【最終回|連載エッセー『たゆたゆ – くまがや日記』】第二十四回:さあ、ようこそお帰り
2024年11月30日(土)
寒くなってくると、読み返したくなる本があります。『雪のひとひら』(新潮文庫)です。 ひとりの女性の誕生から死までをファンタジーの形式で描いたこの作品の主人公・雪のひとひらは、1滴...
2024年11月30日(土)
寒くなってくると、読み返したくなる本があります。『雪のひとひら』(新潮文庫)です。 ひとりの女性の誕生から死までをファンタジーの形式で描いたこの作品の主人公・雪のひとひらは、1滴...
2024年11月1日(金)
おそろしく現実的な夢だったのです。 目覚めたとき、「あれは夢。あれは夢」と自分に云い聞かせずにはいられませんでした。 夢のなかでバッグと財布を、わたしはな...
2024年10月16日(水)
幼い日の記憶です。 家からほど近く、美容室「ロン」はありました。 母は、ここで髪を切り、パーマネントをかけます。髪をふわっとまとめた、母より少し年上のママさんが、白衣...
2024年10月4日(金)
30歳代のはじめのころ、わたしは悩み多き日日を、過ごしていました。 迷いこんだ薄暗いトンネルにひとり佇み、目を凝らしても出口が見えないのです。 原因を自らが招いたこと、それが今生...
2024年9月19日(木)
「ふんちゃん(わたしです)、熊谷に遊びに行っていいですか?」 という絵はがきを受けとりました。 送り主のなっちゃんは、三女の幼なじみです。初めて会ったのは保育園の玄関、ふたりは生後...
2024年9月6日(金)
「あなたは、『そこ』が恥ずかしいのですね」「わたしには『ここ』が恥ずかしくてたまらないのです」 こう云いたくなる事態が、ときどき起こります。 ひと同士の「恥」の痛点のち...
2024年8月9日(金)
「草刈りがなかったら、自分の仕事量のうちの70パーセントが軽減する!」「近くに映画館がないから、映画を観るとなると、いちにち仕事」「きょう、たまったメールの返信しかできなかった」&...
2024年8月2日(金)
消毒薬を買おうと、ひとり自転車に乗ってドラッグストアに出かけました。 ドラッグストアというところは、大人の駄菓子屋みたいです。ドラッグ(薬)のスペースの何倍もの広さの化粧品、家庭...
2024年7月12日(金)
家の裏手に洗濯ものの干し場があります。 埼玉県熊谷市の家に住むようになった3年前の春、干し場でクモに逢いました。思わずわたしはこう告げたのです。「ここは、わたしの干し場です。あな...
2024年7月5日(金)
ちょっと先ゆく先輩たちの多くが、畳みかけるように云うのです。「60歳台も後半にさしかかると、がくんと年をとる気がするわ」「なんと云ったって、高齢者ですからね」「とうとう70歳にな...
2024年6月17日(月)
ここ数日、休む前に『風にのってきたメアリー・ポピンズ』を読んでいます。 亡き父が残した書きつけをみつけて読んでいたら、それがあまりにもおもしろくて、父に会いたくなったのです。&n...
2024年6月7日(金)
半世紀以上暮らした東京から埼玉県熊谷市に転居して、この5月で3年。 無理せず、自分たちにできるやり方で、日日を積み重ねてきました。 その意味で、東京に住んでいたときと、暮らし方、...
2024年5月20日(月)
洗面所で、見慣れない小瓶をみつけました。 これ、何? いつ、どんなふうに手に入れたのか、思いだせません。 瓶の裏面には商品名が書いてありますが、フランス語です。プッシュ式のポンプ...
2024年5月10日(金)
週に一度ほど、東京で仕事をします。 自宅のある熊谷から高崎線で1時間もあれば東京ですが、出たからには用事をいくつか消化しようと、動きまわります。用事と用事のあいだに空き時間が生じ...
2024年4月23日(火)
裁縫道具をとりだして、縫いものをしたくなります。「このブラウスの衿、どうしてもとりたいわ」「ボタン、全部替えます」 というくらいの洋裁ですが、こんな手仕事を「ちくちく」と呼んで大...
2024年4月10日(水)
「ほうれんそう。にんじん。もやし。卵。牛乳。肉。サカナ。油揚げ。豆腐」 台所のひきだしのなかに、買いものリストがあります。 「柿酢→瓶詰め。古新聞出す→△日」 台所の細長...
2024年3月29日(金)
「山本さんの目標って、何ですか?」 という質問を、受けました。「親切にすることです」 咄嗟に、しかもいやにきっぱり告げたものですから、質問者はちょっと驚き、わたしの顔を覗きこみまし...
2024年3月15日(金)
ね、あなたには、こんなことはありませんか? 伝えるはずだった「ありがとう」や、云いたかった「ごめんなさい」を告げられず、そのままになっていること。 わたしにはあります。なぜか気後...
2024年2月22日(木)
ときどき無性に食べたくなる酸辣湯(サンラータン)麺の、鍋versionをつくってみようと思い立って、豚の薄切り肉、白菜、にら、卵を調理台にならべました。にんにく、生姜、生しいたけ...
2024年2月5日(月)
「まるで物語のようですね」 ということばが飛びこんできました。 ここ「たゆたゆ」の広場に向けて、これを送ってくれたのは、クラシコムのマリエさんでした。 物語、物語、物語...