日々に幸多からんと
節目というものがどうも苦手だ。誕生日とか、記念日とか、年度末・年度始まりとか。何か特別なことをしないといけないと思ってしまうのだろう。でも何をすればいいのかよくわからない。そのくせ...
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【57577の宝箱】華々しくゴールテープは切れなくても 僕だけを待つタオルの香り
先日料理をしながらラジオを聞いていたら、「何か悲しいことや辛いことがあった時、すぐに連絡して泣き言が言える友達って何人くらいいます?」という話題で、パーソナリティのふたりが話してい...
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【57577の宝箱】あの頃よく聴いていた曲口ずさむ 隣にいるのはあの頃の自分
高校時代、およそ真面目な生徒として通っていたが、遅刻だけはかなり多かった。特に2年生の時はひどく、担任の先生には朝が苦手な子なのだと思われていたと思う。だけど本当は、むしろ朝型だっ...
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【57577の宝箱】欲しいものそんなにないの どこにでも行ける自分でありたいだけで
この間テレビを観ていたら、「お金って、何に一番よく使います?」という話題で出演者たちが話をしていた。ひとりの男性は「僕は自炊を一切しないので、外食費が多いかな」と言う。もうひとりの...
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【57577の宝箱】この部屋に私がいなくなった日も コーヒーと本の匂いは残る
普段、自宅で一人で仕事をしている。朝家族を送り出してから、洗濯や掃除などの家事を一通りして、コーヒーを淹れてリビングでパソコンに向かう。フリーランスで事務所も借りていないので通勤が...